表題部所有者とは?不動産登記法での意味を図でわかりやすく解説
所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者です。所有権の保存の登記をすると権利部に登記名義人が生まれ、表題部所有者の記録はその入口の役目を終えます。
表題部所有者とは
家を新築して表題登記をすると、表題部に建てた人の氏名と住所が記録されます。この時点では権利部はまだ白紙で、所有者として書かれているのは表題部のこの記録だけです。この人が表題部所有者で、権利部に記録された登記名義人(2条11号)とは区別されます。表題部所有者の記録は「この人が所有者らしい」という手掛かりにすぎず、所有権を公示する登記ではありません。そのため、表題部所有者の名前を変える方法と、表題部所有者が所有権の保存の登記に進む方法が、条文で細かく決められています。

保存の登記をしていないから、この人は登記名義人ではなく表題部所有者。
表題部所有者の変更は、保存の登記をしてから移転の登記でします
表題部所有者Aが建物をBに売っても、表題部の所有者名をBに書き換える登記はありません。32条は、表題部所有者又はその持分についての変更は、その不動産について所有権の保存の登記をした後に、所有権の移転の登記の手続をするのでなければ登記できないと定めています。所有権の移り変わりは権利部で公示させる仕組みなので、まずAが保存の登記をして権利部を作り、そこでAからBへの移転の登記をします。表題部で書き換えられるのは、表題部所有者の氏名や住所が変わったときだけです(31条)。

所有権の移り変わりは権利部で公示するから、保存登記をしてから移転登記。
表題部所有者の更正は、真の所有者が承諾を得て申請します
表題登記のときから表題部所有者が真の所有者と違っていた場合は、変更ではなく更正の登記で直します。33条1項は、この更正の登記は当該不動産の所有者以外の者は申請できないと定め、2項は、その所有者は表題部所有者の承諾があるときでなければ申請できないと定めています。申請するのは真の所有者、承諾するのは記録されている表題部所有者、という組み合わせです。名前を消される人の承諾があるからこそ、一方的な書き換えにならずに済みます。共有者の持分の更正も同じで、持分が減る他の共有者の承諾が要ります(33条3項・4項)。

名前を消される人の承諾があるから、一方的な書き換えにならない。
表題部所有者とその相続人は、所有権の保存の登記を申請できます
74条1項1号は、所有権の保存の登記を申請できる者として、表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人を挙げています。表題部に亡くなった親が記録されている建物なら、相続人が親名義の保存登記を経ずに、直接自分の名義で保存の登記ができます。区分建物では、表題部所有者から所有権を取得した者も申請できます(74条2項)。表示に関する登記の申請人としても、表題部所有者は所有権の登記名義人と並ぶ立場で、相続があれば相続人が申請できます(30条)。
表題部所有者 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。
出典: 不動産登記法 2条10号
実務ではこう使う
表題登記だけで権利部がない建物は、古い戸建てや倉庫でよく見かけます。表題部所有者の記録は所有権を証明するものではないので、評価の前提となる所有者は固定資産課税台帳や契約書と突き合わせて確かめます。相続で名義が動いていない建物では、保存の登記から始める手順を依頼者に伝えることがあります。
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