/ 鑑定理論

試算価格の再吟味とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

試算価格の調整の一段階として、鑑定評価の手順の各段階を客観的、批判的に見直す作業です。つまり、資料の選び方から補正・修正の判断、単価と総額の関係まで、自分の作業を六つの点で点検し直すことです。

試算価格の再吟味とは

答案を出す前に見直しをするように、鑑定士も鑑定評価額を決める前に、自分がたどった手順を一段ずつ見直します。使った事例や資料は適切だったか、地域分析と個別分析の見立てはずれていないか、補正や修正の判断は筋が通っているか、といった点検です。基準はこの見直しを再吟味と呼び、特に留意すべき事項として六つを挙げています。再吟味は、各試算価格の説得力を比べる前に行う、自分の仕事の点検です。

試算価格の再吟味の図解:説得力を比べる前に、自分の手順を六つの点で点検する。

説得力を比べる前に、自分の手順を六つの点で点検する。

特に留意すべき事項は六つあります

基準が再吟味で特に留意すべきとする事項は、資料の選択、検討及び活用の適否、不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否、一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否、各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否、各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性、単価と総額との関連の適否の六つです。並べてみると、前の四つは資料、諸原則、要因分析、補正・修正と、鑑定評価の作業が進む順に近い並びで、後の二つは手法どうしの矛盾と金額の全体を見ています。どれも「適否」か「整合性」という言葉で結ばれており、自分の作業が適切だったか、矛盾がないかを問う項目です。

共通する要因の整合性は、手法をまたいで矛盾がないかを見ます

同じ価格形成要因は、複数の手法の中に別の形で現れます。建物の古さは、原価法では減価修正に、取引事例比較法では個別的要因の比較に、収益還元法では修繕費や賃料の見込みに反映されます。一つの手法では「かなり古い」と扱い、別の手法では「まだ新しい」と扱っていれば、試算価格の開きはその矛盾から生まれています。各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性とは、この横並びの矛盾を点検することです。

試算価格の再吟味の図解:同じ建物の古さを、手法ごとに違う扱いにしていないかを横に見る。

同じ建物の古さを、手法ごとに違う扱いにしていないかを横に見る。

単価と総額の関連では、その金額で買い手がいるかを見ます

単価は、事例と比べるときの共通の目盛りで、総額はそれに面積を掛けた結論の金額です。単価が近隣の水準どおりでも、面積が大きければ総額は膨らみ、その金額を出せる買い手が市場にどれだけいるかは別の問題になります。単価と総額との関連の適否とは、単価から機械的に出た総額が、市場性の観点から見て通る金額かを点検することです。基準は点検の項目を掲げるだけですが、大きな画地で総額が嵩んで買い手が限られる案件は、この点検が効く場面と考えられます。

試算価格の再吟味の図解:単価が同じでも、総額が大きすぎて買い手がいなければ、単価と総額の関連を見直す。

単価が同じでも、総額が大きすぎて買い手がいなければ、単価と総額の関連を見直す。

Ⅰ 各試算価格又は試算賃料の再吟味

出典: 総論第8章 第8節

実務ではこう使う

評価書を仕上げる前に、採用した事例は対象と比べられるものだったか、最有効使用の判定と各手法の前提がずれていないか、建物の老朽化を減価修正・格差率・修繕費で同じ見方で扱ったか、単価に面積を掛けた総額が市場で通る水準か、を順に点検します。矛盾が見つかれば手法の適用に戻ってやり直し、その結果を調整の記載に反映します。

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