応急仮設建築物とは?建築基準法での意味を図でわかりやすく解説
災害があったときに、災害救助や被災者の住まい、停車場・官公署などの公益上必要な用途のために急いで建てる仮設の建築物です。つまり、平常時の手続と基準の全部または一部を外して建てられる代わりに、工事完了後3か月を超えて残すには特定行政庁の許可が要ります(85条)。
応急仮設建築物とは
大きな地震の後、校庭や公園に仮設住宅が並び、駅や役場の仮の建物が建つのを見たことがあるでしょう。平常時のとおりに建築確認を取り、集団規定に合わせて設計していては、救助も暮らしの立て直しも間に合いません。そこで85条は、災害のときに建てる応急仮設建築物について、建築基準法令の適用をまるごと外したり、一部の規定だけ外したりしています。ただし仮設である以上いつまでも残してよいわけではなく、工事完了後3か月を超えて存続させるには特定行政庁の許可が要り、許可の期間にも上限があります。

急いで建てるから手続を外し、仮設だから長く残すには許可が要る。
非常災害の区域で1か月以内に着手する救助用は法令を適用しません
85条1項は、非常災害があった場合に、特定行政庁が指定する非常災害区域等の中で、災害が発生した日から1か月以内に工事に着手する応急仮設建築物について、建築基準法令の規定を適用しないと定めています。対象は、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるものと、被災者が自ら使うために建てる延べ面積30平方メートル以内のものです。災害で壊れた建築物の応急の修繕も同じ扱いです。ただし、防火地域内に建てる場合は除かれます。

災害の日から1か月以内に着手する救助用の建築物は、法令を適用しない。
公益上必要な応急仮設建築物は、列挙された規定だけを外します
85条2項は、災害があった場合に建てる停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途の応急仮設建築物と、工事現場の事務所・下小屋・材料置場などの仮設建築物について、6条から7条の6まで(確認と検査)、19条、21条から23条まで、26条、33条(避雷設備)、34条2項(非常用の昇降機)、39条、第3章(集団規定)などを適用しないと定めています。外れるのは列挙された規定だけで、20条の構造耐力や28条の採光・換気は残ります。1項のような災害直後の救助用ではないので、手続や集団規定は外しても、構造や採光といった最低限の安全は残しています。防火地域・準防火地域内で延べ面積が50平方メートルを超えるものには、屋根の62条が適用されます。
3か月を超えて残すには、その前に特定行政庁の許可が要ります
85条3項は、1項と2項の応急仮設建築物を建てた者が、その建築工事を完了した後3か月を超えて存続させようとする場合には、その超えることとなる日の前に特定行政庁の許可を受けなければならないと定めています。許可の申請をしていれば、その日までに処分がされなくても、処分があるまでは存続させることができます。
許可の期間は2年以内で、延長は1年ずつ繰り返せます
特定行政庁は、安全上、防火上、衛生上支障がないと認めるときは、2年以内の期間を限って許可できます(85条4項)。被災者の需要に応じる建築物が足りないなどの特別の必要があり、公益上やむを得ないときは、更に1年を超えない範囲で期間を延長でき、延長は繰り返せます(85条5項)。延長にはあらかじめ建築審査会の同意が要りますが、官公署・病院・学校などの公益上特に必要な用途は同意なしで延長できます(85条8項)。

3か月を超える前に許可、許可は2年以内、延長は1年ずつ。
前二項の応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後三月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。ただし、当該許可の申請をした場合において、その超えることとなる日前に当該申請に対する処分がされないときは、当該処分がされるまでの間は、なお当該建築物を存続させることができる。
出典: 建築基準法 85条3項
実務ではこう使う
被災地の評価では、応急仮設建築物が建つ土地は許可の期限が切れれば更地に戻る前提で見ます。仮設住宅の用地として貸している土地は、契約期間と85条の許可期間の両方を確かめ、期限後の利用を前提に価格を判定します。仮設のまま何年も残っている建物を見たら、延長の許可が続いているかを役所で確かめます。
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