開発行為の許可とは?森林法での意味を図でわかりやすく解説
地域森林計画の対象となっている民有林で、土石や樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為のうち政令で定める規模(原則1ヘクタール)を超えるものをしようとする者が、あらかじめ受ける都道府県知事の許可です。つまり、山林を大きく切り開いて宅地や太陽光発電所に変えるときに要る森林法の側の許可で、実務では林...
開発行為の許可とは
山を削って住宅地や太陽光発電所を造ると、木が無くなるだけでなく地形そのものが変わります。雨水を蓄えていた土が失われ、下流の集落に土砂や水が押し寄せるおそれが出てきます。そこで森林法は、都市計画法の開発許可とは別に、森林の側から見た許可を置きました。土石や樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を「開発行為」と呼び、一定の規模を超えるものは都道府県知事の許可なしにはできません(10条の2第1項)。対象は地域森林計画の対象となっている民有林で、保安林や保安施設地区、海岸保全区域の森林はもっと強い別の規制を受けるので、ここからは除かれています。

山を切り開いて地形を変えるから、森林法の側でも知事の許可。
許可を出すのは都道府県知事で、市町村長は意見を述べます
許可権者は都道府県知事です(10条の2第1項)。知事は許可をしようとするとき、都道府県森林審議会と関係市町村長の意見を聴かなければなりません(10条の2第6項)。条文に理由は書いていませんが、森林の水や土砂は市町村の境を越えて流れるので、市町村より広く見渡せる知事に判断させ、地元の事情は市町村長が意見として伝える分担と考えられます。市町村長は意見を述べる立場で、許可を出す立場でも同意を与える立場でもありません。

許可の印は知事、審議会と市町村長は意見書。
規模の線は政令が定め、原則は1ヘクタールを超えるものです
法律本文は「政令で定める規模をこえるもの」と書くだけで、数字は施行令2条の3にあります。原則は行為に係る土地の面積が1ヘクタールを超えるもので、太陽光発電設備の設置を目的とする行為は0.5ヘクタールを超えるもの、道路の新設や改築だけを目的とする行為は面積1ヘクタールかつ幅員3メートルを超えるものです。「超える」なので、1ヘクタールちょうどの造成は許可の対象になりません。太陽光の線だけ半分なのは、条文に理由は書いていませんが、斜面にパネルを並べる工事は小さな面積でも雨水の流れを大きく変えるためと考えられます。
国や地方公共団体と非常災害の応急措置には、許可が要りません
国または地方公共団体が行う場合、火災や風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行う場合、森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく公益性が高い事業で農林水産省令で定めるものの施行として行う場合は、許可を受けずに開発行為ができます(10条の2第1項ただし書1号〜3号)。国や地方公共団体は自ら森林の公益的機能を守る責任を負う主体なので、知事の審査を重ねません。崩れかけた斜面を今すぐ削って安全を確保するような応急措置は、許可を待っていては間に合いません。応急措置の範囲を超えて本格的な復旧工事や造成に進むときは、通常どおり許可が要ります。

自ら公益を担う主体と、待てない応急措置は許可なしで動ける。
四つのおそれに当たらなければ、知事は許可しなければなりません
知事は、申請された開発行為が、周辺の地域で土砂の流出や崩壊などの災害を発生させるおそれ、水害を発生させるおそれ、水の確保に著しい支障を及ぼすおそれ、周辺の地域の環境を著しく悪化させるおそれのいずれにも当たらないと認めるときは、許可をしなければなりません(10条の2第2項)。森林が現に持っている災害の防止、水害の防止、水源のかん養、環境の保全という四つの機能を、その開発行為が壊さないかを一つずつ見る審査の枠です。四つに当たらないのに知事の裁量で断ることはできず、許可に付ける条件も公益的機能を維持するために必要最小限度のものに限られます(10条の2第4項・5項)。許可を受けずに、または条件に反して開発した者には、知事が中止や復旧を命じることができます(10条の3)。
地域森林計画の対象となつている民有林(…保安林並びに…保安施設地区の区域内及び…海岸保全区域内の森林を除く。)において開発行為(土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、森林の土地の自然的条件、その行為の態様等を勘案して政令で定める規模をこえるものをいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
出典: 森林法 10条の2第1項
実務ではこう使う
山林を宅地や資材置場、太陽光発電の用地として評価するときは、対象地が地域森林計画の対象かどうかと、開発面積が1ヘクタール(太陽光なら0.5ヘクタール)を超えるかどうかで、転用に掛かる費用と期間が大きく変わります。都道府県の林務担当で対象森林かどうかと許可の実績を確かめ、許可の要否と見込みを個別的要因として評価書に記載します。許可を受けても残置森林や調整池の設置が条件として付くことが多く、造成できる面積はその分だけ減ります。
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