/ 鑑定理論

建物等と敷地との適応の状態とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

建物及びその敷地に関する個別的要因の一つで、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置や、建物と敷地の規模の対応関係を見るものです。つまり、土地と建物の組合せが釣り合っているかを見る要因です。

建物等と敷地との適応の状態とは

同じ広さの土地に、庭と駐車場をゆったり取った家が建っている場合と、敷地いっぱいの大きな家が建ち、駐車場が狭くて車の出し入れに苦労する場合では、土地も建物も同じ品質でも住みやすさと売れる値段が違います。土地だけを見ても、建物だけを見ても分からず、二つを重ねて初めて見える良し悪しです。基準はこれを、土地の要因と建物の要因に例示したもののほかに置く建物及びその敷地に関する個別的要因として、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置と、建物と敷地の規模の対応関係を例示します。基準は理由を書いていませんが、不動産の内部の構成要素が釣り合っているかで価値が決まるという均衡の原則の考え方が、要因の側に現れたものと読めます。

建物等と敷地との適応の状態の図解:同じ土地でも、建物と駐車場と庭の配置と規模で住みやすさが変わる。

同じ土地でも、建物と駐車場と庭の配置と規模で住みやすさが変わる。

土地と建物を重ねて初めて現れる要因です

土地の要因は形状や接面道路のように土地だけで決まり、建物の要因は構造や築年のように建物だけで決まります。ところが、建物が敷地のどこに建ち、駐車場や通路や庭がどう配置され、建物の大きさが敷地に釣り合っているかは、二つを組み合わせたときにしか現れません。だから基準は「前記Ⅰ及びⅡに例示したもののほか」と断って、三つ目の置き場を用意しています。三つ目は一つ目・二つ目を取り替えるものではなく、埋蔵文化財の有無のような土地の要因は、建物及びその敷地を評価するときにもそのまま効きます。

建物等と敷地との適応の状態の図解:土地の要因も建物の要因もそのまま残り、三つ目の項目を足して書く。

土地の要因も建物の要因もそのまま残り、三つ目の項目を足して書く。

新築でも、敷地に対して大きすぎれば適応を欠きます

新しいことと、敷地に釣り合っていることは別です。敷地に対して過大な建物や、車が入りにくい位置の駐車場は、建てた直後でも配置と規模の対応関係を欠いています。総論第7章は減価の要因として、機能的要因に「建物と敷地との不適応」を、経済的要因に「不動産とその付近の環境との不適合」を挙げており、原価法ではこれを減価修正で織り込みます。だから新築でも、適応や適合を欠く分だけ建物の価格が再調達原価を下回ることがあります。建物の要因に挙がる建物とその環境との適合の状態も同じで、周りの街並みに合わない建物は新しくても同じ扱いです。

建物等と敷地との適応の状態の図解:新築でも、敷地に対して大きすぎれば適応を欠く分は値段に効く。

新築でも、敷地に対して大きすぎれば適応を欠く分は値段に効く。

賃貸用不動産でも、配置と規模の対応は要因のままです

対象が賃貸マンションや賃貸ビルであっても、敷地内の建物等の配置と建物と敷地の規模の対応関係は個別的要因として残ります。賃貸用不動産には、そのうえに賃貸経営管理の良否という要因が加わりますが、置き換わるのではなく積み重なる関係です。駐車場の台数と出入りのしやすさは入居の決め手になるので、貸し方を見る前に土地と建物の組合せそのものを見ます。

前記Ⅰ及びⅡに例示したもののほか、建物及びその敷地に関する個別的要因の主なものを例示すれば、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の規模の対応関係等建物等と敷地との適応の状態、修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態がある。

出典: 総論第3章 第3節

実務ではこう使う

建物及びその敷地の評価では、配置図を見ながら建物の位置と向き、駐車場の台数と出入りのしやすさ、通路と庭の使われ方、余った敷地に増築や分割の余地があるかを確かめます。敷地に対して建物が小さすぎれば土地の最有効使用との乖離として建付減価を検討し、大きすぎれば規模の不均衡として市場性を見ます。評価書では土地・建物それぞれの要因とは別の項目として書きます。

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