特定資産とは?投資信託及び投資法人に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
有価証券、不動産その他の資産で、投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるものです(2条1項)。つまり、投資信託と投資法人が集めたお金の主な投資先として法律が認めた資産の一覧で、不動産がここに入っているから鑑定士が登場します。
特定資産とは
投資信託や投資法人は、集めたお金を何にでも投資できるわけではありません。有価証券、不動産、不動産の賃借権、地上権、金銭債権、匿名組合出資持分など、政令が一覧にした資産が主な投資先で、これを特定資産と呼びます(2条1項、施行令3条)。委託者指図型投資信託も投資法人も、定義の中で「主として特定資産に対する投資として運用する」と書かれています(2条1項・12項)。一覧の中に不動産と、その賃借権・地上権が入っているので、投資信託や投資法人が土地や建物を売り買いするときに、鑑定士の鑑定評価が法律上の手続として要ることになります。

政令の一覧に載った資産が特定資産。不動産も賃借権も入っている。
土地・建物と賃借権・地上権の取得・譲渡に鑑定評価が要ります
投資信託委託会社は運用の指図を行う投資信託財産について(11条1項)、資産運用会社は資産の運用を行う投資法人について(201条1項)、特定資産のうち土地若しくは建物又はこれらに関する権利若しくは資産で政令で定めるものの取得又は譲渡が行われたときは、その特定資産に係る不動産の鑑定評価を、不動産鑑定士であって利害関係人等でないものに行わせなければなりません。政令で定める権利は、土地や建物の賃借権と地上権などです(施行令16条の2・122条の2)。値段が一つに定まらない不動産を、運用会社の身内ではない鑑定士に評価させることで、投資家のお金で高く買わされたり安く売られたりすることを防いでいます。鑑定評価を行うのは不動産鑑定士で、宅地建物取引士など他の資格者による価格の査定では代わりになりません。
先に鑑定評価を済ませていれば、取引のときの再評価は要りません
取得又は譲渡に先立って当該鑑定評価を行わせている場合は、取得や譲渡が行われたときに改めて行わせる必要はありません(11条1項ただし書・201条1項ただし書)。「当該鑑定評価」なので、先に済ませておく評価も、不動産鑑定士であって利害関係人等でないものによる鑑定評価でなければなりません。条文の本文は「取得又は譲渡が行われたとき」に評価させる形ですが、実務では値段を決める前に評価を取るのが普通なので、このただし書のほうが実際の姿です。取引の前に価格の妥当性を確かめてあれば、取引の後に同じことを繰り返させる意味がないからです。

取引の前に鑑定士の評価書があれば、取引のときにもう一度は要らない。
不動産以外の特定資産は、弁護士や公認会計士などの価格調査です
鑑定評価の対象になる不動産や権利以外の特定資産(上場有価証券などの指定資産を除く)の取得や譲渡が行われたときは、投資信託委託会社とその利害関係人等、受託会社以外の者(投資法人では、投資法人、資産運用会社、資産保管会社以外の者)であって政令で定めるものに、価格などの調査を行わせなければなりません(11条2項・201条2項)。政令は、弁護士、公認会計士、監査法人などで、運用会社の役員や使用人でないものを挙げています(施行令18条・124条)。不動産は鑑定評価、それ以外は価格調査と、資産の種類で確かめ方を使い分けています。市場で値段が公開されている上場有価証券は、調査がなくても値段が分かるので外されています。

不動産は鑑定士の鑑定評価、それ以外の特定資産は弁護士・会計士の価格調査。
資産の流動化に関する法律の特定資産は別の定義です
資産の流動化に関する法律にも特定資産という言葉がありますが、そちらは、資産の流動化に係る業務として特定目的会社が取得した資産、または受託信託会社等が取得した資産をいいます(同法2条1項)。投資信託及び投資法人に関する法律の特定資産は、投資先として認められる資産の種類を政令で列挙したもので、同じ言葉でも中身が違います。一方は「どの種類の資産か」、もう一方は「誰が流動化のために取得した資産か」で決まるので、二つの法律を読み分けられます。
…主として有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるもの(以下「特定資産」という。)に対する投資として運用することを目的とする信託…
出典: 投資信託及び投資法人に関する法律 2条1項
実務ではこう使う
証券化対象不動産の鑑定評価は、この特定資産の取得と譲渡の場面で法律上求められる評価です。鑑定士は利害関係人等に当たらないことを確認し、DCF法を適用した収益価格を中心に、各論第3章の手順で評価書を作ります。土地や建物だけでなく、賃借権や地上権の取得・譲渡も鑑定評価の対象になる点を落とさないようにします。
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