/ 鑑定理論

依存・補完とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

不動産が、地域の構成分子として、その属する地域との間にたつ関係です。つまり、家は町の駅や学校に頼り(依存)、町は家々が集まって満たされる(補完)という、家と町の関係です。

依存・補完とは

一軒の家で暮らすとき、通勤は駅に、子どもは学校に、買い物は商店街にと、町にあるものに頼っています。町の側も、家々が集まって初めて町として成り立ち、家が増えればバスの本数も店の数も増えて、足りないところを補い合います。基準はこれを、不動産は地域の構成分子として、その地域との間に依存、補完等の関係にたつ、と定めています(不動産の地域性)。家と町の関係、と言い換えられます。

依存・補完の図解:家は町にあるものに頼り、町は家々が集まって満たされる。

家は町にあるものに頼り、町は家々が集まって満たされる。

依存・補完の相手は地域で、隣の不動産ではありません

基準は関係の相手を二つに分け、それぞれに名前を付けています。地域との間は依存、補完等で、地域内の他の構成分子である不動産との間は協働、代替、競争等です。家が駅や学校に頼るのは町への依存で、隣の家に頼っているわけではありません。隣の家とは、一緒に街並みを作り(協働)、買い手に見比べられ(代替)、売れ行きを競う(競争)という同じ立場どうしの関係です。町は家と同じ立場ではないので、町との間に競争は起きません。

この関係を通じて、不動産は有用性を発揮します

家が役に立つのは、家そのものの造りだけでなく、駅に近く、学校があり、買い物ができる町の中にあるからです。同じ家を町から切り離して何もない山あいに置けば、その役立ち方の大部分は失われます。基準が「これらの関係を通じてその社会的及び経済的な有用性を発揮する」と続けるのはこの意味です。その少し前にある、自然的条件と人文的条件を与件として利用し有用性を発揮するという文と、一続きの流れです。

依存・補完の図解:同じ家でも、町から切り離せば役立ち方の大部分が失われる。

同じ家でも、町から切り離せば役立ち方の大部分が失われる。

頼る相手の地域は固定的ではなく、変わり続けます

頼っていた商店街が衰え、駅前に大型店ができれば、家が依存する相手も変わります。基準は、不動産の属する地域は固定的なものではなく、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にある、と定めています。だから、今の利用形態が最適かどうか、最適でも時の経過に伴って持続できるかどうかを、常に検討しなければなりません。頼る相手が動く以上、頼り方も動くということです。

依存・補完の図解:通っていた小学校が閉校になれば、家が頼る相手も変わる。

通っていた小学校が閉校になれば、家が頼る相手も変わる。

不動産は、また、その自然的条件及び人文的条件の全部又は一部を共通にすることによって、他の不動産とともにある地域を構成し、その地域の構成分子としてその地域との間に、依存、補完等の関係に及びその地域内の他の構成分子である不動産との間に協働、代替、競争等の関係にたち、これらの関係を通じてその社会的及び経済的な有用性を発揮するものである(不動産の地域性)。

出典: 総論第1章 第2節

実務ではこう使う

地域分析では、対象不動産が地域のどんな施設や機能に支えられているかを、駅、学校、商業施設、道路の状況として書きます。住宅地の評価で「最寄りの小学校が統廃合される」という情報を拾うのは、家が依存する相手が変わるからです。家の中だけ見ても、その家がどれだけ役に立つかは分かりません。

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