移行地とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
宅地地域、農地地域等のうちにあって、細分されたある種別の地域から他の種別の地域へと移行しつつある地域のうちにある土地です。つまり、同じ宅地地域の中で住宅地域が商業地域に変わっていくような、細分の間の変化の途中にある土地です。
移行地とは
駅前の住宅街を何年かぶりに歩くと、一階を店に改装した家が増え、コンビニや美容室が並び、住宅街だった通りが商店街に変わりつつあることがあります。土地の使われ方は「住む」から「商う」へ動いていますが、どちらも宅地地域の中の話です。こういう場所の土地が移行地で、基準に商業移行地・住宅移行地という語はありませんが、移る先の名を付けてそう呼ぶことがあります。基準は、宅地・農地・林地・見込地と並ぶ土地の種別の一つとして移行地を置いています。

住宅街の一階が店に変わっていく。同じ宅地地域の中で移りつつある土地が移行地。
移行は細分の間の変化で、種別の境を越える転換とは違います
宅地地域の中には住宅地域・商業地域・工業地域という細分があります。移行地の定義が「宅地地域、農地地域等のうちにあって」で始まるのは、この細分の間で起きる変化だけを移行と呼ぶためです。畑が住宅地になるように、農地地域から宅地地域へと大きな区分の境を越える変化は転換と呼び、その土地は見込地です。二つを分けるのは、転換では土地の使い方そのものが入れ替わるのに対し、移行では宅地という使い方は変わらず、その中身だけが動くからです。

畑が家になるのは転換(見込地)、家が店になるのは移行(移行地)。
移行地かどうかは、地域が移りつつあるかで決まります
住まいと店が混ざっている通りは、どこにでもあります。混ざっているだけなら、それは「住宅を主として店舗、事務所、小工場等が混在する住宅地域」という住宅地域の一つの姿で、移行地ではありません。移行地と言えるのは、その地域全体が住宅地域から商業地域へと動いている途中だと判断できるときです。だから、住まいの建物と店の建物のどちらが多いかを数えても、移行地かどうかは決まりません。地域が動いているかは、周辺の地域要因の変化の推移や動向から読み取ります。
移行の程度で、どちらの地域の要因を重視するかが決まります
移行しつつある地域では、基準は移行後の種別(商業地域)の地域要因をより重視し、移行の程度が低いときは移行前の種別(住宅地域)の地域要因をより重視する、と定めます。個別的要因の分析でも同じ考え方で、移行後の地域の土地の個別的要因を重視しつつ、程度が低ければ移行前を重視します。店がまだ数軒の通りと、半分が店になった通りでは、同じ移行地でも見るべき要因が違うということです。この程度を見極めるには、周辺地域の地域要因の変化の推移と動向が有効な資料になる、と留意事項は言います。

店がまだ数軒なら住宅地域の要因を、半分が店なら商業地域の要因を重視する。
移行地とは、宅地地域、農地地域等のうちにあって、細分されたある種別の地域から他の種別の地域へと移行しつつある地域のうちにある土地をいう。
出典: 総論第2章 第1節
なお、見込地及び移行地については、特に周辺地域の地域要因の変化の推移、動向がそれらの土地の変化の動向予測に当たって有効な資料となるものである。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
駅前で住宅街に店舗が増えている場所を評価するときは、周辺の地域要因の推移から移行の程度を判断し、商業地としての価格をどこまで反映させるかを決めます。評価書の地域分析には、近隣地域が移行しつつあると判断した根拠と、移行前と移行後のどちらの種別の要因を重視したかを書きます。混在しているだけで地域が動いていないなら、店舗等が混在する住宅地域として扱います。
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