/ 行政法規

変更命令とは?景観法での意味を図でわかりやすく解説

景観行政団体の長が、条例で定めた特定届出対象行為のうち、景観計画に定められた建築物又は工作物の形態意匠の制限に適合しないものをしようとする者又はした者に対し、設計の変更その他の必要な措置をとることを命ずる処分です(17条1項)。つまり、届出制の景観計画区域で、色と形に限って勧告より強い命令を出す仕組みです。

変更命令とは

景観計画区域の基本は届出と勧告で、勧告には従わなくても罰則がありません。景観計画で「屋根は落ち着いた色」と決めても、真っ赤な屋根を勧告だけで止められなければ、街並みは守れません。そこで景観法は、景観行政団体が条例で行為を絞ったうえで、建築物や工作物の形態意匠(形・色その他の意匠)に合わない行為には設計の変更などを命令できるようにしました。これが変更命令で、届出から30日以内という短い期限が付いています。高さや壁面の位置に合わない行為は、命令ではなく勧告までです。

変更命令の図解:色や形は勧告だけでは守れないから、条例で絞って命令を出す。

色や形は勧告だけでは守れないから、条例で絞って命令を出す。

命令できるのは、条例で定めた特定届出対象行為だけです

17条1項は、命令の対象を、16条1項1号又は2号の届出を要する建築等・建設等のうち景観行政団体の条例で定めるもの(特定届出対象行為)に限っています。届出制の対象になっていても、条例で特定届出対象行為に指定されていなければ、景観行政団体の長ができるのは16条3項の勧告までです。条文に理由は書いていませんが、命令は私人の建築の自由を直接に縛るので、法律が一律に認めるのではなく、どの行為に命令まで使うかを地域の条例で決めさせているものと考えられます。命令をしたときは、勧告の規定は適用されません(17条1項後段)。

命令の対象は形態意匠の制限で、高さには命令できません

17条1項は、景観計画に定められた建築物又は工作物の形態意匠の制限に適合しないものをしようとする者又はした者に対し、その制限に適合させるため必要な限度で命ずると定めています。景観計画には高さの最高・最低限度、壁面の位置、敷地面積の最低限度も定められますが(8条4項2号)、それらに合わない行為には勧告しかできません。条文に理由は書いていませんが、高さや壁面の位置は都市計画や建築基準法でも扱える一方、色や意匠は景観法でしか止められないので、命令をそこに絞ったものと考えられます。形態意匠が政令で定める他の法令の規定により義務付けられたものであるときは、命令はその義務の履行に支障のないものでなければなりません(17条3項)。

変更命令の図解:形態意匠に合わなければ命令、高さに合わなければ勧告まで。

形態意匠に合わなければ命令、高さに合わなければ勧告まで。

命令は届出から30日以内で、90日を超えない範囲で延長できます

17条2項は、命令は届出をした者に対しては届出があった日から30日以内に限りすることができると定めています。届出をした者は届出の受理から30日を経過すれば着手できるので(18条1項)、命令もその期間の中で出すことになります。実地の調査をする必要があるときなど30日以内に処分できない合理的な理由があるときは、90日を超えない範囲でその理由が存続する間、期間を延長でき、その場合は30日以内に延長する期間と理由を通知しなければなりません(17条4項)。延長されたときは、着手できる日もその分あとになります(18条1項かっこ書)。

変更命令の図解:命令は届出から30日以内。延長は90日を超えない範囲で。

命令は届出から30日以内。延長は90日を超えない範囲で。

命令に従わなければ、原状回復命令と罰則が待っています

17条5項は、景観行政団体の長は、命令に違反した者又はその者から建築物・工作物の権利を承継した者に対し、相当の期限を定めて、形態意匠の制限に適合させるため必要な限度で原状回復を命じ、又はこれに代わる措置を命ずることができると定めています。過失なく命ずべき者を確知できないときは、その者の負担で自ら行うことができます(17条6項)。命令を受けた者に措置の実施状況を報告させ、職員に敷地や土地に立ち入って検査・調査させることもできます(17条7項)。変更命令に違反すると50万円以下の罰金、原状回復命令に違反すると1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められていて、勧告との強さの違いがここに現れます(101条、102条1号)。

景観行政団体の長は、良好な景観の形成のために必要があると認めるときは、特定届出対象行為(前条第一項第一号又は第二号の届出を要する行為のうち、当該景観行政団体の条例で定めるものをいう。…)について、景観計画に定められた建築物又は工作物の形態意匠の制限に適合しないものをしようとする者又はした者に対し、当該制限に適合させるため必要な限度において、当該行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを命ずることができる。この場合においては、前条第三項の規定は、適用しない。

出典: 景観法 17条1項

実務ではこう使う

特定届出対象行為が条例で定められている景観計画区域では、外壁の色や屋根の形が景観計画に合わないと建築を止められるので、建替えの設計の自由度が実質的に制限されます。評価では条例の有無と特定届出対象行為の範囲を景観行政団体で確かめ、勧告どまりの区域との違いを行政的条件に書きます。命令に基づく原状回復は承継人にも及ぶので、違反建築物を取得する場合の減価要因にもなります。

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