/ 鑑定理論

依頼が必要となった背景とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

鑑定評価の基本的事項を確定するために、依頼目的及び条件とあわせて依頼者に明瞭に確認する事項です。つまり、依頼者がなぜ今この鑑定評価を必要としているのかという事情です。

依頼が必要となった背景とは

「この家を評価してください」と頼まれても、それだけでは仕事に取りかかれません。銀行に担保として差し入れるのか、相続で兄弟と分けるのか、裁判で三年前の値段が争われているのか。同じ家でも、事情によって求める価格の種類も、評価する日も、付ける条件も変わります。基準は最初の手順として、依頼目的、条件、そしてこの「依頼が必要となった背景」の三つを、依頼者に明瞭に確認するよう定めています。

依頼が必要となった背景の図解:依頼目的・条件と並べて、なぜ今この評価が要るのかまで聞き取る。

依頼目的・条件と並べて、なぜ今この評価が要るのかまで聞き取る。

背景は、依頼目的・条件と並んで必ず確認します

基準は「鑑定評価の依頼目的、条件及び依頼が必要となった背景について依頼者に明瞭に確認する」と、三つを一つの文で並べています。目的がはっきりしているときだけ背景を省く、という書き方ではありません。目的は「売買のため」の一言で済んでも、親族間の売買なのか、金融機関が担保を処分するのかという背景まで聞いて初めて、依頼の全体像がつかめるからです。

背景が分かると、価格の種類や条件の立て方が定まります

基本的事項とは、対象不動産、価格時点、価格又は賃料の種類のことです(総論第5章)。背景を聞き取るのは、この三つを確定するためです。銀行に担保として差し入れるための評価なら、ふつうは今の時点の正常価格を求めますが、裁判で三年前の値段が争われているなら、価格時点を過去に置く必要があります。基準は、確認した内容と鑑定評価額の関係を直接には書いていませんが、背景から基本的事項が定まる以上、その結果である評価額も背景次第で変わると読めます。

依頼が必要となった背景の図解:背景が違えば、同じ家でも価格時点や求める価格の種類が変わる。

背景が違えば、同じ家でも価格時点や求める価格の種類が変わる。

適用する手法は、依頼者に確認して決める事柄ではありません

依頼者に確認する事項として基準と留意事項が挙げるのは、第1節の依頼目的・条件・背景、第2節の依頼者・提出先等・利害関係等・鑑定評価額の公表の有無、そして処理計画を立てるときに確認する実地調査の範囲や他の専門家による調査結果等の活用の要否(第3節の留意事項)です。どの手法を使うかは、対象不動産の種類や市場の特性を踏まえて不動産鑑定士が判断する事柄で、依頼者の希望で決めるものではありません。依頼者に聞くのは「なぜ・何を・どういう条件で・どこまで調べるか」までで、「どう評価するか」は専門家である鑑定士の側にあります。

依頼が必要となった背景の図解:依頼者に聞くのは目的・条件・背景まで。手法は鑑定士が決める。

依頼者に聞くのは目的・条件・背景まで。手法は鑑定士が決める。

このため、鑑定評価の依頼目的、条件及び依頼が必要となった背景について依頼者に明瞭に確認するものとする。

出典: 総論第8章 第1節

実務ではこう使う

受任の打合せでは、何のための評価かを聞いたうえで、その裏にある事情まで確認します。同じ「売買のため」でも、親族間の売買か、金融機関による担保処分かで、必要な価格の種類や条件の立て方が変わるからです。聞き取った目的と背景は、評価書の依頼目的の欄と条件の記載に反映させます。

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