建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
自用の建物及びその敷地について、今ある建物を使い続けるよりも取り壊して敷地を使うほうが最有効使用だと判定される場合です。この場合の鑑定評価額は、建物の解体による発生材料の価格から取壊し、除去、運搬等に必要な経費を控除した額を、敷地の最有効使用に基づく価格に加減して決定します。
建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合とは
築50年の古い工場が建つ土地を売りたい、という相談を受けたとします。工場をそのまま使う人はいそうになく、買い手はみな「壊して新しい建物を建てる」つもりで値段を考えます。このように建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合、鑑定評価額の出発点は敷地を更地として使うときの価格、つまり敷地の最有効使用に基づく価格です。そこに、壊したときに出る鉄骨などの発生材料を売った価格から、解体・撤去・運搬にかかる経費を引いた額を加減します。多くの場合は経費のほうが大きいので、更地の価格から差し引く形になります。

壊すつもりで買う土地は、更地の価格に解体の差し引きを加減する。
発生材料の価格から経費を引いた額を、敷地の価格に加減します
計算の順序は、まず建物の解体による発生材料の価格を見積もり、そこから取壊し、除去、運搬等に必要な経費を控除し、その差額を敷地の最有効使用に基づく価格に加減する、というものです。発生材料とは、解体で出る鉄骨や鉄筋、瓦や木材のうち、売ってお金になるものです。差額が正の値なら敷地の価格に足し、負の値なら引くので、基準は「加減」と書いています。基準は「敷地の最有効使用に基づく価格」とだけ書いていますが、建物が無いものとして敷地を最も有効に使うときの価格なので、更地としての価格と同じ考え方で求めると読めます。
鑑定評価額が更地の価格を必ず下回るとは限りません
木造の古家のように発生材料がほとんど売れない建物では、経費だけが残るので、鑑定評価額は更地としての価格を下回ります。一方、鉄骨造の工場のようにスクラップの売却額が大きい建物では、発生材料の価格が経費を上回り、鑑定評価額が更地としての価格を上回ることもあります。基準が「控除」ではなく「加減」と書いているのは、この両方の場合を含める書き方と読めます。実際には経費のほうが大きいことが多く、更地の価格を下回る場合が多いのですが、必ずそうなるとは決まっていません。

木造の古家は差し引き、鉄骨の工場は上乗せになることもある。
類型は自用の建物及びその敷地のままで、建付地にはなりません
建付地の鑑定評価は、建物等と一体として継続使用することが合理的である場合に、その敷地について部分鑑定評価をするものです。建物を取り壊すことが最有効使用なら、建物と一体で使い続けるのが合理的とはいえないので、建付地として部分鑑定評価の条件を設定する場面ではありません。基準はこの場合を、自用の建物及びその敷地の鑑定評価額として定めています。対象は建物と敷地の両方のままで、その値段を更地の価格を基に組み立てる、という関係です。

建物ごと評価する。壊す前提でも類型は建付地ではない。
壊すか使い続けるかは、最有効使用の判定で決めます
取壊しが最有効使用と認められて初めて、この計算に進みます。建物及びその敷地の最有効使用の判定では、現実の建物の用途等を継続する場合の経済価値と、取壊しや用途変更等を行う場合にそれらに要する費用等を勘案した経済価値とを、十分に比較考量します。留意事項は、取壊しの物理的・法的な実現可能性、取壊し後の収益の変動予測の不確実性、取壊しに要する期間中の逸失利益の程度に留意するよう求めています。用途変更や改造が最有効使用と認められる場合は、用途変更等を行った後の経済価値の上昇の程度と、必要とされる改造費等を考慮して決定するという別の定めになります。
また、建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、建物の解体による発生材料の価格から取壊し、除去、運搬等に必要な経費を控除した額を、当該敷地の最有効使用に基づく価格に加減して決定するものとする。
出典: 各論第1章 第2節
実務ではこう使う
築年数の古い自社工場や古家付きの土地の売却相談で、依頼者から「建物には値段がつかないのか」と尋ねられる場面が典型です。評価書では、更地としての価格を敷地の最有効使用に基づく価格として示し、解体業者の見積りから取壊し費用を、鉄骨等のスクラップの売却見込みから発生材料の価格を査定して、差額を加減した根拠を書きます。アスベストの除去費や地中障害物の撤去費が含まれるかどうかで金額が大きく変わるので、現地と資料で確かめます。
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