重要文化財とは?文化財保護法での意味を図でわかりやすく解説
建造物、絵画、彫刻、工芸品、古文書などの有形文化財のうち重要なものとして、文部科学大臣が指定した文化財です。つまり、国が「これは特に大事だから、持ち主が勝手に手を入れてはいけない」と決めた物で、現状を変えるには文化庁長官の許可が要ります。
重要文化財とは
古い町を歩くと、寺の本堂や商家の蔵に「重要文化財」の札が掛かっていることがあります。建物のほかに、絵画や彫刻、工芸品、古文書のような形のある文化財(有形文化財)のうち重要なものを、文部科学大臣が選んで指定したものです。指定されると、持ち主は自分の物でも勝手に建て替えたり改造したりできなくなり、壊れたら国に届け出ます。そのうちさらに価値の高いものが国宝で、法律で「重要文化財」と書いてあるときは、原則として国宝も含みます。

指定するのは文部科学大臣。官報で告示し、所有者に通知して指定書を渡す。
指定は文部科学大臣が官報の告示と所有者への通知で行います
重要文化財の指定は、文部科学大臣が官報で告示するとともに、所有者に通知して行います(27条・28条)。指定の効力は告示の日から生じますが、所有者に対しては通知が届いた時からです。指定したときは、所有者に指定書を交付します。国宝は、この重要文化財の中から文部科学大臣がさらに指定するので、国宝の指定には二段の手続があります。
指定された建築物には、建築基準法が適用されません
建築基準法は、国宝や重要文化財として指定された建築物には適用しないと定めています(建築基準法3条1項1号)。古い建物を今の耐震や防火の基準で直すと、文化財としての価値が壊れてしまうからです。その代わり、文化財保護法が現状変更の許可という別の仕組みで建物を守ります。

指定された建築物は、建築基準法ではなく文化財保護法で守る。
管理は所有者が行い、壊れたら10日以内に届け出ます
重要文化財の管理は所有者の仕事で、法律と省令と文化庁長官の指示に従って行います(31条1項)。適切な管理のため必要があるときは、文化財保存活用支援団体などを管理責任者に選任できます(31条2項)。全部又は一部が滅失し、き損し、亡失し、又は盗み取られたときは、所有者(管理責任者や管理団体があるときはその者)が、その事実を知った日から10日以内に文化庁長官に届け出ます(33条)。修理は所有者が行い、許可の要らない修理でも着手の30日前までに文化庁長官へ届け出ます(34条の2・43条の2)。
有償で譲るときは、まず文化庁長官に国への売渡しを申し出ます
重要文化財を有償で譲り渡そうとする者は、譲渡の相手方や予定対価の額を書いた書面で、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければなりません(46条1項)。国に先に買う機会を与えて、大事な物が散逸しないようにする仕組みです。申出から30日以内に文化庁長官が国で買い取る旨を通知すると、申出書の予定対価で売買が成立したものとみなされます(46条4項)。その期間内は、申出をした人は重要文化財を譲り渡せません。

有償で譲る前に、まず国に売渡しを申し出る。返事は30日以内。
文部科学大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定することができる。
出典: 文化財保護法 27条1項
実務ではこう使う
重要文化財の建造物と一体で指定された土地は、現状変更に文化庁長官の許可が要るため、取り壊して建て替える前提の取引はできません。鑑定評価では、指定の有無と一体指定の範囲を教育委員会への照会で確かめ、市場性の乏しさと維持費の負担を個別的要因として評価書に書きます。指定建造物が並ぶ地域では、景観の保全が地域要因になります。
関連用語
短答式対策
肢別トレーニングで行政法規を攻略
過去問をベースにした一問一答形式のトレーニング。 行政法規の頻出論点を効率的に学べます。
年額プランなら1日わずか27円