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用途地域の13種類とは?住居系から工業系まで不動産価格への影響

用途地域とは都市計画法に基づき定められる13種類の地域区分です。住居系8種・商業系2種・工業系3種の特徴、建築制限、不動産価格への影響をわかりやすく解説します。

用途地域とは

用途地域とは、都市計画法第8条第1項第1号に基づき、市街地における土地利用の用途を定める地域地区の一つである。都市計画で用途地域が指定されると、建築基準法第48条によりその地域内で建築できる建物の用途が制限され、また建ぺい率・容積率等の建築形態規制の基準も用途地域の種類に応じて定められる。

2018年(平成30年)4月の都市計画法改正により田園住居地域が追加され、現在は13種類の用途地域が定められている。大きく住居系(8種類)、商業系(2種類)、工業系(3種類)に分類される。

用途地域は、都市における土地利用の混在を防ぎ、住環境の保護、商業・業務機能の集積、工業活動の確保といった目的別にふさわしい市街地環境を実現するための制度である。不動産の価格評価においては、用途地域の種類が建物用途の自由度や建築制限の厳しさを決定づけるため、地価の形成に極めて大きな影響を与える最重要の公法上の規制である。

不動産評価・都市計画における位置づけ

都市計画法における根拠条文

用途地域は都市計画法第8条第1項第1号に規定される地域地区であり、都市計画区域内において都市計画で定められる。市街化区域については用途地域を必ず定めなければならない(同法第13条第1項第7号)。市街化調整区域には原則として用途地域を定めないが、非線引き都市計画区域では用途地域を定めることができる。

用途地域を定める際には、建ぺい率、容積率のほか、第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域については建物の高さの限度(10mまたは12m)、外壁後退距離の限度(1.5mまたは1m)、敷地面積の最低限度も定めることができる(都市計画法第8条第3項第2号)。

建築基準法第48条の用途制限

建築基準法第48条は、各用途地域内で建築できる建物の用途を制限している。制限の内容は建築基準法別表第2に詳細が定められている。用途制限は住居系地域ほど厳しく、商業地域が最も緩やかであるという傾向がある。

13種類の用途地域の概要

住居系(8種類)

  1. 第一種低層住居専用地域 - 低層住宅のための地域。小規模な店舗兼住宅、学校等のみ建築可能。
  2. 第二種低層住居専用地域 - 主に低層住宅のための地域。小規模な店舗(150平方メートル以下)の立地が可能。
  3. 第一種中高層住居専用地域 - 中高層住宅のための地域。病院、大学、一定規模の店舗(500平方メートル以下)が可能。
  4. 第二種中高層住居専用地域 - 主に中高層住宅のための地域。1,500平方メートル以下の店舗・事務所が可能。
  5. 第一種住居地域 - 住居の環境を保護するための地域。3,000平方メートル以下の店舗・事務所・ホテル等が可能。
  6. 第二種住居地域 - 主に住居の環境を保護するための地域。カラオケボックスやパチンコ店も可能。
  7. 準住居地域 - 道路の沿道にふさわしい業務の利便と住居の環境を保護するための地域。
  8. 田園住居地域 - 農業の利便と低層住宅の良好な住環境を保護するための地域。

商業系(2種類)

  1. 近隣商業地域 - 近隣住民のための日用品の販売等の商業施設を保護するための地域。
  2. 商業地域 - 商業その他の業務の利便を増進するための地域。用途制限が最も緩い。

工業系(3種類)

  1. 準工業地域 - 主に環境悪化のおそれのない工業の利便を図るための地域。
  2. 工業地域 - 主に工業の利便を図るための地域。住宅も建築可能だが、学校・病院等は不可。
  3. 工業専用地域 - 工業の利便を図るための地域。住宅の建築が禁止される唯一の用途地域。

具体例・実務での使われ方

用途地域の違いが不動産価格に与える影響

用途地域の種類は不動産価格に直結する。同じ立地条件でも用途地域が異なれば、建築可能な建物の種類や規模が大きく異なり、収益性や居住環境が変わるためである。

住居系地域の価格形成:低層住居専用地域は建物の高さや用途が厳しく制限されるが、閑静な住環境が保証されるため、高級住宅地として高い地価を形成する場合がある。一方、制限の厳しさにより収益物件の建築が困難であるため、投資用としての地価は相対的に低くなる傾向がある。

商業地域の価格形成:商業地域は容積率が最大1300%まで指定可能であり、用途制限も最も緩やかであるため、高層の商業ビルやタワーマンションが建築でき、土地の収益性が高い。このため、都心商業地域の地価は一般に最も高くなる。

工業系地域の価格形成:工業専用地域は住宅建築が不可能であるため住宅需要による地価上昇は期待できないが、工場・物流施設用地としての需要がある場合には相応の地価を形成する。準工業地域は住宅も工場も立地可能な混在型の地域であり、マンション開発が行われることも多い。

用途地域の境界にまたがる敷地

敷地が二つ以上の用途地域にまたがる場合、用途制限については「過半の属する用途地域の制限」が適用される(建築基準法第91条)。一方、建ぺい率と容積率については面積按分による加重平均で算出する。この違いは実務上重要である。

都市計画の変更と用途地域の見直し

用途地域は一度定められたら永久に変わらないわけではなく、都市計画の変更により用途地域の種類や範囲が見直されることがある。用途地域の変更は不動産価格に大きな影響を与え得るため、鑑定評価においては都市計画マスタープランや今後の変更可能性にも留意する必要がある。

試験での出題ポイント

鑑定士試験における頻出論点

1. 13種類の名称と区分

13種類の用途地域をすべて正確に列挙できることは基本中の基本である。特に2018年追加の田園住居地域を忘れないこと、住居系が8種類あること(低層2、中高層2、住居2、準住居1、田園1)を正確に把握しておく必要がある。

2. 各用途地域の建築制限の要点

全用途地域の詳細な用途制限をすべて暗記する必要はないが、以下の重要ポイントは押さえておくべきである。

  • 住宅が建てられないのは工業専用地域のみ
  • 商業地域は用途制限が最も緩い(ただし危険性の大きい工場等は不可)
  • 低層住居専用地域・田園住居地域の絶対高さ制限(10mまたは12m)

3. 市街化区域での用途地域の指定義務

市街化区域では用途地域を必ず定めなければならないこと、市街化調整区域では原則として定めないことは頻出論点である。

4. 複数地域にまたがる場合のルール

用途制限は過半主義、建ぺい率・容積率は加重平均という取扱いの違いは、行政法規の試験で重要なポイントである。

5. 田園住居地域の特徴

比較的新しい制度であるため、出題可能性が高い。低層住居専用地域に準じた建築制限に加え、農地の開発規制(市町村長の許可が必要)がある点が特徴的である。

よくある疑問・誤解

「第一種」と「第二種」の違い

用途地域名に「第一種」「第二種」とあるのは、一般に「第一種」の方がより制限が厳しいことを意味する。第一種低層住居専用地域は第二種低層住居専用地域より店舗の立地規制が厳しく、第一種住居地域は第二種住居地域より遊戯施設等の立地が制限されている。ただし、「第一種の方が格上」という意味ではなく、あくまで規制の厳しさの違いである。

「住居地域には工場は建てられない」という誤解

第一種・第二種住居地域でも、一定の条件を満たす小規模な工場は建築可能である。建築基準法別表第2に基づき、作業場面積50平方メートル以下で原動機の出力が一定以下の工場等は住居地域でも建築できる場合がある。

用途地域が定められていない区域の存在

市街化調整区域や非線引き都市計画区域、都市計画区域外では用途地域が定められていないことがある。この場合の建築制限は用途地域の規制とは異なる別の規定(特定行政庁の指定等)により定められるため、注意が必要である。

「商業地域は何でも建てられる」わけではない

商業地域は用途制限が最も緩やかではあるが、危険性が大きいまたは著しく環境を悪化させるおそれがある工場等は建築できない。また、個室付浴場等の建築制限もある。「制限が緩い」と「制限がない」は異なることに注意が必要である。

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