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「総論第3章 不動産の価格を形成する要因」について
総論第3章で例示された土地、建物並びに建物及びその敷地に係る個別的要因に関しては、特に次のような観点に留意すべきである。
1.土地に関する個別的要因について
- (1)埋蔵文化財の有無及びその状態について
文化財保護法で規定された埋蔵文化財については、同法に基づく発掘調査、現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止、設計変更に伴う費用負担、土地利用上の制約等により、価格形成に重大な影響を与える場合がある。
埋蔵文化財の有無及びその状態に関しては、対象不動産の状況と文化財保護法に基づく手続きに応じて次に掲げる事項に特に留意する必要がある。
- ① 対象不動産が文化財保護法に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれるか否か。
- ② 埋蔵文化財の記録作成のための発掘調査、試掘調査等の措置が指示されているか否か。
- ③ 埋蔵文化財が現に存することが既に判明しているか否か(過去に発掘調査等が行われている場合にはその履歴及び措置の状況)。
- ④ 重要な遺跡が発見され、保護のための調査が行われる場合には、土木工事等の停止又は禁止の期間、設計変更の要否等。
- (2)土壌汚染の有無及びその状態について
土壌汚染が存する場合には、当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置(以下「汚染の除去等の措置」という。)に要する費用の発生や土地利用上の制約により、価格形成に重大な影響を与えることがある。
土壌汚染対策法に規定する土壌の特定有害物質による汚染に関して、同法に基づく手続に応じて次に掲げる事項に特に留意する必要がある。
- ① 対象不動産が、土壌汚染対策法に規定する有害物質使用特定施設に係る工場若しくは事業場の敷地又はこれらの敷地であった履歴を有する土地を含むか否か。
なお、これらの土地に該当しないものであっても、土壌汚染対策法に規定する土壌の特定有害物質による汚染が存する可能性があることに留意する必要がある。
- ② 対象不動産について、土壌汚染対策法の規定による土壌汚染状況調査を行う義務が発生している土地を含むか否か。
- ③ 対象不動産について、土壌汚染対策法の規定による要措置区域の指定若しくは形質変更時要届出区域の指定がなされている土地を含むか否か(要措置区域の指定がなされている土地を含む場合にあっては、講ずべき汚染の除去等の措置の内容を含む。)、又は過去においてこれらの指定若しくは土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成21年法律第23号)による改正前の土壌汚染対策法の規定による指定区域の指定の解除がなされた履歴がある土地を含むか否か。
- ① 対象不動産が、土壌汚染対策法に規定する有害物質使用特定施設に係る工場若しくは事業場の敷地又はこれらの敷地であった履歴を有する土地を含むか否か。
2.建物に関する個別的要因について
- (1)建物の各用途に共通する個別的要因
- ① 設計、設備等の機能性
各階の床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備の状況、空調設備の状況、エレベーターの状況、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無、省エネルギー対策の状況、建物利用における汎用性等に特に留意する必要がある。
- ② 建物の性能
建物の耐震性については、建築基準法に基づく耐震基準との関係及び建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく耐震診断の結果について特に留意する必要がある。
- ③ 維持管理の状態
屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備等に関する破損・老朽化等の状況及び保全の状態について特に留意する必要がある。
- ④ 有害な物質の使用の有無及びその状態
建設資材としてのアスベストの使用の有無及び飛散防止等の措置の実施状況並びにポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に特に留意する必要がある。
- ⑤ 公法上及び私法上の規制、制約等
増改築等、用途変更等が行われている場合には、法令の遵守の状況に特に留意する必要がある。
- ① 設計、設備等の機能性
- (2)建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因
建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因を例示すれば、次のとおりである。
- ① 住宅
屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等に留意する必要がある。また、区分所有建物の場合は、このほか各論第1章第2節Ⅳ.1.及び本留意事項Ⅷ2.(2)に掲げる事項についても留意する必要がある。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準による性能表示、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき認定を受けた長期優良住宅建築等計画等にも留意する必要がある。
- ② 事務所ビル
基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等に留意する必要がある。
特に、大規模な高層事務所ビルの場合は、エレベーターの台数・配置、建物内に店舗等の区画が存する場合における面積・配置等にも留意する必要がある。
- ③ 商業施設
各階の床面積、天井高等に留意する必要がある。
特に、多数のテナントが入居するショッピングセンター等の大規模な商業施設については、多数の顧客等が利用することを前提とした集客施設としての安全性を確保しつつ収益性の向上を図ることが重要であるとの観点から、売場面積、客動線、商品の搬入動線、防災設備の状況、バリアフリー化の状況、施設立地・規模等に関する法令等に留意する必要がある。
- ④ 物流施設
階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等に留意する必要がある。
特に、大規模で機能性が高い物流施設の場合は、保管機能のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能を担うことから、これらの機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意する必要がある。
- ① 住宅
3.建物及びその敷地に関する個別的要因について
- (1)修繕計画及び管理計画の良否並びにその実施の状態
大規模修繕に係る修繕計画の有無及び修繕履歴の内容、管理規則の有無、管理委託先、管理サービスの内容等に特に留意する必要がある。
- (2)賃借人の状況及び賃貸借契約の内容
賃料の滞納の有無及びその他契約内容の履行状況、賃借人の属性(業種、企業規模等)、総賃貸可能床面積に占める主たる賃借人の賃貸面積の割合及び賃貸借契約の形態等に特に留意する必要がある。