維持管理費とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
建物・設備管理、保安警備、清掃等、対象不動産の維持・管理のために経常的に要する費用です。つまり、建物を日々きちんと保つために毎年決まって出ていくお金で、運営費用の最初の項目です。
維持管理費とは
ビルを持っていると、エレベーターや空調の点検、警備員の配置、共用部分の清掃など、建物をきちんと保つための支払いが毎月続きます。これが維持管理費です。証券化対象不動産のDCF法では、オーナーが払う費用を八つの項目に分けて書き、維持管理費はその最初に置かれます。「経常的に」とあるとおり、毎年決まって出ていく費用を書く項目で、突発的な修理や、テナントとの契約や賃料の管理といった仕事の報酬は、別の項目に分けます。

運営費用の最初の行が維持管理費。点検・警備・清掃のように建物を保つために毎年出ていくお金。
経常的な費用なので、突発的な費用は書きません
定義は「経常的に要する費用」です。毎年決まって出ていく点検や警備や清掃の費用を並べる項目なので、突発的な故障の修理や事故の対応のような一度きりの支出はここに入りません。そうした支出が見込まれるなら、き損した部分の原状回復として修繕費に当たるか、建物の価値を高める部分として資本的支出に当たるかを定義で判断し、DCF法ではそれが起こる年に書きます。
物を保つ費用は維持管理費、管理業務の報酬はPMフィーです
維持管理費は、建物や設備という「物」を保つための費用です。一方、テナントの募集や対応、賃料の請求や契約の更新といった賃貸経営の仕事を管理会社に任せる報酬は、対象不動産の管理業務に係る経費であるプロパティマネジメントフィー(PMフィー)として別の項目に書きます。同じ「管理」の字が付いていても、物を保つ費用と仕事を任せる報酬は分けます。実際の管理委託の契約は建物の維持管理から募集まで幅広く請け負うことがあるので、契約書で業務の範囲を確かめ、重複や漏れがないように各項目の定義に当てはめます。
退去に伴う原状回復の費用は、維持管理費ではなく修繕費です
テナントが退去したあと、傷んだ室内を元に戻す原状回復の工事のうちオーナーが負担する分は、「一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用」として修繕費に書きます。日常の維持・管理の費用である維持管理費とは別の項目です。基準は運営費用を、日々保つ維持管理費、直して元に戻す修繕費、そして表の下の段で価値を高める資本的支出、と分けて書かせています。

同じビルの一日。ロビーの清掃と警備は維持管理費、管理室のテナント対応はPMフィー、空室の原状回復は修繕費。
建物・設備管理、保安警備、清掃等対象不動産の維持・管理のために経常的に要する費用
出典: 各論第3章 第5節
実務ではこう使う
管理会社との建物管理委託契約書から設備の保守・警備・清掃の委託料を拾い、依頼者の収支の実績と突き合わせて年額を出します。委託料の中にプロパティマネジメントの業務の報酬が混ざっていれば分けて書き、重複や漏れがないように評価書で内訳を示します。
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