委託者指図型投資信託とは?投資信託及び投資法人に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
信託財産を委託者の指図に基づいて主として特定資産に対する投資として運用することを目的とする信託で、受益権を分割して複数の者に取得させるものです。つまり、多くの投資家から集めたお金を、運用の専門会社が指図し、信託銀行などが預かって不動産や有価証券に投資する仕組みです。
委託者指図型投資信託とは
投資信託を買うと、自分のお金は信託銀行の金庫に入り、実際に何を買うかは運用会社が決めます。投資家は受益証券を持ち、運用の成果を口数に応じて受け取ります。この形のうち、運用会社(委託者)が「この不動産を買え」と指図し、信託銀行など(受託者)がその指図どおりに財産を持って動かすものが委託者指図型投資信託です(2条1項)。受託者が自分の判断で運用する委託者非指図型と対になり、二つを合わせて投資信託と呼びます(2条3項)。

委託者が指図し、受託者が預かって動かす。投資家は受益証券を持つ。
委託者は金融商品取引業者、受託者は信託会社等に限られます
委託者指図型投資信託契約は、一の金融商品取引業者を委託者とし、一の信託会社等(信託会社又は信託業務を営む金融機関)を受託者とするのでなければ締結できません(3条)。「一の」は一つの、という意味で、委託者も受託者も一社ずつです。委託者になれる金融商品取引業者は投資運用業を行う者に限られ、信託会社は除かれます(2条11項)。運用を決める側と財産を持つ側を別の会社にし、それぞれ監督を受けている業者に限ることで、投資家のお金が一つの会社の手元で勝手に動かされないようにしています。投資の対象に不動産が含まれる契約では、委託者は宅地建物取引業法3条1項の免許を受けている金融商品取引業者、信託財産を主として不動産に投資する契約では同法50条の2第1項の認可を受けている金融商品取引業者でなければなりません(3条1号・2号)。不動産の売買や賃貸を指図する会社には、不動産取引の法律の規制も受けていることを求めているのです。

不動産が含まれるなら宅建業の免許、主として不動産なら認可。
原則は金銭信託で、政令で定めるものだけが例外です
委託者指図型投資信託は、金銭信託でなければなりません(8条1項)。金銭信託とは、信託するときに受託者へ渡す財産がお金である信託です。投資家からお金を集め、そのお金で資産を買って運用し、最後はお金で返す仕組みなので、不動産や株式を現物のまま持ち込む形は原則として認めていません。例外は、主として換価の容易な資産に対する投資として運用することを目的とする投資信託であって、受益者の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定めるものです。施行令は、受益証券が金融商品取引所に上場されるなどの定めを約款に置いた投資信託を挙げており、上場株式のように売ればすぐお金に換わる資産なら、現物で受け入れても受益者が困らないと見ています(施行令12条)。

入口で受け取るのはお金。現物を持ち込めるのは、すぐお金に換わる資産だけ。
受益権は均等に分割し、口数に応じて均等の権利です
委託者指図型投資信託の受益権は均等に分割し、分割された受益権は受益証券をもって表示しなければなりません(6条1項)。受益者は、信託の元本の償還と収益の分配に関して、受益権の口数に応じて均等の権利を持ちます(6条3項)。一口あたりの中身がどれも同じだからこそ、何万人もの投資家が同じ条件で売り買いでき、値段も一つに決まります。受益者は、投資信託委託会社に対し、営業時間内に自分に係る投資信託財産の帳簿書類の閲覧や謄写を請求できます(15条2項)。運用の中身を投資家が確かめる手段として置かれた権利です。
この法律において「委託者指図型投資信託」とは、信託財産を委託者の指図(…)に基づいて主として有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるもの(以下「特定資産」という。)に対する投資として運用することを目的とする信託であつて、この法律に基づき設定され、かつ、その受益権を分割して複数の者に取得させることを目的とするものをいう。
出典: 投資信託及び投資法人に関する法律 2条1項
実務ではこう使う
不動産を組み入れる投資信託では、土地や建物の取得や譲渡のたびに、利害関係人等でない不動産鑑定士の鑑定評価が要ります(11条1項)。鑑定士に依頼してくるのは委託者である投資信託委託会社で、受託者の信託銀行ではありません。評価書には、証券化対象不動産の評価として依頼者との関係と依頼目的を明記します。
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