河川保全区域とは?河川法での意味を図でわかりやすく解説
河岸又は河川管理施設を保全するため必要があるときに、河川管理者が河川区域に隣接する一定の区域に指定する区域です。つまり、堤防のすぐ外側の土地に、堤防を弱らせる工事を防ぐためにかける、一段ゆるい規制の範囲です。
河川保全区域とは
堤防のすぐそばの宅地で深い地下室を掘ったり、重い建物を建てたりすると、堤防の土台がゆるんで、洪水のときに崩れるおそれがあります。ところがそこは河川区域の外なので、河川法の許可制はそのままでは及びません。そこで河川管理者は、河川区域に隣接する土地を河川保全区域に指定し、土地の掘削・盛土・切土と工作物の新築・改築に許可を求めます(54条・55条)。指定は必要最小限度で、河川区域の境界から50メートル以内が原則です。河川区域の中ではなく隣に指定する点と、許可が要る行為が河川区域より少ない点が、この語の要点です。

堤防のそばで深く掘ると堤防が弱るから、隣の土地にも規制をかける。
指定するのは、河川区域の中ではなく隣接する区域です
河川管理者は、河岸又は河川管理施設を保全するため必要があると認めるときは、河川区域に隣接する一定の区域を河川保全区域として指定することができます(54条1項)。河川区域の中は、もともと河川法の許可制が全面的にかかっているので、そこに保全区域を重ねる意味がありません。保全のために足りないのは外側の土地への規制なので、河川保全区域は河川区域の隣に置かれます。国土交通大臣が指定するときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴き(54条2項)、指定したときは公示します(54条4項)。
必要最小限度で、境界から50メートル以内が原則です
河川保全区域の指定は、河岸又は河川管理施設を保全するため必要な最小限度の区域に限ってするものとし、河川区域の境界から50メートルをこえてはなりません(54条3項本文)。地形や地質の状況により必要やむを得ないと認められる場合に限って、50メートルをこえて指定できます(同項ただし書)。私有地に規制をかける以上、堤防を守るのに本当に要る幅だけに絞るという考え方です。
許可が要るのは形状変更と工作物の新築・改築で、除却は要りません
河川保全区域内で、土地の掘さく、盛土又は切土その他土地の形状を変更する行為と、工作物の新築又は改築をしようとする者は、河川管理者の許可を受けなければなりません(55条1項)。河川区域の26条では工作物の除却にも許可が要りますが、55条には除却が入っていません。堤防を守るのが目的なので、地面を変える行為と物を建てる行為だけを見れば足りるからです。施行令34条は、耕うんや、堤内の土地での高さ3メートル以内の盛土、深さ1メートル以内の掘さくや切土などを許可不要としつつ、河川管理施設の敷地から5メートル以内の土地では耕うん以外のこれらの行為にも許可を求めています。

河川保全区域で許可が要るのは、地面を変える行為と建てる行為。
河川予定地は、これから河川区域になる土地で、損失は補償されます
河川管理者は、河川工事の施行により新たに河川区域内の土地となるべき土地を河川予定地として指定することができます(56条1項)。河川予定地でも、土地の形状を変更する行為と工作物の新築又は改築に河川管理者の許可が要り、除却は対象に入っていません(57条1項)。河川保全区域と違うのは、この制限で損失を受けた者に対して河川管理者が通常生ずべき損失を補償しなければならない点です(57条2項)。将来川になることが決まった土地の所有者に、工事までの間の不利益を負わせたままにしないためです。河川管理者がその土地の権原を取得した後は、河川区域内の土地とみなされます(58条)。

河川予定地は、これから川になる土地。制限の損失は補償される。
河川管理者は、河岸又は河川管理施設(樹林帯を除く。第三項において同じ。)を保全するため必要があると認めるときは、河川区域(第五十八条の二第一項の規定により指定したものを除く。第三項において同じ。)に隣接する一定の区域を河川保全区域として指定することができる。
出典: 河川法 54条1項
実務ではこう使う
堤防に沿った住宅地では、河川保全区域に入っているかどうかで、地下室や井戸、堅固な擁壁の設置に許可が要るかが変わります。指定の有無と範囲は河川管理者の公示と図面で確かめ、評価では建築や造成の制約として個別的要因に書きます。河川区域と河川保全区域の境界は現地では分からないので、必ず図面で確認します。
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