/ 鑑定理論

維持管理の状態とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

建物の各用途に共通する個別的要因の一つで、屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備等に関する破損・老朽化等の状況と保全の状態です。つまり、その建物がこれまでどれだけ手入れされてきたかです。

維持管理の状態とは

同じ築20年の家でも、屋根を塗り替え、給湯器を取り替えてきた家と、雨漏りをそのままにしてきた家では、買い手が払う値段がまるで違います。中古車を買うときに整備記録簿を見るのと同じで、建物も「これまでどれだけ手入れされてきたか」が値段に効きます。基準はこれを維持管理の状態と呼び、住宅でも事務所ビルでも物流施設でも見る、建物の各用途に共通する個別的要因の一つに数えています。留意事項は、屋根から防災設備までの破損・老朽化等の状況と保全の状態に特に留意するよう求めています。

維持管理の状態の図解:同じ築年数でも、手入れの差がそのまま値段の差になる。

同じ築年数でも、手入れの差がそのまま値段の差になる。

見る場所は、屋根から防災設備まで建物の全身です

留意事項が挙げるのは、屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備等の八つです。前の四つは雨風を防ぎ人が使う建物の体そのもので、後の四つは建物を動かす設備です。それぞれについて「破損・老朽化等の状況」つまり今どれだけ傷んでいるかと、「保全の状態」つまり傷まないよう守られてきたかの二つを見ます。傷みの有無だけでなく、守られてきたかまで見るのは、同じ傷みでも手入れの習慣がある建物は今後の傷み方が緩やかだからです。

維持管理の状態の図解:屋根・外壁・床・内装と、電気・給排水・衛生・防災の設備を、破損と保全の二つの目で見る。

屋根・外壁・床・内装と、電気・給排水・衛生・防災の設備を、破損と保全の二つの目で見る。

手入れの良し悪しは、今の減価と将来の修繕費の両方に効きます

手入れが悪い建物は、今の時点で傷んでいる分だけ価値が下がっています。これが減価の度合いへの影響です。さらに、傷みを放っておいた建物は次の大規模修繕が早く来て、しかも高くつきます。これが将来見込まれる修繕費用の多寡への影響です。買い手は「今いくら傷んでいるか」と「この先いくらかかるか」の両方を値段から差し引くので、維持管理の状態は二つの経路で価格形成に影響します。

維持管理の状態の図解:今の傷みで値段が下がり、次の修繕の見積りでもう一度下がる。

今の傷みで値段が下がり、次の修繕の見積りでもう一度下がる。

過去の手入れが維持管理の状態、先の手入れが修繕計画です

維持管理の状態は建物に関する個別的要因ですが、建物及びその敷地に関する個別的要因には、これと対になる「修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態」があります。維持管理の状態が「これまでどう手入れしてきたか」の結果なら、修繕計画は「これからどう手入れするか」の約束です。計画があっても実施されていなければ意味が無いので、基準は「その実施の状態」まで含めています。区分所有建物や賃貸ビルでは、長期修繕計画と修繕積立金の積み立て状況がこの両方を映します。

屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備等に関する破損・老朽化等の状況及び保全の状態について特に留意する必要がある。

出典: 総論第3章 第3節

実務ではこう使う

現地調査では、屋上の防水、外壁のひび割れやタイルの浮き、共用部の設備の更新時期を自分の目で確かめ、管理会社から修繕履歴と長期修繕計画を取り寄せます。原価法では観察減価に、収益還元法では修繕費と資本的支出の見込みに反映させます。放置された建物は減価が大きいだけでなく買い手がつきにくいことも、市場性の判断に入れます。

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