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更地としての最有効使用とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

対象不動産の敷地を、建物が無い更地とみた場合の最有効使用です。つまり、今の建物込みで判定する「建物及びその敷地の最有効使用」とは別に、土地だけならどう使うのが一番よいかを判定したものです。

更地としての最有効使用とは

幹線道路沿いに古い二階建ての倉庫が一つ残り、周りは次々と中高層の分譲マンションに変わった、という場面を思い浮かべてください。土地だけを見れば、ここはマンション用地として使うのが一番値打ちが出ます。ところが今の倉庫を壊してマンションを建てるには、解体費と、工事の間に賃料が入らない期間という代償がかかります。だから鑑定士は、建物が建っている不動産では「土地だけならどう使うか」をまず更地としての最有効使用として判定し、それとは別に「今の建物込みでどうするか」を建物及びその敷地の最有効使用として判定します。この二つを分けて考えるための土台になるのが、更地としての最有効使用です。

更地としての最有効使用の図解:同じ敷地でも、更地とみた判定と、建物込みの判定は別に立てる。

同じ敷地でも、更地とみた判定と、建物込みの判定は別に立てる。

建物及びその敷地の最有効使用とは、必ずしも一致しません

基準は、現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合には、更地としての最有効使用を実現するために要する費用等を勘案する必要があるため、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容は必ずしも一致しない、と定めています。土地だけなら最善の使い方でも、今の建物を壊し、用途を変え、その間の収入を失ってまで実現する値打ちがあるかは、別の問題だからです。だから、更地とみた判定が「マンション用地」でも、建物込みの判定は「今の倉庫を貸し続ける」になることがあります。その逆に、自社ビルとして使い続けている場合でも、建物を取り壊して敷地の最有効使用を実現するほうが対象不動産の最有効使用だと判断されることもあります。

続ける場合と取り壊す場合の経済価値を比べて決めます

基準は、現実の建物の用途等を継続する場合の経済価値と、建物の取壊しや用途変更等を行う場合のそれらに要する費用等を適切に勘案した経済価値を、十分比較考量することを求めています。更地とみた判定と食い違うというだけで取壊しに決めるのでも、費用が大きいから続けると決めるのでもなく、両方の値打ちを並べて比べます。留意事項は、この比較で特に、物理的・法的にみた取壊しや用途変更の実現可能性と、取壊し後の対象不動産の競争力の程度を踏まえた収益の変動予測の不確実性、それに取壊しや用途変更に要する期間中の逸失利益の程度に留意するよう定めています。貸家及びその敷地なら、基準にいう「それらに要する費用等」には、建物の解体費だけでなく賃借人の立退きに要する費用等も入ると読めます。借家人に出てもらわなければ壊せないからです。比べた結果として、建物の用途を変え、又は構造等を改造して使うことが最有効使用と認められる場合もあります。

更地としての最有効使用の図解:使い続ける値打ちと、壊して建て替える値打ちを並べて比べる。

使い続ける値打ちと、壊して建て替える値打ちを並べて比べる。

更地としての最有効使用は必ず判定し、報告書に両方書きます

建物及びその敷地の最有効使用は、更地とみた判定と比べて初めて決まるものなので、更地としての最有効使用を判定しないという場合はありません。鑑定評価報告書にも、建物及びその敷地の最有効使用のほか、その敷地の更地としての最有効使用を、判定の理由とともに記載しなければならないと定められています。両方の判定が同じ内容になったときも省略できません。基準に理由は書かれていませんが、比べた結果として同じになったことを読み手に示すため、と考えられます。区分所有建物及びその敷地でも同じ関係が成り立つので、専有部分のほか、一棟の建物の敷地を更地とみた場合と、一棟の建物及びその敷地についても最有効使用を判定することになります。基準はこの三つを並べて定めてはいませんが、建物及びその敷地の判定の仕組みをそのまま当てはめたものと読めます。

現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合には、更地としての最有効使用を実現するために要する費用等を勘案する必要があるため、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではないこと。

出典: 総論第6章 第2節

実務ではこう使う

古い倉庫の評価では、まず敷地を更地とみて「ここなら分譲マンション用地が最善」と判定し、次に今の倉庫を貸し続けた場合の収益価値と、取り壊して土地を売る場合の価値(解体費・立退料・空白期間の逸失利益を引いたもの)を並べて比べます。評価書には二つの最有効使用を別々の欄に書き、どちらを採ったかの理由を示します。更地の価格から解体費を引いた数字を、比べる前に評価額にしてしまわないのが、この手順の肝です。

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