/ 鑑定理論

修繕計画・管理計画とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

建物及びその敷地に関する個別的要因の一つで、修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態を見るものです。つまり、これから建物をどう直し、どう管理していくかの計画と、その実行が値段に効く要因です。

修繕計画・管理計画とは

同じ築20年のマンションでも、長期修繕計画があって積立金が貯まり、外壁や屋上防水の大規模修繕を計画どおりに済ませてきた棟と、計画がなく修繕を先送りしてきた棟では、買い手の安心感がまるで違います。今の傷み具合だけでなく、先の手当てが決まっているか、それが実行されてきたかが値段に効く、というのがこの要因です。基準は建物及びその敷地に関する個別的要因として例示し、留意事項は大規模修繕に係る修繕計画の有無と修繕履歴の内容、管理規則の有無、管理委託先、管理サービスの内容に特に留意するよう求めます。

修繕計画・管理計画の図解:計画と履歴が掲示され実行されている棟は、買い手が安心する。

計画と履歴が掲示され実行されている棟は、買い手が安心する。

維持管理の状態が今を見るなら、修繕計画は先を見ます

建物の要因に挙がる維持管理の状態は、屋根・外壁・設備の破損や老朽化という、今の傷みを見ます。修繕計画・管理計画は、その傷みをこれからどう直し、日々どう管理していくかという先の手当てを見ます。基準は理由を書いていませんが、この要因が建物ではなく建物及びその敷地の側に置かれるのは、管理規則や管理委託先が受け持つのが建物単体ではなく、駐車場や植栽や共用部まで含めた敷地ごとの運営だからと考えられます。二つは同じ建物を時間の前後から見た対の要因と整理できます。

修繕計画・管理計画の図解:今の傷みは維持管理の状態、先の手当ては修繕計画・管理計画。

今の傷みは維持管理の状態、先の手当ては修繕計画・管理計画。

計画があるかだけでなく、実施されているかまで見ます

基準の例示は「良否とその実施の状態」までが一続きです。立派な長期修繕計画があっても、積立金が足りず工事が先送りされていれば、計画は紙の上のものです。留意事項が修繕計画の有無と並べて修繕履歴の内容を挙げるのは、履歴が実施の証拠だからです。管理委託先と管理サービスの内容は、計画を実行する体制が整っているかを示します。区分所有建物では、各論第1章が長期修繕計画の有無及びその良否並びに修繕積立金の額を、建物及びその敷地に係る要因として挙げています。

修繕計画は、収益価格の費用の見積りにそのまま効きます

賃貸ビルやマンションを収益還元法で評価するときは、これから出ていく修繕費を毎期の費用に見込みます。基準はDCF法の適用に当たって、保有期間中における大規模修繕費等の費用の発生時期に特に留意するよう定め、留意事項はその費用を毎期の積立として計上する方法と、実際に支出される時期に計上する方法があるとしています。修繕計画があれば、いつどれだけの工事費が出ていくかを収支に入れられますが、計画がなければ見込みの根拠がなく、将来の支出のリスクとして残ります。計画の良否と実施の状態は、収益価格の費用の側にそのまま効く要因です。

修繕計画・管理計画の図解:修繕計画があれば、いつ大きな工事費が出ていくかを収支に入れられる。

修繕計画があれば、いつ大きな工事費が出ていくかを収支に入れられる。

前記Ⅰ及びⅡに例示したもののほか、建物及びその敷地に関する個別的要因の主なものを例示すれば、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の規模の対応関係等建物等と敷地との適応の状態、修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態がある。

出典: 総論第3章 第3節

実務ではこう使う

区分所有マンションや賃貸ビルの評価では、長期修繕計画と修繕積立金の残高、過去の大規模修繕の履歴、管理規約、管理会社と委託契約の内容を管理組合や所有者から取り寄せます。計画が実行されていない建物は、修繕費の見込みを増やして収益価格に反映させます。管理の質は入居者の定着と賃料水準に効くので、管理サービスの内容も市場の評価と照らして見ます。

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