/ 行政法規

耐火建築物とは?建築基準法での意味を図でわかりやすく解説

特定主要構造部が耐火構造(またはこれと同等の性能)で、外壁の開口部のうち延焼のおそれのある部分に遮炎性能のある防火設備を持つ建築物です。つまり、火災が終わるまで柱や壁が持ちこたえ、窓からも火を出し入れしない建物です。

耐火建築物とは

木造の家が燃えると、柱や壁が燃え落ち、窓から吹き出した炎が隣の家に移ります。鉄筋コンクリートのマンションなら、中で火事が起きても建物そのものは崩れず、窓に防火戸が付いていれば炎は外に広がりません。この「燃え落ちない骨組み」と「火を通さない窓」の二つをそろえた建物が耐火建築物です。人が大勢集まる劇場や病院、燃える物を積む倉庫、建物が密集した防火地域で求められます。骨組みの性能を一段緩めたものが準耐火建築物です。

耐火建築物の図解:火災が終わるまで骨組みが持ちこたえ、窓からも火を出さない。

火災が終わるまで骨組みが持ちこたえ、窓からも火を出さない。

定義は、特定主要構造部と開口部の二つの条件です

主要構造部とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のことです。そのうち防火上・避難上の支障がない部分を除いたものを特定主要構造部と呼び、これが耐火構造(火災が終了するまで倒壊と延焼を防ぐ性能を持つ構造)か、同等の技術的基準に適合していることが一つ目の条件です。二つ目は、外壁の開口部のうち延焼のおそれのある部分(隣地境界線や道路中心線から1階で3m以内、2階以上で5m以内)に、遮炎性能のある防火戸などの防火設備を持つことです。準耐火建築物は、主要構造部を準耐火構造か同等の性能とし、同じ防火設備を持つ建築物です(2条9号の3)。

耐火建築物の図解:骨組みは耐火構造、境界に近い窓には防火設備。

骨組みは耐火構造、境界に近い窓には防火設備。

用途と規模に応じて、27条が耐火建築物を求めます

人がいる建物と物を置く建物では、火災のときに守るものが違います。劇場・病院・ホテル・共同住宅・学校・百貨店などを3階以上の階に使う特殊建築物や、客席・売場が一定の面積以上のものは、中の人が地上まで避難を終えるまで倒壊・延焼を防ぐ特定主要構造部と、開口部の防火設備が要ります(27条1項)。ただし、3階以上の階にこれらの用途を置く場合でも、階数が3で延べ面積200㎡未満のものは除かれます。倉庫は3階以上の部分の床面積の合計が200㎡以上なら耐火建築物、床面積の合計が1,500㎡以上なら耐火建築物または準耐火建築物です(27条2項・3項)。自動車車庫や自動車修理工場は、3階以上の階をその用途に使えば面積を問わず耐火建築物、150㎡以上なら耐火建築物または準耐火建築物です。

耐火建築物の図解:上の階ほど消しにくく、広いほど燃え広がるから、階と面積で決まる。

上の階ほど消しにくく、広いほど燃え広がるから、階と面積で決まる。

耐火建築物なら、防火壁の区画も建蔽率の制限も緩みます

延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火壁または防火床で1,000㎡以内ごとに区画しなければなりません(26条)。耐火建築物と準耐火建築物は建物全体が燃え広がりを止める造りなので、この区画から除かれます。防火地域・準防火地域では、61条が地域の別と建物の規模に応じて耐火建築物等を求めます。防火地域の中で耐火建築物等にすると建蔽率が10分の1加算され、建蔽率の上限が10分の8の地域では建蔽率の制限そのものが外れます(53条3項・6項)。

耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。イ その主要構造部のうち、防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分(以下「特定主要構造部」という。)が、(1)耐火構造であること、又は(2)…政令で定める技術的基準に適合するものであること。ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能…に関して政令で定める技術的基準に適合するもの…に限る。)を有すること。

出典: 建築基準法 2条9号の2

実務ではこう使う

耐火建築物かどうかは、建物の再調達原価と経済的耐用年数を左右し、原価法の出発点になります。共同住宅や店舗の評価では、用途と規模から27条の要求を満たす構造かを確認し、既存不適格や違反の有無を法令上の制約として評価書に書きます。防火地域の商業地では、耐火建築物等であることが建蔽率の緩和の条件になるので、更地の最有効使用の判定にも関わります。

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