準工業地域とは?都市計画法での意味を図でわかりやすく解説
主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める用途地域です(9条11項)。つまり、住宅や店の隣にあっても困らない町工場のための地域で、工業系3地域の中で建てられる建物の幅がいちばん広い地域です。
準工業地域とは
下町を歩くと、町工場の隣にマンションが建ち、その向かいにコンビニと小学校がある街並みに出会います。金属の切削や印刷のように機械の音はしても、火薬や薬品のように周りを危険にさらすことのない工場なら、住宅や店と隣り合って構いません。そうした工業のための地域が準工業地域で、13種類の用途地域のうち工業系3地域の一つです(9条11項)。危険性や環境悪化の大きい工場だけを禁じ、住宅、店舗、事務所、学校、病院まで幅広く建てられるので、住宅地にも商業地にも工業地にも姿を変えうる、いちばん混在の進んだ地域です。

町工場とマンションと店が隣り合う、いちばん混在の進んだ地域。
工業の利便を増す地域ですが、周りを害する工業は除きます
工業系3地域は、どこまでの工業を受け入れるかで分かれます。工業専用地域は「工業の利便を増進するため」で、工業だけの地域です。工業地域は「主として工業の利便を増進するため」で、工業が中心ではあるものの住宅や店も混じります。準工業地域はさらに「環境の悪化をもたらすおそれのない」と工業の側に条件を付け、火薬類や危険物、可燃性ガスの製造、石綿を含む製品の製造といった周りを危険にさらす工業を除いています(建築基準法別表第二(る)項)。条件が付くのは工業の側であって住宅の側ではないので、住宅も店も学校も建てられる地域になります。

除くのは周りを危険にさらす工業で、住宅や店は除かない。
住宅との混在を前提にするので、住居系に近い扱いを受けます
準工業地域は、高層住居誘導地区を定められる5つの用途地域(第一種住居、第二種住居、準住居、近隣商業、準工業。9条17項)と、特例容積率適用地区を定められる9つの用途地域(9条16項)に入っています。住宅が建てられる地域だからこそ、高層住宅を誘導する地区を重ねる意味があります。反対に、劇場や大型店といった特定大規模建築物を集める開発整備促進区を定められるのは、第二種住居地域、準住居地域、工業地域と用途地域のない区域で(12条の5第4項4号)、準工業地域は入りません。開発整備促進区は、床面積1万㎡を超える大規模集客施設を建てられなくなった第二種住居、準住居、工業の3地域で、それでも建てたい区域を指定する仕組みだからです。準工業地域では大規模集客施設が建てられるままなので、促進区は要りません。

住宅を誘導する地区は重ねられ、大型店を誘導する促進区は要らない。
準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする。
出典: 都市計画法 9条11項
実務ではこう使う
町工場の跡地にマンションが建ち、住宅と工場と店舗が入り混じる地域です。用途の制限が緩いぶん、住宅地にも商業地にも工業地にも転換しうるので、地域分析では用途の混在の程度と転換の方向を見ます。工場の隣に住宅が建つ場合の騒音や振動は個別的要因のマイナスになり、逆に幹線道路沿いでは商業への転換で価格が上がることもあります。
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