/ 行政法規

景観計画区域とは?景観法での意味を図でわかりやすく解説

景観計画に定められた、その計画の区域です(8条2項1号)。つまり、この線の中では建築物の建築等をあらかじめ景観行政団体の長に届け出る決まりが働き、制限に合わなければ勧告を受けます。

景観計画区域とは

家の外壁を塗り替える、店を増築する、看板の工作物を新設するといった工事は、景観計画区域の中なら工事の前に役所へ届け出ます。許可を取る、認定を受けるという重い手続ではなく、「こういう工事をします」と知らせる届出です。役所は届出を見て、景観計画の制限に合わなければ設計の変更などを勧告し、条例で定めた行為の形態意匠に限っては変更命令まで出せます。景観法の中では、景観地区の認定や景観重要建造物の許可より一段ゆるく、そのぶん広い面にかける規制です。

景観計画区域の図解:面に広くかける規制だから、重い許可ではなく届出で済ませる。

面に広くかける規制だから、重い許可ではなく届出で済ませる。

届出が要るのは、外から見える姿が変わる工事です

16条1項は、景観計画区域内で届出を要する行為として、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(1号。建築等)、工作物の新設や同様の行為(2号。建設等)、都市計画法の開発行為その他政令で定める行為(3号)、景観計画に従い景観行政団体の条例で定める行為(4号)を掲げています。修繕や模様替は「外観を変更することとなる」ものだけが対象で、床の張替えのように外観を変えない修繕は最初から入りません。景観法が守るのは外から見える街の姿なので、外観に関わらない工事まで届け出させる必要がないからです。建築物と工作物は同じ組立てで、色彩の変更だけでも届出が要ります。

景観計画区域の図解:外観が変わる工事だけ届け出る。床の張替えは要らない。

外観が変わる工事だけ届け出る。床の張替えは要らない。

手続は届出で、認定でも許可でもありません

届出は、あらかじめ、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日などを景観行政団体の長に出します(16条1項)。役所が計画を審査して認める仕組みではないので、景観地区の市町村長の認定(63条1項)とも、景観重要建造物の景観行政団体の長の許可(22条1項)とも違います。届出をした者は、届出が受理された日から30日を経過した後でなければ工事に着手できませんが(18条1項)、支障がないと認めるときは景観行政団体の長がこの期間を短縮できます(18条2項)。届出事項のうち省令で定めるものを変更するときも、あらかじめ届け出ます(16条2項)。国の機関や地方公共団体の行為は届出を要せず、あらかじめ景観行政団体の長に通知します(16条5項)。

制限に合わなければ、届出から30日以内に勧告します

16条3項は、届出に係る行為が景観計画に定められた制限に適合しないと認めるときは、景観行政団体の長は届出をした者に設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができると定め、16条4項は、勧告は届出のあった日から30日以内にしなければならないと定めています。届出から30日で着手できる仕組み(18条)と同じ期間なので、着手までに役所の答えが出ることになります。勧告は形態意匠・高さ・壁面の位置など景観計画の制限の全部が対象です。これより強い変更命令は、条例で定めた特定届出対象行為の形態意匠の制限に限られます(17条1項)。

景観計画区域の図解:届出から30日以内に勧告。着手できるのも30日後。

届出から30日以内に勧告。着手できるのも30日後。

届出が要らない行為も定められています

16条7項は、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの(1号)、非常災害のため必要な応急措置として行う行為(2号)、景観重要建造物について22条1項の許可を受けて行う行為(3号)、景観地区内で行う建築物の建築等(8号)などには、届出の規定を適用しないと定めています。景観地区内の建築等は市町村長の認定を、景観重要建造物の現状変更は景観行政団体の長の許可を受けるので、もっと強い手続を経る行為には重ねて届出を課さない、という整理です。

景観計画区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令(…)で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観行政団体の長に届け出なければならない。

出典: 景観法 16条1項

実務ではこう使う

景観計画区域内の土地の評価では、外壁の色や屋根の形まで景観計画の制限に従う必要があるので、建替えの自由度が下がることを個別的要因に見ます。勧告にとどまるか変更命令まであるかは、条例で特定届出対象行為が定められているかで変わるので、景観行政団体の条例を確認します。評価書には、景観計画区域内であることと届出対象行為を書きます。

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