物流施設の個別的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因のうち、物流施設について留意事項が例示するもので、階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等に留意します。つまり、荷物を効率よく置き、動かし、出せる建物かを見る要因です。
物流施設の個別的要因とは
ネット通販で頼んだ荷物は、郊外の大きな倉庫で保管され、仕分けされ、トラックで運ばれてきます。その倉庫を買う人や借りる人が気にするのは、ラックを高く積めるか、フォークリフトが柱にぶつからず走れるか、重い荷物を置いても床が耐えるか、です。留意事項はこれを物流施設について特に留意すべき個別的要因として、階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等と例示します。大規模で機能性が高い施設では、保管に加えて梱包、仕分け、流通加工、配送の機能を担うので、それに応じた設備と、トラックが各階へ直接上がれる自走式車路の有無にも留意します。

ラックを高く積み、フォークリフトが走り、床が荷重に耐えるか。
天井高・柱間隔・床荷重は、荷物の置き方に直結します
天井が高いほどラックの段数が増え、同じ床面積でも多くの荷物を置けます。柱間隔が広いほどラックの列とフォークリフトの通路を無駄なく取れます。床荷重が大きいほど、パレットに積んだ重い荷物をそのまま置けます。階数と各階の床面積は倉庫全体の容量を、空調設備は食品や精密機器のように温度を保つ必要のある荷物を扱えるかを、エレベーターは上の階へ荷物を上げ下ろしできるかを決めます。七つの項目はどれも、荷物をどれだけ置き、どう動かせるかにつながっています。
大規模施設は、保管だけでなく加工と配送の拠点になります
大規模で機能性が高い物流施設は、荷物を置いておくだけの場所ではありません。届いた商品を梱包し、行き先ごとに仕分け、値札付けなどの流通加工をして、配送に出すまでを一つの建物で行います。だから留意事項は、これらの機能に応じた設備と、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無を挙げます。設備とは、コンベヤや仕分け機、作業のための広い区画のようなものです。トラックがらせん状の車路で直接上の階まで上がれれば、上層階も一階と同じように使えるので、賃料と使い勝手が大きく変わります。

トラックが自走式車路で各階に上がれるから、上の階も一階と同じに使える。
各用途に共通する要因は、物流施設にも当てはまります
用途ごとの例示は、各用途に共通する個別的要因に上乗せするものです。留意事項が共通の要因として挙げる自家発電設備の有無、省エネルギー対策の状況、建物利用における汎用性は、事務所ビルだけの項目ではありません。冷凍倉庫が停電で止まれば荷物が傷むので、自家発電設備は物流施設でも留意します。屋根・外壁・床・防災設備などの破損・老朽化と保全の状態を見る維持管理の状態も、共通の要因として物流施設に当てはまります。

停電で冷凍庫が止まれば荷物が傷むから、自家発電設備は物流施設でも留意する。
階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等に留意する必要がある。 特に、大規模で機能性が高い物流施設の場合は、保管機能のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能を担うことから、これらの機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意する必要がある。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
物流施設の評価では、有効天井高、柱スパン、床荷重、トラックバースの数と待機スペース、自走式ランプの有無、免震や非常用電源を竣工図と現地で確認します。テナントの業態が保管中心か流通加工中心かで求める設備が違うので、想定される市場参加者に合わせて要因の重みを決めます。従業員向けの休憩室や食堂、通勤バスの有無も、労働力を確保しやすいかという面から賃料に効く要素として見ます。
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