投資信託約款とは?投資信託及び投資法人に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
委託者指図型投資信託契約の内容を定めた約款で、金融商品取引業者が契約を締結しようとするときにあらかじめその内容を内閣総理大臣に届け出るものです(4条1項)。つまり、その投資信託が何に投資し、いつどう分配し、いつ終わるかを書いた、投資家が買う商品の説明書に当たる決まりです。
投資信託約款とは
投資信託を買うとき、投資家は運用会社と一対一で契約の中身を交渉するわけではありません。委託者と受託者があらかじめ決めた約款に書かれた条件で、何万人もの投資家が同じ商品を買います。約款には、委託者と受託者の名称、投資の対象とする資産の種類、財産の評価の方法、元本の償還と収益の分配、信託契約期間と解約、報酬の計算方法などが並びます(4条2項)。投資家が見て判断する中身がすべてここに書かれているので、法律は、契約を締結しようとするときも変更しようとするときも、事前に内閣総理大臣へ届け出ることを求めています。受益証券を取得しようとする者には、約款の内容を記載した書面が交付されます(5条1項)。

約款は商品の説明書。契約を結ぶ前に、内閣総理大臣へ届け出る。
契約を締結しようとするとき、あらかじめ届け出ます
金融商品取引業者は、投資信託契約を締結しようとするときは、あらかじめ、その契約に係る委託者指図型投資信託約款の内容を内閣総理大臣に届け出なければなりません(4条1項)。条文が求めるのは届出であって認可ではありませんが、時期は締結の前です。受益者の権利の中身は約款で決まるので、投資家に売り出された後に監督官庁が初めて中身を知るのでは、問題のある商品を止められないからです。約款には委託者と受託者の名称、投資対象の資産の種類、評価の方法、償還と分配、信託契約期間と解約、約款の変更に関する事項などを記載しなければなりません(4条2項)。
届出先は内閣総理大臣で、国土交通大臣ではありません
届出先は内閣総理大臣です(4条1項)。この法律は金融商品取引法と同じく金融庁が所管する法律で、約款の届出も、投資法人の登録(187条)も、相手はすべて内閣総理大臣で、権限は金融庁長官に委任されています(225条)。不動産を組み入れる投資信託でも、監督するのは投資家を守る立場の金融の監督官庁です。国土交通大臣が出てくるのは、委託者が受ける宅地建物取引業法の側です。取引一任代理等の認可(3条2号)は国土交通大臣が、免許(3条1号)は国土交通大臣又は都道府県知事が与え、投資信託の手続の相手にはなりません。

約款の届出は金融庁の窓口。国土交通省は宅建業法の免許・認可の窓口。
変更も併合も解約も、あらかじめ届け出ます
投資信託委託会社は、投資信託約款を変更しようとする場合と、委託者指図型投資信託の併合をしようとする場合には、あらかじめ、その旨とその内容を内閣総理大臣に届け出なければなりません(16条)。投資信託契約を解約しようとするときも、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出ます(19条)。締結・変更・併合・解約のどれも事前で、事後に届け出る手続はありません。変更や併合の内容が重大なものとして内閣府令で定めるものに当たるときは、届出に加えて、受益者の書面による決議を行わなければなりません(17条)。約款は投資家が買った条件そのものなので、その条件を変えるときは監督官庁への事前の届出と、受益者自身の同意の手続の二段で守られています。

締結・変更・併合・解約、どれも「する前に」届け出る。
約款に定めれば、金銭信託でない投資信託も認められます
委託者指図型投資信託は原則として金銭信託でなければなりません(8条1項)。例外として、受益証券を金融商品取引所に上場する旨や、受益者の請求により受益証券を上場有価証券などと交換する旨などを投資信託約款に定めた投資信託は、政令で金銭信託以外でもよいとされています(施行令12条)。上場されていて売ればすぐお金に換わる資産なら、現物で受け入れても受益者の保護に欠けないと見ているからです。約款に何を定めるかで、認められる信託の形が変わる例です。
金融商品取引業者は、投資信託契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該投資信託契約に係る委託者指図型投資信託約款(以下この章において「投資信託約款」という。)の内容を内閣総理大臣に届け出なければならない。
出典: 投資信託及び投資法人に関する法律 4条1項
実務ではこう使う
不動産を組み入れる投資信託の評価では、約款に定めた投資の対象と運用の方針が、対象不動産の位置づけや保有期間の前提を決めます。評価書の依頼目的の欄には、約款に基づく取得や譲渡のための鑑定評価であることを記載します。約款に書かれた財産の評価の方法と基準日も、価格時点を決めるときに確かめます。
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