/ 鑑定理論

近隣地域とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

対象不動産の属する用途的地域であって、都市や農村等の内部にあり、居住・商業活動・工業生産活動等に関してある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域で、対象不動産の価格の形成に直接に影響を与えるような特性を持つものです。つまり、対象不動産と同じ使われ方でまとまっている、ひとつな...

近隣地域とは

自分の家の値段を考えるとき、遠くの市街地の相場より、同じ通りに並ぶ家がいくらで売れたかのほうがずっと気になります。その「同じ通りに並ぶ家」の広がりが近隣地域です。町という大きな地域の内部にあって、住まいなら住まいという一つの用途を中心にまとまり、対象不動産の値段に直接効く特性を持っています。鑑定評価では、対象不動産が属する近隣地域を見つけて範囲を決め、その特性を把握することが、地域分析の中心になります。

近隣地域の図解:遠くの市街地の相場より、同じ通りの家の売値。その通りが近隣地域。

遠くの市街地の相場より、同じ通りの家の売値。その通りが近隣地域。

近隣地域は、大きな地域の内部にある用途のまとまりです

定義には三つの要素があります。対象不動産が「属する」用途的地域であること、都市あるいは農村等というより大きな規模と内容を持つ地域の「内部」にあること、そして対象不動産の価格形成に「直接に」影響を与える特性を持つことです。「より大きな規模と内容とを持つ地域」は都市や農村の説明で、近隣地域そのものが大きいという意味ではありません。類似地域は対象不動産が属さない点で、同一需給圏は使われ方で区切った地域ではなく代替関係で決まる圏域である点で、それぞれ近隣地域と区別されます。

近隣地域の図解:町という大きな地域の内部にある、対象の家の属するひとまとまり。その特性が値段に直接効く。

町という大きな地域の内部にある、対象の家の属するひとまとまり。その特性が値段に直接効く。

近隣地域の特性は、標準的使用に具体的に現れます

近隣地域の特性は、通常、その地域に属する不動産の一般的な標準的使用に具体的に現れます。戸建てが並ぶ通りなら戸建住宅がその地域の標準的使用で、この標準的使用は、利用形態から見た地域相互間の相対的位置関係と価格形成を明らかにする手掛りになります。同時に、その地域の不動産一つひとつの最有効使用を判定する有力な標準にもなります。対象不動産の最有効使用は、この標準的使用との相互関係を明らかにして個別分析で判定されるので、近隣地域を正しく見つけることが評価の出発点になります。

範囲は、自然的状態と人文的状態に留意して判定します

近隣地域の範囲を決めるとき、留意事項は基本的な土地利用形態や土地利用上の利便性等に影響を及ぼす事項に留意することを求めています。自然的状態に係るものは、河川、山岳及び丘陵、地勢・地質・地盤等です。人文的状態に係るものは、行政区域、公法上の規制等、鉄道・公園等、道路です。川幅の広い河川、鉄道や公園、広幅員の道路は土地や建物の連たん性と地域の一体性を分断することがあり、山岳や丘陵、地勢・地質・地盤等は日照、通風、乾湿等にも影響します。行政区域が違うと道路や水道、学校などの整備水準や公租公課の負担が変わり、それが利便性に効いてきます。

近隣地域の図解:川と線路と広い道路で街並みが途切れる。そこが近隣地域の境。

川と線路と広い道路で街並みが途切れる。そこが近隣地域の境。

近隣地域は、地域要因の推移によって変化します

近隣地域は、その地域の特性を形成する地域要因の推移、動向の如何によって変化していくものだと基準は定めています。駅の開業や大型店の出店で、住宅街の一角が店の並ぶ通りに変わることは珍しくありません。だから近隣地域の範囲も特性も鑑定評価のたびに改めて判定し、判定した同一需給圏及び近隣地域の範囲及び状況は鑑定評価報告書に記載しなければなりません。

近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいい、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるような特性を持つものである。

出典: 総論第6章 第1節

実務ではこう使う

現地では対象地から四方に歩き、建物の用途や規模が切り替わる所、幹線道路・線路・川で街並みが途切れる所を探して近隣地域の境を引きます。市境をまたぐと公共施設の整備水準や公租公課が変わることがあるので、行政区域や用途地域の線も確かめます。評価書には近隣地域の範囲と状況を地図とともに記載します。

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