/ 行政法規

直通階段とは?建築基準法での意味を図でわかりやすく解説

建築物の避難階以外の階から、避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階)又は地上まで、途中で途切れずに通じている階段(傾斜路を含む)です。つまり、火事のとき迷わず外へ出られる逃げ道で、どの居室からも決まった歩行距離の中に設け、人の多い階には2つ以上設けます。

直通階段とは

マンションの廊下の突き当たりや映画館の客席の脇にある階段は、降りていけばそのまま外に出られます。火事のとき、途中で別の部屋を通らないと降りられない階段や、途中の階で終わってしまう階段では、煙の中で逃げ道を探すことになります。そこで施行令120条は、どの居室からも決まった歩行距離の中に、避難階又は地上まで途切れずに通じる直通階段を置くよう求めています。逃げ道が一つでは、その階段が煙でふさがれたら逃げられないので、121条は人の多い用途や高い階に2以上の直通階段を求めます。直通階段のうち、階段室を耐火構造の壁で囲うなど決まった構造にしたものが避難階段で、123条がその構造を定めています。

直通階段の図解:途中で途切れず、避難階か地上まで降りられる階段が直通階段。

途中で途切れず、避難階か地上まで降りられる階段が直通階段。

どの居室からも、決まった歩行距離の中に直通階段が要ります

施行令120条は、居室の各部分から直通階段の一つまでの歩行距離の上限を表で定めています。一般の居室は40メートル以内、主要構造部が準耐火構造か不燃材料の建築物では50メートル以内です。病院やホテル、共同住宅の居室は、主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら50メートル以内、それ以外は30メートル以内です。窓のない居室や、百貨店など人が多く集まる用途の居室は、構造を問わず30メートル以内に縮まります。主要構造部が準耐火構造か不燃材料で、内装も準不燃材料なら10メートル延びます。15階以上の階ではこの延長はなく、内装が準不燃材料でなければ10メートル縮まります。

劇場の客席のある階や、共同住宅の大きな階には2以上設けます

施行令121条1項は、避難階以外の階が次に当たる場合に、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を求めています。劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の用途の階で客席や集会室のあるもの(1号)、床面積の合計が1,500平方メートルを超える物品販売店舗の売場のある階(2号)、病院の病室の床面積の合計が50平方メートルを超える階(4号)、ホテルの宿泊室、共同住宅の居室、寄宿舎の寝室の床面積の合計が100平方メートルを超える階(5号)、6階以上で居室のある階や、5階以下で居室の床面積の合計が100平方メートル(避難階の直上階は200平方メートル)を超える階(6号)です。人が多い階ほど、片方の階段が煙でふさがれたときにもう一方で逃げられる備えが要るからです。二つの階段への経路に共通の部分があるときは、その長さを歩行距離の上限の2分の1以下に抑えます(3項)。

直通階段の図解:居室の合計が100平方メートルを超える階には、逃げ道を二つ。

居室の合計が100平方メートルを超える階には、逃げ道を二つ。

主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら、面積の数字は2倍です

施行令121条2項は、主要構造部が準耐火構造か不燃材料で造られた建築物では、1項の50平方メートルを100平方メートルに、100平方メートルを200平方メートルに、200平方メートルを400平方メートルに読み替えると定めています。燃え広がるのが遅い建物では、同じ人数でも逃げる時間に余裕があるからです。だから、主要構造部が準耐火構造の共同住宅で、避難階以外の階の居室の合計が150平方メートルなら、200平方メートルを超えないので直通階段は一つで足ります。主要構造部が準耐火構造でも不燃材料でもない木造なら100平方メートルの線で判定するので、同じ150平方メートルでも2以上が要ります。

直通階段の図解:木造は100平方メートル、準耐火構造なら200平方メートルが2以上の境目。

木造は100平方メートル、準耐火構造なら200平方メートルが2以上の境目。

屋内の避難階段は避難階まで、屋外の避難階段は地上まで直通します

施行令123条1項は、屋内に設ける避難階段について、階段室を耐火構造の壁で囲み、内装を不燃材料にし、出入口に防火設備を設け、階段を耐火構造として避難階まで直通させることを求めています。2項は屋外に設ける避難階段について、階段に通ずる出入口以外の開口部から2メートル以上離して設け、屋内からの出入口に防火設備を設け、階段を耐火構造として地上まで直通させることを求めています。屋内の階段は避難階に着けば外へ出られますが、屋外の階段は地上に着くまでが逃げ道なので、終点の書き方が違います。屋外に設ける直通階段は、防腐措置を講じた準耐火構造のものを除き、木造にはできません(121条の2)。避難階段から屋外に通ずる出口などの戸の施錠装置は、屋内から鍵を使わずに解錠でき、かつ戸の近くの見やすい場所に解錠方法を表示したものにします(125条の2、人を拘禁する目的の建築物を除く)。

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
(略)
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの

出典: 建築基準法施行令 121条1項

実務ではこう使う

共同住宅の評価で、各階の住戸の床面積の合計が100平方メートル(準耐火構造なら200平方メートル)を超えているのに階段が一つしかなければ、施行令121条の違反を疑います。既存不適格か違反かで建て替えや増築の可否が変わり、収益物件の価格に響きます。屋外階段の位置と構造、出口の戸の施錠と解錠方法の表示も現地で確かめます。

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