投機的取引とは?土地基本法での意味を図でわかりやすく解説
土地を利用する目的を持たず、値上がりによる転売益だけを目当てに売買する取引です。土地基本法4条2項は、土地はこの投機的取引の対象とされてはならないと定めています。
投機的取引とは
昭和の終わりごろ、都心の土地を買って何も建てずに置いておけば、数か月後に高く売れる時代がありました。買った人は土地を使うつもりがなく、次の買い手も同じで、権利書だけが人から人へ渡るうちに値段が実際の使い道と釣り合わない高さまで上がりました。このように、利用の目的なしに値上がり益だけを狙って土地を売買することが投機的取引です。土地基本法は平成元年、この地価高騰への対策として作られ、4条2項に「土地は、投機的取引の対象とされてはならない」という一文を置きました。

使わずに転売だけを繰り返すのが投機。土地は使う人に渡す。
投機は利用を伴わない点で、利用を伴う投資とは別のものです
条文は投機的取引の定義を置いていませんが、土地基本法が地価高騰への対策として作られた経緯から、土地を使う目的がなく短期の値上がり益だけを狙う売買を指すと読まれています。賃貸ビルを買って家賃収入を得たり、数年後の売却を見込みつつ事業に使ったりするのは、利用を伴う投資であって投機ではありません。4条は「投機的取引」の語だけを使い、投資や取引一般を禁じる言葉はどこにもありません。

同じ土地でも、使わずに値上がりを待てば投機、建てて貸せば投資。
4条は取引そのものを肯定し、投機的取引だけを退けます
4条1項は、土地所有者等による適正な利用及び管理を促進する観点から、土地は円滑に取引されるものとすると定めています。土地基本法は取引を抑え込む法律ではなく、使う人に土地が渡るように取引はしやすくする立場です。そのうえで2項が、投機的取引の対象とされてはならないと定め、否定するのは使う目的のない値上がり狙いの売買だけだと限っています。2項にただし書や、地価高騰の局面に限るといった条件は付いていません。
この理念は、取引規制の措置と鑑定評価にもつながります
この理念を受けて14条2項は、国及び地方公共団体が、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、適正な地価の形成に資するため、土地取引の規制に関する措置などを講ずるものとしています。国土利用計画法の届出や規制区域の許可制は、この措置の具体化です。鑑定評価基準も、不動産鑑定士は土地が投機的取引の対象とされてはならないという認識に立って鑑定評価を行うものとし、鑑定評価で使う取引事例等が投機的取引であると認められる事例など適正さを欠くものであってはならないと定めています。
土地は、土地の所有者又は土地を使用収益する権原を有する者(以下「土地所有者等」という。)による適正な利用及び管理を促進する観点から、円滑に取引されるものとする。 土地は、投機的取引の対象とされてはならない。
出典: 土地基本法 4条
実務ではこう使う
取引事例を集めるとき、転売目的の短期売買や相場から大きく外れた取引は、事情補正で直して使うのではなく、最初から事例として採用しません。基準が「投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない」と定めているからです。登記の移転の間隔が極端に短い事例や、更地のまま何度も所有者が変わっている事例は、この観点で確かめます。
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