土地基本方針とは?土地基本法での意味を図でわかりやすく解説
政府が、土地に関する施策の総合的な推進を図るために定めなければならない、土地に関する基本的な方針です(21条)。国土交通大臣が案を作り、閣議で決定し、直ちに告示します。
土地基本方針とは
所有者不明土地を減らす、空き地や空き家を使えるようにする、地籍調査を進める。こうした土地政策は、国土交通省だけでなく法務省や農林水産省、市町村にもまたがるので、政府全体で「これからこの方向で進める」と決めた文書が要ります。それが土地基本方針で、令和2年の土地基本法改正で新しく設けられました。21条は政府にこの方針を定める義務を課し、国土交通大臣が案を作って閣議の決定を求め、決定があれば直ちに告示する、という手続を定めています。

国全体の土地政策の方向だから、政府が閣議で決める。
定めるのは政府で、国土交通大臣が案を作って閣議決定を求めます
21条1項は、政府は土地についての基本理念にのっとり、土地の利用及び管理、取引、調査、情報の提供に関する基本的施策その他の施策の総合的な推進を図るため、土地基本方針を定めなければならないと定めています。3項で国土交通大臣が案を作成して閣議の決定を求め、5項で決定があったときは直ちに告示します。6項は変更にも同じ手続を準用するので、方針を変えるときも閣議決定と告示を経ます。都道府県や市町村に方針を定める義務はなく、地方公共団体は12条の土地の利用及び管理に関する計画を策定する側です。
案の前に、国民の意見を反映させ、国土審議会の意見を聴きます
21条4項は、国土交通大臣が案を作成しようとするときは、あらかじめ国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、国土審議会の意見を聴かなければならないと定めています。意見公募で広く国民の声を集め、専門家の集まりである国土審議会の目を通してから閣議にかける、という二重の手順です。国土審議会は22条で、国土交通大臣の諮問に応じて土地に関する総合的かつ基本的な施策を調査審議し、大臣に意見を申し出ることができる機関と定められています。

国民の意見と国土審議会の意見を通してから、閣議へ。
毎年国会に出す年次報告とは、別の制度です
11条の[[nenji-hokoku|年次報告]]は、政府が毎年、国会に提出する、この一年の土地の動向と講じた施策の振り返りです。土地基本方針はこれからの施策の方向を示す文書で、毎年作るものでも国会に出すものでもなく、閣議で決めて告示します。「政府」が主語である点は同じですが、相手(国会か国民一般か)、頻度(毎年か必要に応じてか)、手続(提出か閣議決定と告示か)が違います。

振り返りは毎年国会へ。これからの方向は閣議で決めて告示。
中身は、計画・利用と管理・取引・調査と情報提供の五項目です
21条2項は、方針に定める事項を五つ掲げています。12条1項の計画の策定等に関する基本的事項、適正な土地の利用及び管理の確保を図るための措置に関する基本的事項、土地の取引に関する措置に関する基本的事項、調査の実施及び資料の収集に関する措置並びに情報の提供に関する基本的事項、その他施策の総合的な推進に必要な事項です。第2章に並ぶ基本的施策の見出しがそのまま方針の目次になっている、という関係です。
政府は、土地についての基本理念にのっとり、前章に定める土地の利用及び管理、土地の取引、土地の調査並びに土地に関する情報の提供に関する基本的施策その他の土地に関する施策の総合的な推進を図るため、土地に関する基本的な方針(以下この条において「土地基本方針」という。)を定めなければならない。
出典: 土地基本法 21条1項
実務ではこう使う
現行の土地基本方針には、所有者不明土地の発生抑制と解消、低未利用土地の利用促進、地籍調査の推進、不動産の取引価格や登記の情報基盤の整備が書かれています。鑑定評価で使う取引事例や地籍の資料がどう整えられていくかの方向が、この方針で読めます。相続登記の義務化や所有者不明土地の管理制度も、この方針の流れの中で整えられました。
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