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鑑定理論(演習)の計算スピードを上げる練習法

不動産鑑定士の鑑定理論(演習)で計算スピードを上げるための具体的な練習法を解説。電卓操作の効率化、頻出計算パターンの高速処理、時間内に解き切るためのトレーニングメニューを紹介します。

はじめに ― 演習は「計算スピード」が合否を分ける

不動産鑑定士の論文式試験における鑑定理論(演習)は、120分の試験時間内に大量の計算をこなすことが求められる科目です。計算内容自体は基本的なものが多いのですが、その量の多さが受験生を苦しめます。計算の正確さはもちろん重要ですが、それと同じくらい「速さ」が合否を左右するのです。

演習で時間が足りなくなる原因は大きく3つあります。電卓操作に時間がかかる、計算の段取りが悪い、そして問題文の読み取りに手間取るの3つです。これらはすべて、適切な練習によって改善できるスキルです。

本記事では、演習の計算スピードを効率的に向上させるための練習法を解説します。頻出計算パターンについては演習の頻出計算パターンを、鑑定理論の演習攻略全般については鑑定理論の演習攻略をあわせてご覧ください。


計算スピードを構成する3つの要素

計算スピードは、単に電卓を速く叩くだけでは上がりません。以下の3つの要素が組み合わさって、総合的な計算スピードが決まります。

要素1:電卓操作のスピード

電卓のキーを正確かつ高速に打つ基本的なスキルです。利き手でない方の手で電卓を操作する場合は特に、意識的な練習が必要です。

要素2:計算の段取り力

「どの順番で何を計算するか」を素早く判断し、無駄のない手順で計算を進める力です。同じ計算結果を得るにも、段取りの良し悪しで所要時間は大きく変わります。

要素3:問題文の読解力

問題文から必要な数値と条件を素早く正確に読み取る力です。問題文の読解に手間取ると、計算以前の段階で時間を浪費してしまいます。

要素改善のしやすさ得点への影響優先度
電卓操作高い(反復練習で改善)最初に取り組む
段取り力中(パターン学習で改善)次に取り組む
読解力中(過去問演習で改善)並行して鍛える

電卓操作の効率化

電卓の選び方

演習の計算スピードを上げるための第一歩は、適切な電卓を選ぶことです。

条件推奨理由
サイズ12桁表示の標準サイズ不動産鑑定の計算で10桁を超えることがある
キータッチ軽すぎず重すぎない高速入力時の打ち間違いを防ぐ
メモリー機能M+、M-、MR、MC搭載中間計算の一時保存に必須
GT機能あり複数計算の合計を一発で出せる
早打ち対応ありキーを離す前に次のキーを押しても認識される

試験会場に持ち込める電卓には制限があるので、事前に確認しておきましょう。プログラム機能付きや関数電卓は持ち込み不可です。

電卓の基本操作を高速化する

ブラインドタッチの練習

電卓のキー配列を見なくても正確に打てるようになることが目標です。以下の順番で練習します。

  1. ホームポジションを決める:中指を「5」に置くのが一般的
  2. 数字キーの配置を指に覚えさせる:1日10分、1週間で基本配置を体に覚えさせる
  3. 演算キーの位置を覚える:+、-、×、÷、=の位置を指で覚える
  4. 連続入力の練習:数値と演算子を途切れなく入力する練習

メモリー機能の活用

メモリー機能を使いこなすことで、紙に中間結果を書く手間を省けます。

キー機能使用場面
M+表示値をメモリーに加算複数の計算結果を合計する
M-表示値をメモリーから減算合計から特定の値を差し引く
MRメモリーの値を表示中間計算の結果を呼び出す
MCメモリーをクリア次の計算に備えてリセットする

活用例:純収益の計算

収入の各項目を計算するたびにM+で加算し、支出の各項目を計算するたびにM-で減算します。最後にMRを押すと純収益が表示されます。

GT(グランドトータル)機能の活用

GT機能は、「=」を押すたびにその計算結果を自動的に蓄積する機能です。複数の独立した計算の合計を求める際に便利です。

電卓操作の練習メニュー

練習内容時間頻度目的
数字の連続入力(10桁×20問)5分毎日ブラインドタッチの定着
四則演算(20問)5分毎日演算キーの操作精度向上
メモリー使用の計算(10問)10分週3回メモリー機能の習熟
割合・百分率の計算(10問)10分週3回還元利回り等の計算の高速化

計算の段取り力を鍛える

計算順序の最適化

同じ計算結果を得るにも、計算の順番によって効率が大きく異なります。原則として以下の順序で計算すると効率的です。

  1. 与件を整理する:問題文から数値を抽出し、使う順番に並べる
  2. 共通する値を先に計算する:複数の手法で使う値(面積、比率など)を先に算出する
  3. 大きな計算から小さな計算へ:全体の枠組みを先に計算し、詳細を後から埋める
  4. 検算しやすい順序を意識する:途中結果の妥当性を確認しやすい順序で計算する

よく使う計算パターンの定石化

演習で頻出する計算パターンには定石があります。定石を覚えておくことで、毎回ゼロから計算手順を考える手間が省けます。

定石1:複利現価率の計算

複利現価率 = 1 / (1 + r)^n

電卓での操作手順:
(1 + r) を計算 → = → × × で定数乗算モード → = をn-1回押す → 1/x キー

定石2:年賦償還率の計算

$$年賦償還率 = r × (1 + r)^n / {(1 + r)^n - 1} 先に (1+r)^n を計算してメモリーに保存 → 分子と分母を順に計算$$

定石3:減価修正(耐用年数に基づく方法)

$$定額法:(1 - 残価率) / 耐用年数 × 経過年数 観察減価法:物理的・機能的・経済的減価を個別に算定して合算$$

段取り力を鍛える練習法

練習法1:計算手順書の作成

過去問の計算問題について、計算手順を箇条書きにした「計算手順書」を作成します。この作業を通じて、効率的な計算順序を体系的に学べます。

練習法2:同じ問題を異なる手順で解く

1つの問題を複数の計算手順で解き、どの手順が最も効率的かを比較します。これにより、計算順序の最適化を体感できます。

練習法3:タイムアタック

同じ問題を繰り返し解き、毎回の所要時間を記録します。回を重ねるごとに時間が短縮されていく過程で、自然と効率的な段取りが身についていきます。


問題文の読解力を鍛える

与件の読み取りスピードを上げる

演習の問題文には大量の数値情報が含まれています。これらを素早く正確に読み取る力が必要です。

読み取りのコツ:

  • 問題文を読む前に、まず全体をざっと眺めて問題の全体像を把握する
  • 表形式で与件が示されている場合は、行と列の意味を先に確認する
  • 単位を必ず確認する(円/m2か円/坪か、月額か年額かなど)
  • 読み取った数値に印をつけて、二重読みを防ぐ

問題文で引っかかりやすいポイント

引っかかりやすい点具体例対策
単位の混在m2と坪が混在統一基準を決めて変換する
税込み・税抜き消費税の扱い問題文の指示を確認
期間の始点と終点「期首」「期末」タイムラインを図示する
端数処理の指示四捨五入の桁数計算前に確認し、メモしておく
条件の後出し問題の後半に重要条件が記載全文を読んでから計算に入る

頻出計算ジャンル別の高速化テクニック

取引事例比較法の計算

取引事例比較法では、複数の取引事例について事情補正・時点修正・地域要因比較・個別的要因比較を行います。

高速化のポイント:

  • 事例ごとの補正率を先にすべて算出し、一覧表にまとめる
  • 掛け算の順序を工夫して、電卓のメモリーを効率的に使う
  • 比準価格の算出は「取引価格 × 事情補正 × 時点修正 × 地域要因 × 個別要因」の一気乗算で行う

収益還元法(DCF法)の計算

DCF法では、各期のキャッシュフローの現在価値を計算して合算します。

高速化のポイント:

  • 各期の複利現価率を先に一括計算してメモしておく
  • 各期のキャッシュフローが同額の場合は年金現価率を使う
  • 復帰価格の現在価値は最後にまとめて計算する
  • 表形式で整理し、縦の合計をGT機能で算出する

原価法の計算

原価法では再調達原価の算定と減価修正を行います。

高速化のポイント:

  • 建物の再調達原価は「単価 × 面積」で一気に算出
  • 減価修正は耐用年数法と観察減価法の両方を並行して計算する準備をする
  • 付帯費用の算定(設計料、開発リスクなど)は比率計算で素早く処理する

開発法の計算

開発法は販売総額から開発費用と投下資本利益を控除して開発前の土地価格を求めます。

高速化のポイント:

  • 開発スケジュールを時系列で整理してから計算に入る
  • 投下資本の複利計算を効率的に行うために、投下時点を明確にする
  • 販売経費と開発費用の分類を正確に行い、漏れを防ぐ

検算のスピードアップ

計算の正確性を確保するための検算も、時間内に行う必要があります。効率的な検算の方法を紹介します。

逆算による検算

最終結果から逆算して元の値に戻るかを確認する方法です。例えば、還元利回りで求めた収益価格に還元利回りを掛けて純収益に戻るかを確認します。

概算による妥当性チェック

詳細な計算結果が常識的な範囲内にあるかを概算で確認します。例えば、更地の価格が坪あたり100万円と算出された場合、その地域の相場観と大きくかけ離れていないかを直感的に確認します。

部分検算

全体を再計算するのではなく、間違いやすい部分だけを選んで検算する方法です。以下の箇所は特にミスが起きやすいため、優先的に検算します。

  • 桁の大きい掛け算・割り算
  • 複利計算(乗数のミス)
  • 端数処理のタイミング
  • 単位変換(m2→坪など)

日常の練習スケジュール

計算スピードの向上には継続的な練習が不可欠です。以下の練習スケジュールを参考にしてください。

毎日の練習(15〜20分)

時間内容
5分電卓のブラインドタッチ練習
10〜15分頻出計算パターン1〜2問のタイムアタック

週末の集中練習(60〜90分)

時間内容
10分電卓操作のウォーミングアップ
60〜70分過去問1年分を制限時間付きで解く
10〜15分振り返り(時間オーバーの原因分析)

月間の進捗確認

月に1回は、以下の項目で進捗を確認します。

  • 過去問1年分の所要時間(前月との比較)
  • 計算ミスの件数と種類
  • 時間不足で解けなかった問題の割合
  • 新たに発見した効率化ポイント

本番に向けた直前の調整

試験1ヶ月前

新しい計算テクニックの習得は控え、身につけたスキルの精度を上げることに集中します。過去問を本番と同じ条件(120分、使い慣れた電卓)で解く練習を週2〜3回行います。

試験1週間前

計算スピードの維持を目的に、毎日30分程度の軽い計算練習を続けます。新しい問題よりも、何度も解いた問題を使って手順の確認を行います。

試験当日

試験開始前に電卓の動作確認を行い、予備の電池(または予備の電卓)を持参します。試験開始後は、まず全問題を俯瞰してから計算に取りかかりましょう。時間配分については論文式試験の時間配分をご覧ください。


まとめ

鑑定理論(演習)の計算スピードは、電卓操作・計算の段取り・問題文の読解という3つの要素から構成されます。どれか1つだけを鍛えても効果は限定的であり、3つをバランスよく向上させることが重要です。

電卓のブラインドタッチは毎日の短時間練習で確実に上達します。計算の段取り力は過去問を繰り返し解く中で身につきます。そして問題文の読解力は、多くの問題に触れることで自然と向上します。毎日15〜20分の練習を継続すれば、試験までに十分な計算スピードが身につくでしょう。

演習の頻出パターンについては演習の頻出計算パターンを、演習攻略全般については鑑定理論の演習攻略をご覧ください。

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