秘密を守る義務とは?不動産の鑑定評価に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
不動産鑑定士も不動産鑑定業者も、正当な理由がなく、業務に関して知り得た秘密を他に漏らしてはならない義務です。つまり、鑑定士でなくなった後や鑑定業を廃止した後も続き、破れば懲戒処分と刑罰の両方の対象になる、法律上の義務です。
秘密を守る義務とは
鑑定評価を頼む人は、売却の予定、賃料、収支、権利関係といった、外に出せない情報を業者に預けます。鑑定評価基準も「同法に規定されているとおり」秘密を他に漏らしてはならないと書いていますが、その法律の定めが6条(鑑定士)と38条(鑑定業者)で、破ったときの懲戒処分と刑罰まで用意しています。預ける先は業者、実際に資料を読むのは鑑定士なので、両方に同じ義務がかかります。しかも義務は、鑑定士でなくなった後、業者が廃業した後も続きます。

資料を預かる業者にも、資料を読む鑑定士にも、同じ義務がかかる。
義務は鑑定士個人と鑑定業者の両方にかかります
6条は不動産鑑定士について、鑑定評価等業務に関して知り得た秘密を正当な理由がなく他に漏らしてはならない、と定めます。38条は不動産鑑定業者について、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を正当な理由がなく他に漏らしてはならない、と定めます。依頼者の秘密は、鑑定士の頭の中にも、業者の書庫にも残ります。どちらか一方だけに義務をかけると、もう一方から漏れる穴が空くので、個人と業者の両方を縛ります。
鑑定士でなくなった後、業者が廃業した後も義務は続きます
6条は「不動産鑑定士でなくなつた後においても、同様とする」、38条は「不動産鑑定業を廃止した後においても、同様とする」と後段に書いています。依頼者の売却予定や賃料は、鑑定士が資格を離れても、業者が店を閉じても、情報としては生きているからです。何年たてば話してよい、という期限の定めもありません。

店を閉じても、昔の依頼者の秘密は話せない。
破れば、鑑定士は懲戒処分と刑罰の両方の対象です
40条1項後段は、鑑定士が6条に違反したときは、故意の不当な鑑定評価等と同じく、一年以内の業務禁止又は登録の消除の懲戒処分ができる、と定めています。戒告で済ませる余地はなく、いきなり重い方の処分です。さらに56条は、6条又は38条に違反して秘密を漏らした者を、六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金、又はその併科としています。業者が38条に違反すれば、登録をした大臣・知事の監督処分(41条)の対象にもなります。

秘密を漏らすと、役所の懲戒と裁判所の刑罰が両方来る。
正当な理由があれば漏らしても違反ではありません
6条も38条も、禁じているのは「正当な理由がなく」漏らすことです。条文は正当な理由の中身を書いていませんが、裁判所や役所から法令に基づいて求められた場合や、依頼者本人が同意している場合が当たると読めます。義務が消えるのではなく、その場面でだけ話すことが許されるという作りです。
不動産鑑定業者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。不動産鑑定業者がその不動産鑑定業を廃止した後においても、同様とする。
出典: 不動産の鑑定評価に関する法律 38条
実務ではこう使う
依頼者から預かった賃貸借契約書や収支資料は、鑑定評価書の写しとともに保存する一方で、鍵付きの書庫で管理します。退職する鑑定士や廃業する業者にも義務が残るので、資料の引継ぎ先と保管方法を決めてから手続きします。裁判所の照会に答えるときも、求められた範囲だけを出します。
短答式対策
肢別トレーニングで行政法規を攻略
過去問をベースにした一問一答形式のトレーニング。 行政法規の頻出論点を効率的に学べます。
年額プランなら1日わずか27円