遊休農地とは?農地法での意味を図でわかりやすく解説
現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地と、周辺の地域の農地に比べて農業上の利用の程度が著しく劣っていると認められる農地です(32条1項)。つまり、耕されないまま置かれた農地で、農業委員会の調査から市町村長の措置命令までの手当ての対象になります。
遊休農地とは
田舎道を走ると、雑草が背丈ほど伸びて、もう何年も耕されていない畑を見かけます。持ち主が高齢で耕せなくなったり、相続した人が遠くに住んでいたりして、放置された農地です。農地法はこれを遊休農地と呼び、農業委員会が毎年見て回って見つけ、持ち主にどうするつもりかを尋ね、耕す人に貸すよう働きかけ、それでも動かなければ農地中間管理機構という公的な貸し借りの仕組みに乗せます。荒れた農地から害虫や雑草が隣の畑に広がるときは、市町村長が手を打つよう命じます。名前の似た国土利用計画法の遊休土地とは、まったく別の制度です。

耕されないまま置かれた農地と、周りに比べて著しく利用の劣る農地。どちらも遊休農地。
農業委員会が毎年調査し、持ち主に利用の意向を尋ねます
農業委員会は、毎年1回、その区域内の農地の利用の状況を調査しなければなりません(30条1項)。その結果、耕作されておらず引き続き耕作されないと見込まれる農地や、利用の程度が著しく劣る農地があれば、その所有者等に農業上の利用の意向についての調査を行います(32条1項)。条文の「所有者等」は所有者を指しますが、賃借権など所有権以外の権原に基づいて使用収益する者がいるときは、所有者ではなくその者を指します。所有者等が分からないときは、そのことを公示し、2月以内に申し出るよう求めます(32条3項)。
6月たっても動かなければ、農地中間管理機構との協議を勧告します
意向調査で耕作する意思を表明した所有者等が、表明の日から6月を経過しても利用の増進を図っていないとき、貸す意思を表明したのに6月を経過しても権利の設定が行われないとき、利用する意思がないとき、調査の日から6月を経過しても意思の表明がないときなどは、農業委員会は、農地中間管理機構による農地中間管理権の取得について機構と協議すべきことを勧告します(36条1項)。農地中間管理機構は、農地を借り受けて耕す人にまとめて貸す都道府県ごとの公的な組織で、勧告はこの仕組みに農地を乗せるための手続です。所有者等を確知できない農地は、知事の裁定で機構が利用権を取得できます(41条)。

6月たっても動かない農地は、農地中間管理機構に貸すよう勧告。
周りの営農に支障が出れば、市町村長が措置を命じます
42条1項は、遊休農地における病害虫の発生、土石その他これに類するものの堆積、鳥獣や草木の生育、地割れ、土壌の汚染(施行令29条)により、周辺の地域の営農条件に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるとき、市町村長が必要な限度において、所有者等に対し、期限を定めて支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる、と定めています。調べて尋ねるのは農業委員会ですが、命じるのは市町村長です。命令に従わないとき、所有者等を確知できないとき、緊急のときは、市町村長が自ら措置を講じ、費用を所有者等に負担させることができます(42条3項・4項)。

荒れた畑の害虫が隣の畑に広がるとき、命令を出すのは市町村長。
遊休化しても農地のままで、転用の許可は要ります
耕されていない農地も、耕作の目的に供される土地として農地のままです。遊休化していることを理由に4条や5条の許可を要らなくする規定はなく、市街化調整区域内の遊休農地を宅地にするなら、耕作中の農地と同じく都道府県知事等の許可が要ります。農地法が遊休農地に用意しているのは耕作に戻す手続で、宅地にする手続を緩めてはいません。
農業委員会は、第三十条の規定による利用状況調査の結果、次の各号のいずれかに該当する農地があるときは、農林水産省令で定めるところにより、その農地の所有者(その農地について所有権以外の権原に基づき使用及び収益をする者がある場合には、その者。以下「所有者等」という。)に対し、その農地の農業上の利用の意向についての調査(以下「利用意向調査」という。)を行うものとする。一 現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地 二 その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣つていると認められる農地(前号に掲げる農地を除く。)
出典: 農地法 32条1項
実務ではこう使う
遊休農地は、鑑定評価では耕作放棄による地力の低下や、周辺の営農条件への影響を個別的要因として見ます。宅地見込地として評価する場合でも、遊休化は転用許可の要件を緩めないので、農用地区域の内外と転用許可の見込みを、耕作中の農地と同じように確かめます。
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