/ 鑑定理論

地域要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

一般的要因の相関結合によって、規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因です。つまり、その地域の土地ならどれにも同じように効く、地域ぐるみの事情です。

地域要因とは

同じ市内でも、駅に近く商店や学校がそろった住宅街と、バスしか通らない丘の上の住宅街では、土地の値段の水準がまるで違います。一区画の形や日当たりの話ではなく、「その地域の土地なら、どれもそうだ」という地域ぐるみの事情が、値段の水準を決めています。この事情を基準は地域要因と呼びます。人口や金利のような世の中全体の要因(一般的要因)が、その場所の地形や交通や規制と結び付いて地域らしさを作り、地域の不動産の価格に全般的に効きます。

地域要因の図解:駅に近く店と学校がそろった住宅街と、バスだけの丘の上の住宅街。地域ごとの事情が値段の水準を分ける。

駅に近く店と学校がそろった住宅街と、バスだけの丘の上の住宅街。地域ごとの事情が値段の水準を分ける。

地域要因は、一般的要因が地域ごとに結び付いてできます

基準は、地域要因を「一般的要因の相関結合」によって各地域の特性を形成するもの、と定義します。人口の増減や金利の水準は日本中に同じように働きますが、それがその場所の地形、鉄道の路線、用途地域の指定と結び付くと、「駅前の商業地域」「丘の上の閑静な住宅地域」のような地域らしさになります。この地域らしさが、規模(どのくらいの広がりか)、構成の内容(何が集まっているか)、機能(何のための地域か)として現れます。土台にあるのは世の中全体の要因であって、一つひとつの土地の事情(個別的要因)が集まって地域ができるのではありません。

地域要因は、その地域の不動産すべてに全般的に効きます

駅までの距離、幹線道路の騒音、汚水処理場の有無は、その地域にある土地なら、どれにも同じように効きます。これが「全般的な影響」で、地域要因を個別的要因から分ける決め手です。同じ「周りの状況」でも、隣に高層ビルが建って日当たりが悪いのは、その一区画だけの事情なので個別的要因です。地域全体に及ぶか、その不動産だけに及ぶかで、二つを分けます。

地域要因の図解:駅も幹線道路も地域の家すべてに効く。隣の高層ビルは、その一区画だけの事情。

駅も幹線道路も地域の家すべてに効く。隣の高層ビルは、その一区画だけの事情。

地域は用途的観点から分けて見ます

地域には、市の境のような行政上の区分や、川や山で分ける自然上の区分もあります。しかし不動産の価格に効く事情は、住むための地域か、商売のための地域か、工場のための地域かという使われ方によって変わります。だから基準は、地域分析で特に重要な地域を、用途的観点から区分される地域(用途的地域)と定めています(総論第6章)。第3章の例示も種別ごとに分かれ、農地地域と林地地域は別に例示されます。基準に着眼点の語はありませんが、例示を読むと、住宅地域は快適性と利便性、商業地域は収益性、工業地域は費用の経済性と生産の効率性に効く事情が並んでいると読めます。商業地域と工業地域は、住宅地域の14項目に、それぞれの地域に特有の要因を加えて見ます。

地域要因の図解:住宅地域は住み心地、商業地域は客の流れ、工業地域は運びやすさ。使われ方で見る点が変わる。

住宅地域は住み心地、商業地域は客の流れ、工業地域は運びやすさ。使われ方で見る点が変わる。

移り変わる途中の地域では、程度によって重視する側が変わります

農地地域が宅地地域に変わりつつある(転換)、住宅地域が商業地域に変わりつつある(移行)という地域では、変わった後の種別の地域要因をより重視します。買い手が、変わった後の姿を思い描いて値段を付けるからです。ただし、転換や移行がまだ始まったばかりで程度が低いときは、今の種別、つまり変わる前の地域要因をより重視します。どちらを重く見るかは、変化がどこまで進んだかで決まります。

地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。

出典: 総論第3章 第2節

実務ではこう使う

実務では、地域要因は地域分析で扱います。近隣地域の範囲を決めたうえで、街路、交通、公共施設、嫌悪施設、規制を現地と資料で確かめ、標準的使用を判定します。取引事例比較法では、事例地の地域と対象地の地域を比べる地域要因の比較を行い、格差を率で表します。評価書には、地域の特性と将来の動向まで書きます。

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