/ 鑑定理論

一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

区分所有建物及びその敷地に固有の個別的要因のうち、区分所有建物が存する一棟の建物とその敷地の全体に関わる要因です。つまり「どの棟か」で決まる事情で、基準は建物に係る要因、敷地に係る要因、建物及びその敷地に係る要因の三つに分けて例示しています。

一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因とは

中古マンションを探すとき、まず「どの棟にするか」を選び、次に「その棟のどの部屋か」を選びます。築年、構造、管理の良し悪し、修繕積立金の残り、敷地の広さや駐車場は、その棟に住む全員に同じようにかかる事情です。基準はこれを一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因と呼び、建物に係る要因、敷地に係る要因、建物及びその敷地に係る要因の三つに分けて例示しています。戸ごとに違う専有部分に係る個別的要因とは分けて見ます。

一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因の図解:総会の議案は棟の全員に同じにかかる。それが一棟側の要因。

総会の議案は棟の全員に同じにかかる。それが一棟側の要因。

建物、敷地、その二つの組合せの三つに分けて例示しています

建物に係る要因は、建築(新築、増改築等又は移転)の年次、面積・高さ・構造・材質等、設計・設備等の機能性、施工の質と量、玄関・集会室等の施設の状態、建物の階数、建物の用途及び利用の状態、維持管理の状態、居住者・店舗等の構成の状態、耐震性・耐火性等建物の性能、有害な物質の使用の有無及びその状態の十一項目です。敷地に係る要因は、敷地の形状及び空地部分の広狭の程度、敷地内施設の状態、敷地の規模、敷地に関する権利の態様の四項目です。建物及びその敷地に係る要因は、敷地内における建物及び附属施設の配置の状態、建物と敷地の規模の対応関係、長期修繕計画の有無及びその良否並びに修繕積立金の額の三項目です。「共用部分に係る要因」という区分はなく、玄関や集会室の状態は建物に係る要因の中に、エレベーターの使いやすさは専有部分に係る要因の中に置かれています。

一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因の図解:建物の札、敷地の札、二つを合わせて見る札の三種類。

建物の札、敷地の札、二つを合わせて見る札の三種類。

長期修繕計画と修繕積立金は、建物及びその敷地に係る要因です

長期修繕計画の有無及びその良否並びに修繕積立金の額は、三区分のうち建物及びその敷地に係る要因に置かれています。基準はその理由を書いていませんが、修繕計画の対象は外壁や設備だけでなく敷地内の道路や施設にも及び、積立金も敷地を含む一棟の所有者全員が持分に応じて負担するため、建物だけの事柄ではないと読めます。棟の全戸に共通する事情なので、戸ごとに違う専有部分に係る要因ではありません。積算価格を求めるときの配分率は各階層別・位置別の効用比で求めるので、修繕計画や積立金はそこにも入りません。

階層及び位置や日照は、棟ではなく戸で決まるので専有側です

一棟側と専有側の境目は、その事情が棟の全戸に共通か、戸ごとに違うかです。階層及び位置、日照・眺望及び景観の良否、専有面積及び間取りは、同じ棟でも部屋が変われば変わるので専有部分に係る要因です。敷地に関する権利の態様は両側にありますが、一棟側は棟の敷地が所有権か借地権かという全戸共通の事情で、専有側はそれに各戸の持分を加えた「敷地に関する権利の態様及び持分」です。同じ語が両側に出るときは、棟で決まるか戸で決まるかで置き場所が分かれています。

(1)区分所有建物が存する一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因

出典: 各論第1章 第2節

実務ではこう使う

マンションの一室を評価するときも、まず一棟の建物として築年、構造、規模、耐震性、管理の状態、修繕積立金の残高と長期修繕計画を確かめ、棟としての競争力をつかみます。同じ地域の別の棟の事例と比べるときは、これらの一棟側の要因で棟の差を補正し、そのうえで階層や位置の差を専有側の要因で補正します。管理組合の総会議事録や重要事項調査報告書が、一棟側の要因を読む主な資料です。

関連用語

#一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因 #不動産鑑定士試験 #鑑定理論

アプリで学習

基準ビューワー × 穴埋めドリルで効率的に学ぶ

鑑定評価基準の原文をスマホで閲覧しながら、穴埋めドリルや論証トレーニングで知識を定着。 短答式・論文式どちらの対策にも対応しています。

年額プランなら1日わずか27円

基準ビューワーを見る 無料でアカウント作成
App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう
穴埋めドリル画面
用語集に戻る