/ 鑑定理論

地域要因の変動の予測とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

用途地域の変更や駅の新設のように、これから起きる地域要因の変動を見込んで、対象不動産の使用方法の変化を最有効使用の判定に織り込むことです。つまり、価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合に、収集可能かつ信頼できる情報に基づいて時期と内容の実現の蓋然性が高いと認められれば、変動後を前提...

地域要因の変動の予測とは

駅から遠い畑のそばに、新しい駅ができることが決まったとします。今はただの農地でも、買い手は「駅ができれば家や店が建つ土地」として値段を考えます。鑑定士も、今の使い方だけを見て最も合理的で最善の使い方(最有効使用)を決めるわけにはいきません。ただし、駅ができるという話が居酒屋の噂にすぎないなら、それを値段に織り込むのは危険です。基準と留意事項は、どこまで確かなら将来の変動を前提にしてよいかを定めています。

地域要因の変動の予測の図解:駅の開業が決まっていれば、変動後の使い方で最有効使用を判定する。

駅の開業が決まっていれば、変動後の使い方で最有効使用を判定する。

変動が客観的に予測されるなら、使い方の変化を勘案します

基準は、価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、その変動に伴って対象不動産の使用方法が変化する可能性を勘案して最有効使用を判定する、と定めています。総論第4章の変動の原則は、最有効使用を判定するにはこの変動の過程を分析することが必要だと述べており、それを判定の場面で具体化した定めです。市場参加者の予測が価格を左右するという予測の原則の考え方も重なります。駅ができれば農地が住宅地や商業地に変わるように、地域が変われば土地の最も合理的な使い方も変わるからです。

前提にできるのは、時期と内容の蓋然性が高いときです

留意事項は、地域要因の変動の予測に当たっては予測の限界を踏まえ、鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報に基づき、当該変動の時期及び具体的内容についての実現の蓋然性が高いことが認められなければならない、としています。条件は二つで、情報が誰でも集められて信頼できるものであること、そして変動がいつ、どういう内容で起きるかの両方について実現の見込みが高いことです。都市計画の決定が済み、開業時期も公表されている新駅なら満たすと考えられますが、構想段階の話や噂では満たしません。蓋然性が高いと認められれば変動後を前提に判定し、認められなければ現状を前提に判定します。

地域要因の変動の予測の図解:都市計画の決定と開業時期が公表されていれば前提にでき、噂では前提にできない。

都市計画の決定と開業時期が公表されていれば前提にでき、噂では前提にできない。

地域分析でも、現状と将来の動向をあわせて判定します

地域分析では、地域要因及び標準的使用の現状と将来の動向とをあわせて分析し、近隣地域の標準的使用を判定します。留意事項は、見込地及び移行地については周辺地域の地域要因の変化の推移、動向が土地の変化の動向予測に当たって有効な資料になる、としています。地域分析で見た将来の動向が、個別分析で最有効使用を判定するときの変動の予測につながる、という流れです。

価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること。

出典: 総論第6章 第2節

地域要因の変動の予測に当たっては、予測の限界を踏まえ、鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報に基づき、当該変動の時期及び具体的内容についての実現の蓋然性が高いことが認められなければならない。

出典: 総論第6章 第2節

実務ではこう使う

対象地の近くに区画整理や新駅の計画があるときは、まず都市計画決定の有無、事業の認可や着工の時期、完成予定を役所の公表資料で確かめます。決定済みで時期も内容も固まっていれば、評価書に、変動後の用途を前提に最有効使用を判定したことを根拠とともに書きます。構想段階にすぎなければ現状を前提にし、その旨を記載します。

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