土地所有者等とは?土地基本法での意味を図でわかりやすく解説
土地の所有者と、土地を使用収益する権原を有する者を合わせた、土地基本法の呼び名です(4条1項)。つまり、名義を持つ人だけでなく、借地人や賃借人のように正当な権利で土地を使っている人も含みます。
土地所有者等とは
一区画の土地には、登記簿に名前のある所有者と、その土地を借りて家を建てたり畑を耕したりしている人がいることがあります。土地をどう使い、どう手入れするかを日々決めているのは、名義人よりむしろ実際に使っている人です。土地基本法は、土地の使い方に責任を持つのは名義を持つ人だけではないと考え、所有者と「土地を使用収益する権原を有する者」を合わせて土地所有者等と呼び、責務の名宛人にしました。使用収益する権原とは、借地権や賃借権のように、他人の土地を使って利益を得ることが法律上認められている立場のことです。

持つ人も使う人も、土地所有者等。
基本理念にのっとって利用・管理・取引を行う責務を負います
6条1項は、土地所有者等は土地についての基本理念にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有すると定めています。3項は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならないとし、こちらは「努める」ではなく協力の義務です。借りて使っている人も、公共の福祉を優先させ、周辺に悪影響を与えずに使い、投機的取引をしないという理念に従うことになります。
登記と境界の明確化は、土地の所有者に努力を求める規定です
6条2項は、土地の所有者は、1項の責務を遂行するに当たって、所有する土地の登記手続その他の権利関係の明確化のための措置と、所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならないと定めています。主体は「土地の所有者」で、借地人を含む土地所有者等ではありません。登記や境界は所有権に関わる事柄なので、名義を持つ人に求めるのが筋だからです。語尾は努力義務で、頻度や期限、罰則の定めはなく、所有者不明土地や境界不明の土地を減らすために令和2年の改正で加わりました。境界は隣の土地の所有者との間で決まるもので、一人では確定できないため、条文に理由は書いていませんが義務ではなく努力にとどめたと考えられます。

相続登記と境界の杭は、所有者が努める。
国と地方公共団体、事業者、国民にも責務があり、強さが違います
7条は、国及び地方公共団体に、基本理念にのっとって土地に関する施策を総合的に策定し実施する責務を負わせ、広報活動などで国民の理解を深める措置を講じなければならないとします。8条は、事業者は土地の利用及び管理並びに取引に当たって基本理念に「従わなければならない」とし、施策に協力しなければならないとします。9条は、国民は基本理念を「尊重しなければならない」とし、施策への協力は「努めなければならない」と一段やわらかく定めています。土地に近い立場ほど強い言葉で書かれている、という並びです。

四者それぞれの責務。土地に近いほど強い言葉。
土地所有者等は、第二条から前条までに定める土地についての基本理念(以下「土地についての基本理念」という。)にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有する。 土地の所有者は、前項の責務を遂行するに当たっては、その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。
出典: 土地基本法 6条1項・2項
実務ではこう使う
対象不動産の権利関係を調べるときは、登記簿上の所有者だけでなく、借地権者や賃借人といった使用収益する権原を持つ人を確かめます。境界が不明な土地や相続登記が済んでいない土地は、確定測量図や隣地所有者との境界確認書の有無を依頼者に尋ね、評価の前提条件に書きます。所有者不明土地の解消が土地基本方針の柱の一つになっているのも、この6条2項の考え方の延長です。
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