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SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは?構造の特徴と不動産評価

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、鉄骨・鉄筋・コンクリートを組み合わせた最も堅牢な建物構造です。構造の仕組み、経済的耐用年数、不動産鑑定評価への影響を詳しく解説します。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは

SRC造(えすあーるしーぞう)とは、Steel Reinforced Concreteの略称であり、鉄骨(H形鋼や角形鋼管などの構造用鋼材)の周囲に鉄筋を配し、さらにコンクリートを打設して一体化させた建物構造をいう。鉄骨造(S造)の高い靭性と鉄筋コンクリート造(RC造)の優れた耐火性・耐久性を併せ持つ複合構造であり、建物構造の中で最も高い強度と耐久性を実現できる工法として位置づけられている。

主に高層ビル、大規模商業施設、ホテル、病院など、高い構造性能が要求される建築物に採用される。建築基準法施行令においても、構造計算の方法や耐火性能の基準が詳細に定められており、不動産鑑定評価においては最も長い経済的耐用年数が認められる構造種別である。

不動産鑑定評価における位置づけ

不動産鑑定評価において、建物の構造種別は原価法による再調達原価の算定、経済的耐用年数の判定、そして減価修正の各段階で重要な判断要素となる。不動産鑑定評価基準の「第7章 鑑定評価の方式」における原価法の適用において、建物の再調達原価は「建設費」として把握されるが、SRC造は他の構造種別と比較して最も高い建設費単価となるのが一般的である。

経済的耐用年数について、SRC造は一般的に50年から60年程度と判定されることが多い。これは法定耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)において、事務所用のSRC造建物が50年と定められていることとも整合的である。ただし、不動産鑑定評価における経済的耐用年数は税務上の法定耐用年数とは異なる概念であり、当該建物の設計・施工の品質、維持管理の状態、周辺地域の市場動向などを総合的に勘案して個別に判定する必要がある。

不動産鑑定評価基準では、建物の減価修正について「物理的減価」「機能的減価」「経済的減価」の三つの観点から行うこととしている。SRC造建物は物理的減価の進行が他の構造と比較して緩やかであるため、築年数に対する残存価値が相対的に高く評価される傾向がある。一方で、大規模なSRC造建物は設備の陳腐化による機能的減価や、用途・立地の変化による経済的減価の影響を受けやすい面もある。

固定資産評価基準においても、SRC造は「非木造家屋評点基準表」の中で独立した区分として扱われ、再建築費評点数の算出にあたっては専用の標準評点数が設定されている。固定資産税評価における経年減点補正率(減価率に相当)は、構造種別と経過年数に基づいて定められており、SRC造は最も緩やかな減価カーブが適用される。

具体例・実務での使われ方

SRC造の具体的な施工方法としては、まず鉄骨の柱・梁を組み立て、その周囲に鉄筋を配筋し、型枠を設置してコンクリートを打設するという手順で進められる。鉄骨が先行して建ち上がるため、施工中の仮設構造体としての安全性が確保されるというメリットもある。

代表的な採用例

SRC造が採用される典型的な建築物としては、以下のようなものが挙げられる。

  1. 超高層オフィスビル:地上20階以上の大規模オフィスビルでは、上層階の荷重を支える下層階にSRC造が採用されることが多い。上層階はS造やRC造とし、下層階にSRC造を用いるハイブリッド構造も一般的である。
  1. 大規模ホテル・商業施設:耐震性と耐火性の両方が高い水準で求められる施設では、SRC造の採用が多い。特に不特定多数の利用者がいる建物では、構造安全性の確保が重視される。
  1. 病院・公共施設:災害時の拠点となる施設では、SRC造による高い耐震性能が求められるケースが多い。

不動産鑑定における実務的な留意点

実務において鑑定評価を行う際、SRC造建物については以下の点に留意する必要がある。

第一に、再調達原価の把握において、SRC造の建設費は1平方メートルあたり40万円から70万円程度(用途・規模による)と幅があり、S造(25万円から45万円程度)やRC造(30万円から50万円程度)と比較して高額である。この建設費の差異は、収益還元法における純収益の算定(減価償却費の計上)にも影響を及ぼす。

第二に、SRC造建物の大規模修繕や耐震補強工事にかかるコストは高額になりやすい。特に1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で設計されたSRC造建物については、耐震診断の結果に基づく補強費用を減価要因として考慮する必要がある。

第三に、解体費用もSRC造は最も高額となる。近年の建替え需要の高まりに伴い、解体費用の鑑定評価額への影響も無視できない要素となっている。更地価格から建物取壊し費用を控除する場合、SRC造の解体費は1平方メートルあたり3万円から5万円程度が目安となる。

試験での出題ポイント

不動産鑑定士試験において、SRC造に関連する出題は主に以下の論点で問われる。

1. 構造種別と経済的耐用年数の対応関係

短答式試験では、各構造種別の経済的耐用年数の目安を問う問題が出題される。SRC造(50〜60年)、RC造(40〜50年)、S造(30〜40年)、木造(20〜30年)という序列を正確に把握しておく必要がある。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、個別の判断が必要であることも理解しておくべきである。

2. 原価法における減価修正の具体的適用

論文式試験では、原価法の適用プロセスにおいて、構造種別に応じた減価修正の考え方を論述することが求められる場合がある。SRC造建物の物理的減価が緩やかである理由(コンクリートが鉄骨の座屈を防止し、鉄骨がコンクリートの脆性破壊を防止する相互補完関係)を、技術的な観点から説明できることが望ましい。

3. 建物と土地の一体評価における構造の影響

SRC造建物が存する不動産の鑑定評価において、建物構造が収益性に与える影響(建設費が高い反面、長期にわたって安定した収益が期待できる点)や、最有効使用との関係(高度利用が求められる商業地域ではSRC造による高層化が最有効使用に合致する場合がある点)を論じる問題も出題されうる。

4. 法定耐用年数と経済的耐用年数の区別

法定耐用年数はあくまで税務上の減価償却計算のために定められたものであり、不動産鑑定評価における経済的耐用年数とは目的も判断基準も異なることを明確に区別できることが求められる。

よくある疑問・誤解

Q1. SRC造とRC造の違いは何ですか?

RC造はコンクリートの中に鉄筋のみを配した構造であり、SRC造はそこにさらに鉄骨を加えた構造である。SRC造は鉄骨の存在により、RC造と比較してより高い靭性(粘り強さ)を持ち、同じ断面寸法でもより大きな荷重に耐えることができる。このため、RC造では建設が困難な大スパンや高層の建築が可能となる。ただし、近年はRC造の技術進歩により、以前はSRC造でなければ実現できなかった規模の建物もRC造で建設されるケースが増えている。

Q2. SRC造は必ずRC造やS造より評価が高くなりますか?

必ずしもそうとは限らない。不動産鑑定評価においては、当該建物の最有効使用との適合性が重要である。たとえば、低層住宅地域において過剰な仕様のSRC造建物が存在する場合、その建設費の高さに見合う収益性や市場性が確保できず、かえって減価要因となることもある。構造の優劣は絶対的なものではなく、用途・規模・立地との適合性の中で相対的に評価されるべきものである。

Q3. 現在もSRC造は多く採用されていますか?

近年は高強度コンクリートや高張力鋼材の普及により、RC造やS造単体でも高層建築が可能になったため、SRC造の新規採用は減少傾向にある。特に超高層マンションでは、RC造やS造を主体とし、一部にSRC造を併用するケースが一般的になっている。しかし、既存ストックとしてはSRC造の大規模建築物が多数存在しており、鑑定評価の対象となる機会は依然として多い。

Q4. SRC造の法定耐用年数は用途によって異なりますか?

はい、減価償却資産の耐用年数等に関する省令では、SRC造の法定耐用年数は用途別に定められている。事務所用50年、住宅用47年、店舗用39年、工場用38年などと異なる。不動産鑑定評価においてはこれらの法定耐用年数に拘束されないが、参考指標として活用されることがある。

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