設計、設備等の機能性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
建物の各用途に共通する個別的要因の一つで、建物の設計や設備が、使う人の今の需要にどれだけ応えられるかという要因です。つまり、天井の高さや床の広さ、空調・エレベーター・電気容量・省エネルギー対策などの設備、そして建物利用における汎用性が価格に効きます。
設計、設備等の機能性とは
築年数が同じ二つの事務所ビルでも、天井が高く、空調を部屋ごとに調節でき、エレベーターの待ち時間が短いビルは、借り手がつきやすく賃料も高く取れます。逆に天井が低く、電気容量が足りずパソコンを増やせないビルは、いくら手入れがよくても敬遠されます。この「使いやすく作られているか、設備が今の需要に合っているか」が、設計、設備等の機能性です。建物の各用途に共通する個別的要因の一つで、留意事項は、各階の床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備、空調設備、エレベーター、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無、省エネルギー対策、建物利用における汎用性に特に留意するよう求めます。

同じ築年数でも、天井の高さや設備の新しさで借り手のつき方が変わる。
留意事項の項目は、寸法・設備・汎用性の三つに束ねて読めます
留意事項は項目を並べるだけで分け方は書いていませんが、一つ目は建物の寸法で、各階の床面積、天井高、床荷重です。設計で決まるので後から変えにくく、重い機械や高い棚を置けるかを左右します。二つ目は設備の状況で、情報通信対応設備、空調設備、エレベーター、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無、省エネルギー対策です。技術の進歩で求められる水準が上がるので、古い設備は使えても価値が落ちます。三つ目は建物利用における汎用性で、今の使い方以外にも転用しやすいかです。天井が低い、エレベーターや空調が旧式、という事情はどれもこの要因に当たります。
汎用性は、次の使い手が付きやすいかどうかです
汎用性が高い建物は、今のテナントが出ていっても別の業種がそのまま入れます。柱の間隔が広く、床荷重に余裕があり、設備の容量に余裕があるほど汎用性は高くなります。反対に、特定の用途に合わせて作り込んだ建物は、その用途の需要が減ると使い手が見つかりにくく、空室のリスクが高まります。汎用性が価格に効くのは、この将来の使い手の見つけやすさの違いによります。

汎用性が高い建物は次の使い手が付きやすく、作り込んだ建物は付きにくい。
機能性は、工事費だけでなく利回りにも効きます
原価法で再調達原価を求めるとき、空調やエレベーターの設備は工事費の項目として積み上げます。この意味で機能性は工事費の算定に必要な項目です。同時に、収益還元法で還元利回りや割引率を求めるときも、対象不動産の個別的要因の分析を踏まえるので、設計が古く陳腐化した建物は将来の収益の不確かさが大きいとして利回りが高くなり、収益価格が下がります。工事費に効く面と、利回りに効く面の両方を持つ要因です。

設備は工事費の項目として積み上がり、古さは利回りにも跳ね返る。
事務所ビルだけでなく、どの用途でも共通に見る要因です
設計、設備等の機能性は「建物の各用途に共通する個別的要因」の一つなので、住宅でも商業施設でも物流施設でも見ます。事務所ビルで重視されることが多いため事務所ビルの要因だと思われがちですが、省エネルギー対策や自家発電設備の有無、汎用性は、電力を多く使う物流施設や多くの客が集まる商業施設でも価格に効きます。留意事項が用途ごとに特に留意すべき要因を別に例示しているのは、共通の要因を用途ごとに置き換えるためではなく、共通の要因に加えて見るためです。
各階の床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備の状況、空調設備の状況、エレベーターの状況、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無、省エネルギー対策の状況、建物利用における汎用性等に特に留意する必要がある。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
事務所ビルの評価では、基準階の床面積と天井高、二重床の有無、空調の方式と個別制御の可否、エレベーターの台数と速度、電気容量、非常用電源の稼働時間を竣工図と現地で確かめます。テナントの入替えのしやすさに関わる汎用性は、空室リスクとして還元利回りに反映させます。省エネルギーや環境性能の認証は、賃料と利回りの両面で市場がどう評価しているかを事例で確かめます。
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