景観重要建造物とは?景観法での意味を図でわかりやすく解説
景観行政団体の長が、景観計画に定められた指定の方針に即し、景観計画区域内の良好な景観の形成に重要な建造物を指定したものです(19条1項)。つまり、街の顔になっている建物を名指しで守り、増築や外観を変える修繕、色彩の変更を許可制にします。
景観重要建造物とは
街道沿いの古い商家や港町の洋館のように、文化財の指定は受けていないけれど、その建物があるから街の景色が成り立っている、という建物があります。景観計画区域の届出制は面でゆるくかける規制なので、そうした一軒を確実に守るには足りません。そこで景観行政団体の長が建物を名指しで指定し、増築や外観を変える修繕、色彩の変更を許可制にする仕組みが景観重要建造物です。建物と一体で景観をつくっている庭や塀などの土地その他の物件も含めて指定します。樹木について同じ仕組みが景観重要樹木です(28条)。

この一軒が街の顔だから、面の届出より強い許可で守る。
指定は景観行政団体の長が、所有者の意見を聴いて行います
19条1項は、景観行政団体の長は、景観計画に定められた指定の方針に即し、景観計画区域内の良好な景観の形成に重要な建造物で国土交通省令で定める基準に該当するものを指定することができると定め、19条2項は、指定しようとするときはあらかじめ所有者(二人以上いるときはその全員)の意見を聴かなければならないと定めています。指定は役所の側の判断なので、所有者には意見を述べる機会を保障し、同意までは求めません。指定したときは直ちに所有者に通知し(21条1項)、景観行政団体は遅滞なく指定を表示する標識を設置します(21条2項)。所有者の側から指定を提案することもでき、その場合、提案者以外の所有者がいるときはあらかじめその全員の合意を得ます(20条1項)。所有者が動く手続では、他の所有者の権利を縛ることになるので、意見ではなく合意が要ります。景観整備機構も、所有者の同意を得て提案できます(20条2項)。

役所が指定するなら意見を聴く、所有者が提案するなら他の所有者の合意。
文化財として指定された建造物は対象になりません
19条3項は、文化財保護法により国宝、重要文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建造物には、指定の規定を適用しないと定めています。文化財保護法で守られている建物には、その法律の現状変更の規制がすでに働いているので、景観法で二重に指定しないという整理です。景観重要樹木も、特別史跡名勝天然記念物・史跡名勝天然記念物に指定された樹木は指定できません(28条3項)。
外観を変える行為には、景観行政団体の長の許可が要ります
22条1項は、何人も、景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要建造物の増築、改築、移転若しくは除却、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更をしてはならないと定めています。届出なら工事を止められませんが、許可なら景観の保全に支障がある行為を止められるので(22条2項)、名指しで守る建物にはこの強さが要ります。例外は、通常の管理行為・軽易な行為で政令で定めるものと、非常災害のため必要な応急措置です(同項ただし書)。国の機関又は地方公共団体の行為は許可を要せず、あらかじめ景観行政団体の長に協議します(22条4項)。許可を受けられないために損失を受けた所有者には、通常生ずべき損失が補償されます(24条1項)。

外観を変える行為は届出ではなく許可。国の機関だけは協議。
違反や管理の不足には、原状回復や管理の命令が待っています
23条1項は、許可を受けずに現状を変更した者や許可の条件に違反した者、これらの者から権利を承継した者に対し、相当の期限を定めて原状回復を命じ、又はこれに代わる措置を命ずることができると定めています。手を入れたときだけでなく、手入れを怠ったときにも規定があり、管理が適当でないため滅失し若しくは毀損するおそれがあるときは、所有者又は管理者に管理の方法の改善その他必要な措置を命じ、又は勧告することができます(26条)。指定の理由が消滅したときは指定を解除します(27条)。買入れの制度は置かれていません。
何人も、景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要建造物の増築、改築、移転若しくは除却、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更をしてはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
出典: 景観法 22条1項
実務ではこう使う
景観重要建造物に指定された建物は、外観を変える改修や取壊しに許可が要るので、建物の取壊しを前提にした更地価格での評価はできず、現況の建物を維持する前提で評価します。維持管理の負担と許可の条件を役所で確かめ、評価書の権利関係と行政的条件に指定の事実と制限の内容を書きます。一方で、街並みの核として周辺の商業地の地域要因にプラスに働くこともあります。
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