/ 鑑定理論

事務所ビルの個別的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因のうち事務所ビルのもので、基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等です。つまり、借りる会社が働きやすいフロアかどうかを決める所です。

事務所ビルの個別的要因とは

会社が事務所を借りるとき、まず「1フロアに社員が何人入るか」を見ます。1フロアが広ければ部署を分けずに置け、天井が高ければ配線や空調を通しやすく、床が丈夫ならサーバや書庫を置けます。ロビーやトイレやエレベーターホールが古びていれば、来客に見せる会社の顔として敬遠されます。基準は、市場参加者が着目する個別的要因は建物の用途ごとに異なると述べ、留意事項が事務所ビルについて例示するのが、基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等です。

事務所ビルの個別的要因の図解:借りる会社は、1フロアの広さ、天井の高さ、床の強さ、共用部を見る。

借りる会社は、1フロアの広さ、天井の高さ、床の強さ、共用部を見る。

基準階とは、同じ形の階が繰り返す標準の階です

事務所ビルは、1階のロビーと最上階の機械室を除くと、同じ平面の階が何層も積み重なっています。この繰り返される標準の階が基準階で、その床面積が基準階床面積です。テナントは基準階を単位に借りるので、1フロアの広さがそのまま「一つの会社がまとまって入れるか」を決めます。天井高と床荷重は、その階をどこまで自由に使えるかを決め、情報通信・空調・電気の設備は執務そのものを支えます。共用施設は、どの階の借り手も共同で使うロビー、トイレ、エレベーターホールです。

事務所ビルの個別的要因の図解:1階と最上階を除いて同じ階が繰り返す。その標準の階が基準階。

1階と最上階を除いて同じ階が繰り返す。その標準の階が基準階。

商業施設は各階の床面積で見るので、中身が違います

同じ留意事項でも、商業施設については「各階の床面積、天井高等」と書かれ、基準階という語は出てきません。商業施設は1階が最も客を集め、2階は衣料、上階は飲食というように、階ごとに使い方も稼ぎも違うからです。どの階も同じ事務所ビルだからこそ、標準の階一つを見れば足ります。大規模な商業施設ではさらに、売場面積、客動線、商品の搬入動線、防災設備、バリアフリー化の状況、施設立地・規模等に関する法令が加わります。用途によって「どの単位で建物を見るか」が変わることが、事務所ビルと商業施設の要因の違いに表れています。

事務所ビルの個別的要因の図解:どの階も同じ事務所ビルは基準階で、階ごとに違う商業施設は各階で見る。

どの階も同じ事務所ビルは基準階で、階ごとに違う商業施設は各階で見る。

大規模な高層ビルでは、エレベーターと店舗区画にも留意します

大規模な高層事務所ビルでは、エレベーターの台数と配置、建物内に店舗等の区画がある場合はその面積と配置にも留意します。就労人口が多いほど朝の昇降の待ち時間が働きやすさに直結し、低層階の店舗はビルの収益と管理のしかたに影響するからです。自家発電設備の有無や省エネルギー対策の状況、建物利用における汎用性は、事務所ビルだけの要因ではなく、共通の個別的要因である設計・設備等の機能性として全用途で留意します。

基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等に留意する必要がある。 特に、大規模な高層事務所ビルの場合は、エレベーターの台数・配置、建物内に店舗等の区画が存する場合における面積・配置等にも留意する必要がある。

出典: 総論第3章 第3節

実務ではこう使う

事務所ビルの評価では、基準階の貸室面積と有効率、天井高、床荷重、二重床、空調のゾーニング、電気容量、非常用電源、エレベーターの台数を竣工図と現地で確かめます。共用部のトイレやリフレッシュスペースの質はテナントの選好に効くので、競合ビルと比べます。低層に店舗区画があれば、その面積と配置が収益と管理に与える影響も見ます。

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