転換又は移行の程度とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
ある種別の地域から他の種別の地域へ転換し、又は移行しつつある地域について、その変化がどこまで進んでいるかの度合いです。基準は、原則として転換後・移行後の種別の地域要因をより重視し、程度の低い場合は転換前・移行前の種別の地域要因をより重視すると定めています。
転換又は移行の程度とは
山の斜面が切り開かれ、家がぽつぽつ建ち始めた地域の土地を評価するとき、その値段は「山としての条件」と「住宅地としての条件」のどちらで決まるでしょうか。答えは、変化がどこまで進んだかで変わります。家が建ち並び道路も水道も来ていれば住宅地としての条件、まだ山ばかりで家が二軒なら山としての条件が値段を左右します。この「どこまで進んだか」が転換又は移行の程度で、基準は地域要因の節の末尾に、どちらの種別の地域要因を重く見るかの決め方として置いています。農地から宅地へのように種別の大きな区分を越えるのが転換、住宅地から商業地へのように同じ宅地地域の中で細分が変わるのが移行です。

どこまで変わったかで、重く見る地域要因が決まる。
原則は転換後の要因ですが、程度が低ければ転換前に戻ります
変わりつつある地域は、いずれ転換後の種別の地域になっていくので、その地域の値段の水準も転換後の種別の条件に引き寄せられていきます。だから原則は転換後・移行後の種別の地域要因をより重視します。ただし変化がまだ始まったばかりなら、現に値段を左右しているのは転換前の種別の条件です。そこで転換又は移行の程度の低い場合は、転換前・移行前の種別の地域要因をより重視します。程度が低いのに転換後を重く見ると、まだ来ていない将来の条件で今の値段を決めることになってしまいます。
途上の地域は、どちらの種別の地域にもなりきっていません
転換の程度が高いから宅地地域になった、低いから農地地域のままだ、と割り切るのではありません。転換しつつある地域はあくまで途上にあり、両方の種別の条件が混ざって値段を作っています。基準が「より重視すべき」と書くのは、片方だけで分析するのではなく、両方を見たうえで重みを変えるという意味です。宅地見込地の評価で勘案するのも、造成後の宅地としての有効利用度であって、農地としての有効利用度ではありません(各論第1章)。
同じ決め方が、地域要因と個別的要因の二か所にあります
地域要因の節の末尾は「転換しつつある地域」について地域の地域要因を、個別的要因の節の見込地及び移行地の項は「そこにある土地」について土地の個別的要因を、それぞれ転換後を原則、程度が低ければ転換前と定めています。地域の値段の水準を見るときも、その中の一画地の個別の値段を見るときも、同じ考え方で重みを付けるためです。既存の商業地でマンション建設が相当に進み、住宅地への移行が明らかなら、その土地の個別的要因は住宅地のものを重く見ます。

地域の水準にも一画地の値段にも、同じ重み付けを使う。
程度は、周りの地域の変化の推移から読み取ります
どこまで進んだかは、その土地だけを見ても分かりません。周りの地域の地域要因が数年でどう変わってきたか、道路や上下水道が延び、家や店がどれだけ増えたかという推移と動向が、見込地・移行地の変化を予測する有効な資料になります(総論第6章)。過去から今への流れを見て、これからの流れを読むということです。

周りの地域が数年でどう変わったかで、程度を読む。
なお、ある種別の地域から他の種別の地域へと転換し、又は移行しつつある地域については、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域の地域要因をより重視すべきであるが、転換又は移行の程度の低い場合においては、転換前又は移行前の種別の地域の地域要因をより重視すべきである。
出典: 総論第3章 第2節
見込地及び移行地については、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域内の土地の個別的要因をより重視すべきであるが、転換又は移行の程度の低い場合においては、転換前又は移行前の種別の地域内の土地の個別的要因をより重視すべきである。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
農地地域から宅地地域へ転換しつつある土地では、周りの宅地化の割合、開発許可の出方、道路と上下水道の整備、市街化区域への編入予定を調べて転換の程度を判断します。程度が高ければ宅地見込地として開発法や宅地の事例からの比準を軸に、低ければ農地の要因を軸に価格を考えます。評価書には、どちらの要因を重視したかとその理由を書きます。
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