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史跡名勝天然記念物とは?文化財保護法での意味を図でわかりやすく解説

貝づかや古墳、城跡などの遺跡、庭園や峡谷などの名勝地、動物や植物、地質鉱物といった記念物のうち重要なものとして、文部科学大臣が史跡、名勝又は天然記念物に指定した文化財です。つまり、建物や美術品ではなく、遺跡の土地や景色、動植物といった記念物そのものを守る指定で、現状変更には文化庁長官の許可が要ります。

史跡名勝天然記念物とは

住宅街の真ん中に木々に覆われた古墳が残っていたり、駅前の公園に城の石垣があったりする光景を思い浮かべてください。こうした遺跡や、美しい庭園や渓谷、貴重な動植物や地質は、法律で「記念物」と呼ばれます。そのうち重要なものを文部科学大臣が史跡(遺跡)、名勝(景色)、天然記念物(自然)に指定したのが、史跡名勝天然記念物です。史跡や名勝では土地そのものが指定の対象になるので、その上に家を建てたり地面を掘ったりすることが、文化庁長官の許可なしにはできなくなります。

史跡名勝天然記念物の図解:遺跡は史跡、景色は名勝、自然は天然記念物。指定されるのは土地そのもの。

遺跡は史跡、景色は名勝、自然は天然記念物。指定されるのは土地そのもの。

指定は文部科学大臣が、告示と所有者・占有者への通知で行います

文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物に指定し、そのうち特に重要なものを特別史跡、特別名勝、特別天然記念物に指定します(109条1項・2項)。指定は官報で告示するとともに、所有者及び権原に基づく占有者に通知して行います(109条3項)。土地が対象なので、建物の重要文化財と違って、借地人など権原を持って占有している人にも通知が要ります。指定や仮指定に当たっては、関係者の所有権や鉱業権などの財産権を尊重し、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければなりません(111条1項)。

緊急のときは、都道府県の教育委員会が仮指定できます

文部科学大臣の指定を待っていては壊されてしまうおそれがあるときのために、指定前に緊急の必要があると認めるときは、都道府県の教育委員会(指定都市の区域内なら指定都市の教育委員会)が史跡名勝天然記念物の仮指定を行えます(110条1項)。仮指定をしたときは、直ちに文部科学大臣に報告します。仮指定は、その後に指定があったとき、又は仮指定の日から2年以内に指定がなかったときに効力を失います(112条2項)。現場に近い都道府県が先に手を打ち、国が後から本指定で追いかける仕組みです。

史跡名勝天然記念物の図解:壊される前に、都道府県の教育委員会が仮指定で先に手を打つ。

壊される前に、都道府県の教育委員会が仮指定で先に手を打つ。

現状変更は文化庁長官の許可で、無許可なら原状回復を命じられます

史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又は保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければなりません(125条1項)。維持の措置や非常災害の応急措置、影響が軽微な行為は例外です。許可を受けられなかったことや許可の条件によって損失を受けた人には、国が通常生ずべき損失を補償します(125条5項)。許可を受けずに現状を変更した人には、文化庁長官は原状回復を命じられます(125条7項)。管理と復旧は所有者が行い、所有者がないときなどは文化庁長官が管理団体を指定します(113条・119条)。

史跡名勝天然記念物の図解:掘るなら文化庁長官の許可。無許可で掘れば原状回復の命令。

掘るなら文化庁長官の許可。無許可で掘れば原状回復の命令。

文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。

出典: 文化財保護法 109条1項

実務ではこう使う

史跡に指定された土地は、住宅を建てるにも文化庁長官の許可が要り、断られれば国が損失を補償します(125条5項)。市街地の中に古墳や城跡が指定されている例は多く、隣接地の評価では、公園としての環境と、開発を制約する規制の両方を書きます。指定の範囲は市町村の教育委員会で確かめます。

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