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鑑定理論(演習)の攻略法 - 計算問題で満点を狙う方法

不動産鑑定士論文式試験の鑑定理論(演習)を攻略する方法を解説。更地評価・DCF法・賃料計算等の出題パターン分析、計算ミスを防ぐ具体的テクニック、電卓の効率的な使い方まで、100点配点の演習で高得点を狙うための戦略を網羅しています。

鑑定理論(演習)とは何か

鑑定理論(演習)は、論文式試験の5科目のうちの1つで、配点100点です。鑑定理論(論文)の200点と合わせると300点で、全600点の半分を占めます。演習は「実務的な計算問題」が出題される科目であり、具体的な不動産の評価額を三方式で算定するプロセスを記述することが求められます。

鑑定理論(論文)が基準の暗記と論述力を問うのに対し、演習は計算力と手順の正確性を問う科目です。計算問題であるため、正解にたどり着けば確実に得点できる反面、計算ミス1つで大幅に失点するリスクもあります。

この記事では、演習の出題パターン、計算ミスを防ぐテクニック、そして電卓の効率的な使い方まで、演習で高得点を取るために必要な情報を体系的にまとめます。鑑定理論(論文)の対策については鑑定理論(論文)の勉強法をご覧ください。


出題パターンの分析

演習の出題形式

演習は1〜2問の大問で構成され、各問において具体的な条件(土地の面積・形状・用途地域・取引事例・収支データ等)が与えられ、三方式を適用して鑑定評価額を算出するプロセスを記述します。

答案には以下を記載する必要があります。

  • 各方式の適用過程(計算式と計算結果)
  • 試算価格の算定結果
  • 試算価格の調整と鑑定評価額の決定

主要な出題パターン

パターン1: 更地の評価

最も基本的な出題パターンです。更地(建物がない土地)について、取引事例比較法による比準価格と収益還元法による収益価格(場合によっては原価法による積算価格)を算定し、鑑定評価額を決定します。

  • 取引事例比較法: 事例の選定→事情補正→時点修正→地域要因比較→個別的要因比較→比準価格
  • 収益還元法: 土地残余法またはDCF法による収益価格
  • 試算価格の調整と鑑定評価額の決定

パターン2: 建物及びその敷地の評価

建物付きの不動産(自用のビル、賃貸マンション等)を評価するパターンです。

  • 原価法: 土地の再調達原価+建物の再調達原価−減価修正=積算価格
  • 取引事例比較法: 類似不動産の取引事例から比準価格を算定
  • 収益還元法: 直接還元法またはDCF法による収益価格

パターン3: DCF法による収益価格の算定

DCF(Discounted Cash Flow)法は近年の頻出テーマです。複数期間のキャッシュフローを現在価値に割り引いて収益価格を算定します。

  • 各期の純収益(NOI)の算定
  • 割引率の設定
  • 復帰価格(ターミナルバリュー)の算定
  • 各期の現在価値の合計=DCF法による収益価格

パターン4: 賃料の算定

新規賃料または継続賃料の算定を求められるパターンです。

  • 新規賃料: 積算法(基礎価格×期待利回り+必要諸経費)、賃貸事例比較法
  • 継続賃料: 差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法

パターン5: 区分所有建物の評価

マンションの一室など、区分所有建物の評価を求められるパターンです。

過去の出題傾向

年度出題テーマ
2020年貸家及びその敷地の評価(DCF法含む)
2021年更地の評価(取引事例比較法・開発法)
2022年自用の建物及びその敷地の評価
2023年賃貸用不動産の評価(DCF法中心)
2024年継続賃料の算定

DCF法は近年ほぼ毎年出題されており、最重要の計算テーマと言えます。

確認問題

鑑定理論(演習)では、必ず原価法・取引事例比較法・収益還元法の三方式すべてを適用しなければならない。


各計算手法の具体的な手順

取引事例比較法の計算手順

取引事例比較法は取引事例比較法の理論を実際の数値で適用するものです。

手順:

  1. 取引事例の選定: 問題で与えられた複数の取引事例から適切なものを選ぶ
  2. 事情補正: 特殊な取引事情がある場合に補正する(例: 売り急ぎ→100/95等)
  3. 時点修正: 取引時点から価格時点までの地価変動率で補正する(例: 地価指数105/100等)
  4. 地域要因比較: 事例の所在する地域と対象不動産の近隣地域の違いを補正する
  5. 個別的要因比較: 事例不動産と対象不動産の個別的な違いを補正する

計算式:

比準価格 = 事例の取引価格 × 事情補正 × 時点修正 × 地域要因比較 × 個別的要因比較

計算のポイント:

  • 補正率は分数形式(例: 100/105)で表記し、最後にまとめて計算する
  • 複数の事例から比準価格を算定した場合は、その調整(平均・加重平均等)も記述する

原価法の計算手順

原価法は再調達原価から減価修正を行って積算価格を求めます。

建物の積算価格の計算式:

積算価格 = 再調達原価 × (1 - 減価率)

減価率の算定方法(定額法の場合):

減価率 = 経過年数 / 耐用年数

建物及びその敷地の場合:

積算価格 = 土地価格 + 建物の積算価格

収益還元法(直接還元法)の計算手順

直接還元法は収益還元法の基本的な手法です。

計算式:

収益価格 = 純収益(NOI) / 還元利回り

純収益(NOI)の算定:

項目内容
総収益(GPI)満室想定の賃料収入
空室損失空室率を考慮した減額
有効総収益(EGI)GPI - 空室損失
総費用維持管理費・修繕費・公租公課・損害保険料等
純収益(NOI)EGI - 総費用

収益還元法(DCF法)の計算手順

DCF法は複数期間のキャッシュフローを現在価値に割り引く手法です。

計算式:

収益価格 = Σ(各期のNOI / (1+割引率)^n) + 復帰価格 / (1+割引率)^N

計算のステップ:

  1. 各期の純収益(NOI)を算定する
  2. 各期のNOIを割引率で現在価値に割り引く
  3. 保有期間終了時の復帰価格(売却想定価格)を算定する
  4. 復帰価格を現在価値に割り引く
  5. 2と4を合計する

復帰価格の算定:

復帰価格 = N+1期のNOI / ターミナルキャップレート

確認問題

DCF法において、復帰価格(ターミナルバリュー)とは、保有期間終了時に不動産を売却する場合の想定売却価格のことである。


計算ミスを防ぐテクニック

計算ミスの類型と対策

演習で最も怖いのは計算ミスです。1つの計算ミスが後続の計算すべてに波及し、大幅な失点につながることがあります。

ミスの類型1: 桁の間違い

数値の桁を間違えるミス。例えば1,000,000円を100,000円と書いてしまうケースです。

対策: 数値を書く際は桁区切りのカンマを必ず入れ、桁数を目視で確認する。

ミスの類型2: 分子と分母の取り違え

補正率の分子と分母を逆にするミス。例えば100/105とすべきところを105/100にしてしまうケースです。

対策: 補正の方向(増額か減額か)を先に判断してから数値を記入する。「事例より対象のほうが条件が良い→増額補正→分子が大きくなる」というロジックを確認する。

ミスの類型3: 累乗計算の間違い

DCF法で(1+割引率)^n の計算を間違えるミス。

対策: 電卓の累乗機能を使い、計算結果を2回確認する。

ミスの類型4: 項目の漏れ

総費用の計算で特定の費用項目を入れ忘れるミス。

対策: 問題文で与えられた条件にチェックマークをつけ、すべて使い切ったか確認する。

ミスの類型5: 単位の間違い

㎡単価と総額を混同するミス。

対策: 計算結果には必ず単位を付記する。

検算のテクニック

逆算検算: 最終結果から逆算して、途中の計算結果が正しいか確認する。例えば収益価格が算出できたら、収益価格×還元利回りが純収益と一致するか確認する。

概算チェック: 計算結果がおおよそ妥当な範囲にあるか、直感的に確認する。例えば住宅地の更地で㎡単価が数百万円になっていたら計算ミスの可能性が高い。

部分検算: 時間が限られている場合は、全体を通しで検算するのではなく、特にミスしやすい箇所(補正率の計算、DCFの現在価値計算)だけを重点的に検算する。


電卓の効率的な使い方

試験で使用可能な電卓

論文式試験では電卓の持ち込みが認められています。ただし、以下の条件があります。

  • 使用可能: 一般的な事務用電卓(12桁以上推奨)
  • 使用不可: 関数電卓、プログラム機能付き電卓、音の出る電卓

電卓の基本操作を高速化する

メモリー機能の活用

電卓のメモリー機能(M+、M-、MR、MC)は演習で威力を発揮します。

キー機能使い方
M+メモリーに加算複数の計算結果を合計したいときに使用
M-メモリーから減算費用項目を差し引きたいときに使用
MRメモリーの呼出し合計結果を表示する
MCメモリーのクリア新しい計算を始める前に使用

DCF法でのメモリー活用例:

  1. MC(メモリークリア)
  2. 1期目のNOI÷(1+r)^1を計算→M+
  3. 2期目のNOI÷(1+r)^2を計算→M+
  4. 3期目のNOI÷(1+r)^3を計算→M+
  5. 復帰価格÷(1+r)^3を計算→M+
  6. MR→DCF法による収益価格が表示される

定数計算機能の活用

多くの電卓には定数計算機能があり、同じ数値を繰り返し掛けたり割ったりする際に便利です。DCF法で(1+r)を繰り返し掛ける場合などに活用できます。

電卓操作の練習方法

演習で高得点を取るためには、電卓操作の速度と正確性が不可欠です。以下の練習を日常的に行いましょう。

  • ブラインドタッチ練習: 電卓のキーを見ずに打てるように練習する(1日10分)
  • 検算の習慣化: 計算した後に必ず逆算して確認する癖をつける
  • メモリー機能の反復練習: DCF法の計算をメモリー機能を使って繰り返し練習する

答案の書き方

演習答案の構成

演習の答案は、以下の構成で記述します。

1. 前提条件の整理
問題で与えられた条件を簡潔にまとめます。

2. 各方式の適用
各方式について、計算式→計算過程→計算結果の順で記述します。

3. 試算価格の一覧
各方式で算定した試算価格を一覧表にまとめます。

4. 試算価格の調整
各試算価格の信頼性を検討し、どの価格をどの程度重視するかを記述します。

5. 鑑定評価額の決定
最終的な鑑定評価額を決定し、その根拠を簡潔に記述します。

答案作成のコツ

計算過程を省略しない: 途中の計算式をすべて記載することで、仮に最終結果が間違っていても部分点を得られます。

数値は見やすく書く: 桁区切りのカンマを入れ、単位(円、円/㎡)を明記する。

補正率の根拠を示す: 各補正率がなぜその値になるのかを簡潔に記述する。

端数処理のルールを明記する: 端数処理の方法(四捨五入、切り捨て等)を答案に記載する。


学習スケジュールと練習量の目安

演習対策の学習計画

期間学習内容週あたりの学習時間
1〜2ヶ月目各計算手法の基本を理解する。例題レベルの問題を解く3〜4時間
3〜4ヶ月目過去問レベルの問題に挑戦する。時間を計って解く4〜5時間
5〜6ヶ月目本番形式の演習(2時間で1〜2問)を繰り返す5〜6時間
直前1ヶ月過去問の最終回転と計算スピードの仕上げ6〜8時間

必要な練習量の目安

  • 過去問: 過去10年分を3回転以上
  • 例題・練習問題: 各テーマ5〜10問以上
  • 本番形式の演習: 月に2〜3回以上
確認問題

鑑定理論(演習)の試験では、関数電卓を使用することができる。


まとめ

鑑定理論(演習)は100点配点の計算科目であり、正確な計算力と答案の体裁が得点を左右します。

出題パターンを押さえる: 更地評価・建物及びその敷地の評価・DCF法による収益価格の算定・賃料の算定が4大パターンです。特にDCF法は近年ほぼ毎年出題されており、最重要テーマと位置づけて対策しましょう。

計算ミスを防ぐ: 桁の間違い・分子分母の取り違え・項目の漏れが三大ミスです。検算の習慣化と、計算結果の概算チェックでミスを最小限に抑えましょう。

電卓操作を磨く: メモリー機能と定数計算機能を使いこなせるようになると、計算スピードが大幅に向上します。ブラインドタッチの練習も欠かさずに行いましょう。

計算過程を省略しない: 答案には計算式と途中経過をすべて記載することで、部分点を確実に取りましょう。

演習は鑑定理論(論文)と合わせて300点を占める重要科目です。論文の基準暗記(鑑定理論(論文)の勉強法参照)と演習の計算力の両方を磨くことで、鑑定理論全体で高得点を確保し、論文式試験の合格を目指しましょう。収益還元法原価法の理論的な理解を深めることも、演習の計算力向上に直結します。


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