/ 鑑定理論

賃貸経営管理の良否とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

賃貸用不動産に関する個別的要因で、基準は賃借人の状況及び賃貸借契約の内容、貸室の稼働状況、躯体・設備・内装等の資産区分及び修繕費用等の負担区分の三つを例示します。つまり、誰にどんな契約で貸し、どれだけ埋まり、直す費用を誰が持つかという貸し方の良し悪しを見る要因です。

賃貸経営管理の良否とは

同じ造りの賃貸マンションが二棟あっても、一棟は満室で家賃の滞納もなく、もう一棟は空室が三割あって残りも一社に大きく頼っている、という違いは建物を見ただけでは分かりません。賃貸用不動産は、建物そのものに加えて、その貸し方が収益を左右します。基準はこれを賃貸経営管理の良否と呼び、賃借人の状況及び賃貸借契約の内容、貸室の稼働状況、躯体・設備・内装等の資産区分及び修繕費用等の負担区分の三つを例示します。留意事項は一つ目について、賃料の滞納の有無や契約内容の履行状況、賃借人の属性(業種、企業規模等)、総賃貸可能床面積に占める主たる賃借人の賃貸面積の割合、賃貸借契約の形態に特に留意するよう求めます。貸家及びその敷地の評価で中心になる要因です。

賃貸経営管理の良否の図解:建物が同じでも、貸し方で収益が違う。

建物が同じでも、貸し方で収益が違う。

三つの例示は、収入の確かさ・収入の量・費用の負担を見ています

賃借人の状況と契約の内容は、家賃がきちんと入り続けるかという収入の確かさです。貸室の稼働状況は、貸せる部屋のうちどれだけ埋まっているかという収入の量です。躯体・設備・内装等の資産区分と修繕費用等の負担区分は、建物のどこまでが貸主の資産で、壊れたときに誰が直すのかという費用の側です。店舗ビルでは躯体だけを貸して内装や設備は借主が造る貸し方があり、その場合は内装の修繕費も借主が持つので、貸主の収益の見込みが変わります。資産区分は「誰の資産か」の区分であって、使っている資材の種類の話ではありません。

賃貸経営管理の良否の図解:契約書は収入の確かさ、レントロールは収入の量、資産区分表は費用を誰が持つか。

契約書は収入の確かさ、レントロールは収入の量、資産区分表は費用を誰が持つか。

賃借人の属性は、支払いの確かさとして見ます

留意事項が賃借人の属性を「業種、企業規模等」と例示するのは、テナントの業種や規模が家賃を払い続ける力を映すからです。「等」とあるとおり例示で、居住用の賃貸マンションでも個人の借主の支払能力は滞納のリスクとして価格に効きます。主たる賃借人の賃貸面積の割合を見るのは、一社に大きく頼っていると、その一社の退去で収入の大半が消えるからです。賃貸借契約の形態は、普通借家か定期借家か、契約期間はどれだけかで、収入の続き方が変わります。

賃貸経営管理の良否の図解:一社に頼りすぎれば退去で収入の大半が消えるから、面積の割合に留意する。

一社に頼りすぎれば退去で収入の大半が消えるから、面積の割合に留意する。

貸し方は、価格だけでなく賃料改定の見通しにも効きます

各論第1章は、貸家及びその敷地の鑑定評価額を決めるとき、将来における賃料の改定の実現性とその程度や、借家の目的、契約の形式、定期建物賃貸借か否かの別などを総合的に勘案するよう定めています。賃借人の状況及び賃貸借契約の内容と貸室の稼働状況を確かめることが、この見通しの土台になります。今の家賃が周りより安くても、契約の形態と借主の状況によって、いつどれだけ上げられるかが変わるからです。売上に連動して家賃が決まる契約について、基準は売上高のうち不動産に帰属する部分をもとに求めた支払賃料等相当額を総収益とする道を用意しています。将来の売上を予測して評価する枠組みがあるので、こうした契約でも鑑定評価が行えなくなるわけではないと読めます。

さらに、賃貸用不動産に関する個別的要因には、賃貸経営管理の良否があり、その主なものを例示すれば、次のとおりである。 1.賃借人の状況及び賃貸借契約の内容 2.貸室の稼働状況 3.躯体・設備・内装等の資産区分及び修繕費用等の負担区分

出典: 総論第3章 第3節

実務ではこう使う

賃貸マンションや賃貸ビルの評価では、レントロールと賃貸借契約書を全戸分取り寄せ、賃料水準、契約期間、定期借家か普通借家か、敷金・保証金、滞納の有無、テナントの業種と信用力、一社集中の度合いを整理します。稼働率の推移と退去の理由も聞き取り、空室損失の見込みに使います。店舗ビルでは躯体だけを貸して内装や設備を賃借人が施工する貸し方もあるので、資産区分と修繕費の負担区分を契約で確認し、対象不動産の範囲と費用の見積りに反映させます。

関連用語

#不動産鑑定士試験 #賃貸経営管理の良否 #鑑定理論

アプリで学習

基準ビューワー × 穴埋めドリルで効率的に学ぶ

鑑定評価基準の原文をスマホで閲覧しながら、穴埋めドリルや論証トレーニングで知識を定着。 短答式・論文式どちらの対策にも対応しています。

年額プランなら1日わずか27円

基準ビューワーを見る 無料でアカウント作成
App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう
穴埋めドリル画面
用語集に戻る