都市計画法の開発許可制度 - 33条・34条の基準を不動産鑑定士試験向けに解説
不動産鑑定士試験の行政法規で頻出の都市計画法開発許可制度を解説。33条の技術基準・34条の立地基準・面積閾値など試験で問われる論点を体系的にまとめました。
開発許可制度とは
都市計画法の開発許可制度は、無秩序な市街化を防止し、計画的な土地開発を誘導するための許可制度です。不動産鑑定士試験の行政法規科目において、都市計画法の概要と並んで頻繁に出題されるテーマであり、33条・34条の各基準を正確に理解することが合格への近道となります。
開発許可制度は、一定規模以上の「開発行為」を行う場合に、都道府県知事等の許可を要求することで、都市の秩序ある発展を図る仕組みです。大規模な宅地開発や工場用地の造成が乱立することを防ぎ、住環境の保全と公共施設の計画的整備を実現しています。
不動産鑑定評価においても、開発許可制度は大規模画地の評価や、市街化調整区域内の土地評価において極めて重要な考慮要素となります。開発許可が得られるかどうかが、土地の価格を根本的に左右することがあるからです。
開発行為の定義
開発許可の対象となる「開発行為」は、都市計画法第4条第12項で定義されています。
主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。― 都市計画法 第4条第12項
この定義のポイントは「土地の区画形質の変更」です。区画の変更(宅地の分割・合筆)、形の変更(切土・盛土)、質の変更(農地から宅地への変更)のいずれかを伴う行為が開発行為に該当します。
特定工作物とは
開発行為の対象となる「特定工作物」には2種類あります。
- 第一種特定工作物:コンクリートプラント・アスファルトプラントなど(面積を問わず許可が必要)
- 第二種特定工作物:ゴルフコース・野球場・遊園地など1ヘクタール以上のもの
ゴルフコース等は面積が1ヘクタール以上であれば、都市計画区域外でも開発許可が必要となる点に注意が必要です。
都市計画法における「開発行為」とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう。
開発許可が必要な面積基準
開発許可が必要となるかどうかは、開発区域の面積と区域の種別によって異なります。これは試験で頻繁に出題される重要な数字です。
都市計画区域若しくは準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。― 都市計画法 第29条第1項
区域別の面積基準
| 区域の種別 | 許可が必要な面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡以上(三大都市圏の既成市街地等は500㎡以上) |
| 市街化調整区域 | 面積を問わずすべて許可必要 |
| 非線引き都市計画区域 | 3,000㎡以上 |
| 準都市計画区域 | 3,000㎡以上 |
| 都市計画区域・準都市計画区域外 | 10,000㎡以上 |
試験で最も問われるポイント:市街化調整区域
市街化調整区域では、面積に関わらずすべての開発行為に許可が必要です。これは市街化調整区域が「市街化を抑制すべき区域」であることから、小規模な開発であっても例外なく許可制としているためです。
市街化区域の1,000㎡基準と混同しやすいため、「市街化調整区域は面積不問・すべて許可必要」という点を確実に記憶してください。
市街化調整区域では、開発行為の規模にかかわらず、すべての開発行為について都道府県知事の許可が必要である。
許可不要の例外(法第29条第1項各号)
一定の開発行為については、その性質上、許可を不要としています。主な例外を押さえておきましょう。
- 農林漁業用施設の建築等に係る開発行為(市街化調整区域を除く)
- 公益上必要な建築物の建築に係る開発行為(駅舎、変電所、図書館など)
- 都市計画事業の施行として行う開発行為
- 非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為
- 通常の管理行為・軽易な行為として政令で定めるもの
農林漁業用施設の例外は、市街化調整区域では適用されない点に注意が必要です。市街化調整区域では農家住宅等も原則として許可が必要となります。
開発許可の基準:33条(技術基準)
都市計画法第33条は、開発許可の技術基準を定めています。すべての開発行為に適用される基準であり、この基準を満たさない限り許可を受けることができません。
都道府県知事は、開発許可の申請があった場合において、当該申請に係る開発行為が、次に掲げる基準(中略)に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。― 都市計画法 第33条第1項
33条の技術基準は主に以下の項目から構成されています。
33条の主要な技術基準
| 基準の内容 | ポイント |
|---|---|
| 道路・公園・広場等の公共施設の設置 | 開発区域内の主要な道路が4m以上の幅員を有すること |
| 排水施設の設置 | 雨水・汚水を有効に排出できる排水施設を設置すること |
| 給水施設の整備 | 水道その他の給水施設が設置されること |
| 地盤の安全性 | がけ崩れ・出水等の災害の防止措置が講じられること |
| 公共施設の管理 | 開発行為により設置される公共施設の管理者の同意を得ること |
| 用途地域への適合 | 建築物の用途が用途地域の規定に適合していること |
| 建ぺい率・容積率等への適合 | 市街化調整区域・非線引き区域では建蔽率・容積率等への適合 |
33条基準は技術的な安全性・衛生性・利便性を確保するための基準であり、これらをすべて満たせば知事は許可しなければなりません(覊束裁量)。
開発許可の基準:34条(立地基準)
都市計画法第34条は、市街化調整区域における立地基準を定めています。市街化調整区域に限定して適用される特別な基準であり、33条基準を満たした上でさらにこの34条の各号のいずれかに該当する必要があります。
市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が前条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号の一に該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。― 都市計画法 第34条
34条の主要な許可事由(例示)
| 号 | 許可される開発行為の類型 |
|---|---|
| 1号 | 農林漁業従事者の住宅・農産物の貯蔵・加工等に必要な施設 |
| 2号 | 農林漁業と調和した一定の施設(農産物直売所等) |
| 3号 | 温泉利用施設・火薬類製造所など市街化調整区域立地が必要な施設 |
| 4号 | 卸売市場・火葬場・ごみ焼却場等の日常生活に必要な施設 |
| 8号 | 既存建築物の用途変更で政令で定めるもの |
| 11号 | 区域区分制定時に既に宅地だった土地での住宅等 |
| 12号 | 開発審査会の議を経て許可(個別事情による) |
| 14号 | 条例で定める区域での一定の開発行為 |
34条の各号は、市街化調整区域であっても「やむを得ない理由で許可すべき場合」を列挙したものです。これらに該当しない開発行為は、原則として許可されません。
市街化調整区域において農業を営む者が自己の居住のための住宅を建築する目的で行う開発行為は、都市計画法第34条第1号に該当し、開発許可を受けることができる。
33条と34条の関係
33条と34条の関係は試験でよく問われます。
- 33条(技術基準):すべての開発行為に適用される。技術的要件。すべての基準を満たせば知事は許可しなければならない(覊束裁量)。
- 34条(立地基準):市街化調整区域のみに適用される追加要件。33条に加えて、34条各号のいずれかに該当しなければ許可できない。
市街化調整区域での開発許可は、33条+34条の両方を満たす必要があります。これは試験頻出の論点です。
開発許可の手続き
開発許可の手続きは以下のような流れで進みます。
- 開発許可申請:申請者が都道府県知事に申請書を提出
- 関係機関との協議:道路管理者・下水道管理者等との協議・同意
- 許可または不許可の処分:知事が審査し、許可または不許可を通知
- 工事着手・完了:許可を受けた内容に従って工事を実施
- 工事完了の届出・検査:工事完了後に届出を行い、知事が完了検査を実施
- 検査済証の交付・公告:合格した場合に検査済証を交付し、公告がなされる
建築制限
開発許可を受けた区域では、工事完了の公告があるまでの間、原則として建築物の建築等を行うことができません。ただし、工事用仮設建築物等については例外が認められます。
また、工事完了の公告後は、予定建築物以外の建築物を建築することができない等の制限が生じます。
開発許可を受けた開発区域において、工事完了の公告があった後は、当該開発区域内において、予定建築物等以外の建築物を建築することができない。
不動産鑑定評価における開発許可制度
開発許可制度は、不動産鑑定評価において複数の場面で重要な考慮要素となります。
大規模画地の評価
市街化区域内の大規模画地(おおむね500㎡または1,000㎡超の土地)を評価する場合、開発許可を受けて宅地造成する際に生じるコストを考慮する必要があります。
- 公共施設(道路・公園等)の用地として提供される部分の面積減少
- 道路・排水施設等の公共施設整備費用の負担
- 開発許可申請・手続き費用
これらの開発負担額を考慮した上で、標準的な宅地の比準価格から減価する方法が一般的に採用されます。
市街化調整区域の土地評価
市街化調整区域の土地を評価する場合、開発許可の見込みが土地の価格を大きく左右します。
- 開発許可の見込みあり(34条各号に該当):許可取得後の宅地価格を前提とした評価が可能
- 開発許可の見込みなし:農地・林地としての価格にとどまる
市街化調整区域の土地に対して、宅地としての価格形成がされている場合、その背景として34条のいずれかの許可事由に該当する可能性があることを確認することが重要です。
試験での頻出ポイントまとめ
面積基準の暗記
| 区域 | 面積基準 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡以上(三大都市圏等は500㎡以上) |
| 市街化調整区域 | 面積問わずすべて |
| 非線引き・準都市計画区域 | 3,000㎡以上 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 |
33条 vs 34条の整理
- 33条:技術基準・全区域適用・覊束裁量(満たせば許可しなければならない)
- 34条:立地基準・市街化調整区域のみ・各号への該当が必要
よくある誤解ポイント
- 農林漁業用施設の許可不要規定は市街化調整区域には適用されない
- 市街化調整区域では農家住宅(34条1号)も許可が必要(許可が不要ではない)
- 33条基準をすべて満たしても、市街化調整区域では34条の該当が別途必要
まとめ
都市計画法の開発許可制度は、開発行為の定義・面積基準・33条技術基準・34条立地基準の4つの柱から成り立っています。特に市街化調整区域の取り扱いは試験で頻繁に問われるため、「面積問わずすべて許可必要」「33条+34条の両方が必要」という二点を確実に押さえておくことが重要です。
不動産鑑定評価との関連でも、土地区画整理法と並んで、大規模画地や調整区域土地の評価における重要な考慮要素として出題されます。建築基準法の接道義務や建ぺい率・容積率規制と組み合わせて、体系的に理解しておきましょう。