鑑定評価基準の重要用語事典50選
不動産鑑定評価基準に登場する重要用語50語を五十音順に解説。正常価格・最有効使用・試算価格・同一需給圏・近隣地域など、各用語に基準の条文引用と簡潔な解説を付し、試験対策と実務に役立つ用語事典です。
はじめに:鑑定評価基準の用語を正確に理解する意義
不動産鑑定評価基準は、不動産鑑定士が鑑定評価を行う際に準拠すべき統一的な基準です。この基準には多数の専門用語が登場しますが、それぞれの用語には厳密な定義が与えられており、その正確な理解が試験突破と実務遂行の両面で不可欠です。
択一式試験では、用語の定義に関する正誤判定が頻出します。例えば「正常価格」と「正常賃料」の定義を入れ替える、「近隣地域」と「類似地域」の定義を入れ替えるなど、微妙な差異を突いた出題が繰り返されています。論文式試験においても、用語を正確に使いこなせるかどうかが答案の説得力を左右します。
本記事では、鑑定評価基準に登場する50の重要用語を五十音順に整理し、基準の条文引用とともに簡潔な解説を加えます。辞書的に活用し、学習の中で疑問に感じた用語があればすぐに確認できるようにしてください。鑑定評価基準の全体像については鑑定評価基準の全体像を掴むを参照してください。
あ行の重要用語
一般的要因(いっぱんてきよういん)
不動産の価格に影響を与える一般的かつ広域的な要因をいいます。自然的要因、社会的要因、経済的要因、行政的要因の4つに大別されます。
一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第3章
一般的要因は、個々の不動産の価格を直接左右するというよりも、不動産価格全体の水準や変動の方向性に影響するマクロ的な要因です。鑑定評価においては「一般的要因の分析」として体系的に把握します。
一体利用(いったいりよう)
複数の土地や建物を一つのまとまりとして利用することをいいます。隣接する二つの土地を一体として利用する場合、個別に評価した場合の価格の合計と一体利用した場合の価格は異なることがあり、この差額を「増分価値」や「限定価格」の問題として扱います。
移行地(いこうち)
ある種別の地域から他の種別の地域へと移行しつつある地域内の土地をいいます。例えば、住宅地域から商業地域へ移行しつつある地域の土地が該当します。移行地の評価では、現在の利用状態のみならず、将来の移行先としての利用状態を考慮する必要があります。
営業権(えいぎょうけん)
企業が有する超過収益力を表す権利です。鑑定評価基準では、不動産と一体となった営業権(のれん)が不動産の収益に影響を与える場合に留意が必要とされます。特にホテルや旅館等の事業用不動産の評価において、不動産に帰属する純収益と営業権に帰属する純収益の区分が重要です。
応用的手法(おうようてきしゅほう)
鑑定評価の基本的な三手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法)を不動産の類型に応じて応用した手法をいいます。例えば、借地権の評価における借地権割合法、開発法などが応用的手法に位置づけられます。
か行の重要用語
開発法(かいはつほう)
更地の鑑定評価において、対象地を開発することにより得られる価格から、通常の開発費用等を控除して土地の試算価格を求める手法です。
開発法は、更地の鑑定評価において、当該土地が更地の状態にあるものとしてその最有効使用が建物等の建築を前提とする場合に適用するものとする。
― 不動産鑑定評価基準 各論第1章
マンション適地等の大規模画地の評価で特に有効な手法です。
価格形成要因(かかくけいせいよういん)
不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因のことです。一般的要因、地域要因、個別的要因の三つに大別されます。詳細は価格形成要因の概要を参照してください。
価格時点(かかくじてん)
鑑定評価によって求めるべき価格又は賃料の判定の基準日をいいます。
価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として、鑑定評価額を算定するための基準日を明示するものである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第5章
不動産の価格は時の経過とともに変動するため、「いつ時点の価格か」を明確にすることが鑑定評価の根幹となります。
還元利回り(かんげんりまわり)
収益還元法の直接還元法において、一期間の純収益から対象不動産の試算価格を求める際に用いる利率です。
還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
キャップレートとも呼ばれ、収益還元法の中核的なパラメータです。
鑑定評価額(かんていひょうかがく)
鑑定評価の手続の各段階を適切に経て、最終的に決定された対象不動産の価格又は賃料をいいます。鑑定評価報告書に記載される最終的な結論です。
鑑定評価の基本的事項(かんていひょうかのきほんてきじこう)
鑑定評価を行うにあたって確定すべき基本的な事項であり、対象不動産、価格時点、鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の三つをいいます。
鑑定評価の条件(かんていひょうかのじょうけん)
鑑定評価に当たり付す条件のことで、対象確定条件、地域要因又は個別的要因についての想定上の条件、調査範囲等条件の三種があります。
基準価格(きじゅんかかく)
近隣地域の標準的な土地(標準的画地)について求められた価格をいいます。取引事例比較法の適用過程において、比準価格を求める際の基準となるものです。
近隣地域(きんりんちいき)
対象不動産の存する用途的地域であり、その地域の特性が対象不動産の価格形成に直接影響を与える地域をいいます。
近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第6章
近隣地域は地域分析の中核的な概念であり、標準的使用の判定や個別分析の前提となります。
均衡の原則(きんこうのげんそく)
不動産の効用は、その構成要素の均衡がとれている場合に最大となり、均衡が崩れると効用が低下するという原則です。例えば、過大な建物を小さな敷地に建築しても、最大の効用は得られません。
さ行の重要用語
最有効使用(さいゆうこうしよう)
不動産の価格形成における最も重要な概念の一つです。
不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。
― 不動産鑑定評価基準 総論第4章
最有効使用の判定については最有効使用とは何かで詳しく解説しています。
再調達原価(さいちょうたつげんか)
対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合に必要とされる適正な原価の総額をいいます。原価法の適用において最も重要な概念です。
再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
試算価格(しさんかかく)
鑑定評価の三手法の適用によりそれぞれ求められた価格をいいます。原価法により求めた試算価格を「積算価格」、取引事例比較法により求めた試算価格を「比準価格」、収益還元法により求めた試算価格を「収益価格」と呼びます。
事情補正(じじょうほせい)
取引事例比較法の適用において、取引事例に特殊な事情が含まれている場合に、その影響を排除するために行う補正です。
取引事例に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例に係る価格に影響を及ぼしているときは適切に補正しなければならない。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
自用の建物及びその敷地(じようのたてものおよびそのしきち)
建物の所有者と敷地の所有者が同一人であり、その所有者が建物を自ら使用している場合における、当該建物及びその敷地をいいます。不動産の類型の一つです。
収益還元法(しゅうえきかんげんほう)
対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法です。
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
直接還元法とDCF法の二つの方法があります。
収益価格(しゅうえきかかく)
収益還元法により求めた試算価格をいいます。対象不動産の収益性に着目して求められた価格です。
正常価格(せいじょうかかく)
鑑定評価によって求める価格の種類の中で最も基本的なものです。
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第5章
正常価格の定義における「合理的と考えられる条件を満たす市場」とは、市場参加者が自由意思に基づいて行動し、十分な情報を有し、相当の期間市場に公開されている市場のことです。
正常賃料(せいじょうちんりょう)
正常価格に対応する賃料の概念であり、新規賃料を求める場合に適用されます。
積算価格(せきさんかかく)
原価法により求めた試算価格をいいます。再調達原価から減価修正を行って求められます。
積算法(せきさんほう)
賃料を求める手法の一つで、基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める方法です。
前提条件(ぜんていじょうけん)
鑑定評価報告書に記載すべき事項の一つで、鑑定評価額の前提となる条件を明示するものです。対象確定条件、想定上の条件等が含まれます。
底地(そこち)
宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいいます。底地の価格は更地価格から借地権価格を控除した額を基本としますが、必ずしも両者の単純な差額とはなりません。
総費用(そうひよう)
収益還元法の適用において、総収益から控除すべき費用の合計額をいいます。減価償却費、修繕費、維持管理費、公租公課、損害保険料、空室等損失相当額などが含まれます。
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
た行の重要用語
代替の原則(だいたいのげんそく)
不動産の価格は、代替可能な他の不動産の価格と相互に関連して形成されるという原則です。取引事例比較法の理論的基礎をなします。
対象確定条件(たいしょうかくていじょうけん)
鑑定評価の対象を確定するために設定する条件です。現状を所与とするか(現状所与)、特定の条件を想定するか(独立鑑定評価、部分鑑定評価、併合鑑定評価等)に関する条件を含みます。
建付地(たてつけち)
建物等の用に供されている宅地で、建物等及びその敷地が同一の所有者に属している場合の当該宅地をいいます。建付地の最有効使用の判定は、建物の存在を前提として行う点が更地との違いです。
地域分析(ちいきぶんせき)
対象不動産がどのような地域に存するかを分析し、その地域の特性を把握する作業です。近隣地域の分析を中心に、類似地域や同一需給圏の分析も含みます。
賃貸事例比較法(ちんたいじれいひかくほう)
多数の新規の賃貸借等の事例における実際実質賃料を分析し、対象不動産の試算賃料を求める手法です。取引事例比較法の賃料版に相当します。
DCF法(ディーシーエフほう)
連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法です。
DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法である。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
証券化対象不動産の鑑定評価ではDCF法の適用が原則として求められます。
適正な価格(てきせいなかかく)
鑑定評価が求めるべき価格の基本的な性格を表す概念です。現実の取引では個別の事情により歪みが生じうるのに対し、鑑定評価はそうした歪みを排除した適正水準の価格を明らかにします。
同一需給圏(どういつじゅきゅうけん)
一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいいます。
同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第6章
同一需給圏は地理的に連続した範囲に限られるとは限らず、用途や需要者層の特性に応じて異なります。
特定価格(とくていかかく)
法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない市場が形成される場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格です。民事再生法や会社更生法に基づく評価等が該当します。
特殊価格(とくしゅかかく)
文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいいます。
取引事例比較法(とりひきじれいひかくほう)
多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、対象不動産の試算価格を求める手法です。
同一需給圏とは、対象不動産と地理的に隣接する地域に存する不動産のみで構成される圏域をいう。
な行・は行の重要用語
内部構成(ないぶこうせい)
建物の各部分の配置、動線、天井高等、建物内部の構成をいいます。建物に関する個別的要因の一つであり、建物の効用に大きな影響を与えます。
比準価格(ひじゅんかかく)
取引事例比較法により求めた試算価格をいいます。取引事例から事情補正、時点修正、要因比較を行って求められた価格です。
標準的使用(ひょうじゅんてきしよう)
近隣地域において最も標準的な不動産の使用方法をいいます。近隣地域の標準的使用は、当該地域に存する不動産の個別的な最有効使用を判定する上での基準となります。
復帰価格(ふっきかかく)
DCF法において、保有期間(分析期間)の満了時点における対象不動産の価格をいいます。最終還元利回りで純収益を還元して求めます。
不動産の類型(ふどうさんのるいけい)
不動産の有形的利用状態と権利の態様に着目した分類です。更地、建付地、借地権、底地、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地などがあります。類型によって適用すべき手法や評価上の留意点が異なります。
変動の原則(へんどうのげんそく)
不動産の価格を形成する要因は常に変動の過程にあるため、鑑定評価においては、価格形成要因の変動を的確に把握し、将来の動向を予測しなければならないという原則です。
補修費(ほしゅうひ)
建物の維持管理に必要な修繕に要する費用をいいます。収益還元法の総費用の構成要素の一つです。
ま行・や行・ら行・わ行の重要用語
未収入期間(みしゅうにゅうきかん)
賃貸不動産において、テナントの退去から次のテナント入居までの空室期間をいいます。収益還元法の適用において空室等損失相当額の査定に関連します。
最寄り品店舗地域(もよりひんてんぽちいき)
日常生活に必要な品物を販売する店舗が集まっている商業地域の一類型です。商業地域の地域要因の分析において区分されます。
有効需要(ゆうこうじゅよう)
購買力の裏付けのある需要をいいます。不動産の価格は、効用、相対的稀少性、有効需要の三者の相関結合によって生じます。
予測の原則(よそくのげんそく)
不動産の価格は、将来の動向についての市場参加者の予測を反映して形成されるという原則です。特に収益還元法において、将来の収益予測が価格に直接影響を与えます。
類似地域(るいじちいき)
近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域をいいます。
類似地域とは、近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域であり、その地域に属する不動産は、特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示しているものである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第6章
取引事例比較法において、近隣地域だけでなく類似地域からも事例を収集できる点が重要です。
連続する複数の期間(れんぞくするふくすうのきかん)
DCF法において、収益を予測する分析期間をいいます。通常は保有期間(投資期間)として設定され、一般的な収益用不動産では10年から15年程度とされることが多いです。
割引率(わりびきりつ)
DCF法において、将来発生する純収益を現在価値に割り引くために用いる率をいいます。
割引率は、DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割り戻す際に使用される率であり、還元利回りに含まれる将来の予測についての不確実性に対するリスク部分を除いたものである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章
類似地域とは、同一需給圏内に存するすべての地域をいう。
用語間の関係を理解するための体系的整理
個々の用語を暗記するだけでなく、用語間の相互関係を体系的に理解することが重要です。以下に主要な用語群の関係を整理します。
価格の種類の体系
| 価格の種類 | 適用場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| 正常価格 | 通常の市場を前提 | 最も基本的な価格概念 |
| 限定価格 | 市場性を有するが市場が限定される場合 | 借地権者が底地を併合する場合等 |
| 特定価格 | 法令等の社会的要請による場合 | 民事再生法に基づく評価等 |
| 特殊価格 | 市場性を有しない不動産 | 文化財等 |
地域の体系
鑑定評価基準における地域概念は、同一需給圏を最も広い概念として、その中に近隣地域と類似地域が位置づけられます。近隣地域は対象不動産が属する用途的地域であり、類似地域は近隣地域と類似の特性を持つ地域です。
| 地域概念 | 範囲 | 役割 |
|---|---|---|
| 同一需給圏 | 代替関係が成立する圏域 | 事例収集の範囲を画定 |
| 近隣地域 | 対象不動産が属する用途的地域 | 標準的使用の判定の基礎 |
| 類似地域 | 近隣地域と類似する特性を持つ地域 | 事例収集の補完的範囲 |
三手法と試算価格の対応
| 鑑定評価手法 | 試算価格の名称 | 着目する側面 |
|---|---|---|
| 原価法 | 積算価格 | 費用性(コスト) |
| 取引事例比較法 | 比準価格 | 市場性(マーケット) |
| 収益還元法 | 収益価格 | 収益性(インカム) |
この三面からのアプローチを統合して鑑定評価額を決定するのが、鑑定評価の基本的な考え方です。鑑定評価基準の体系的理解については鑑定評価基準の体系図で全体を俯瞰を参照してください。
試験で問われやすい用語のポイント
定義の正確な記憶が求められる用語
試験では、特に以下の用語について正確な定義が問われます。
正常価格: 「市場性を有する不動産」「合理的と考えられる条件を満たす市場」「市場価値を表示する適正な価格」の各要素を正確に記憶すること。
最有効使用: 「効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用」という定義を正確に理解すること。物理的可能性、法的許容性、経済的合理性の三つの判定基準に加え、最も収益性の高い使用という条件が必要です。
近隣地域と類似地域: 近隣地域は「対象不動産の属する用途的地域」、類似地域は「近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域」であることを区別すること。
同一需給圏: 「代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域」であり、地理的に隣接していなくても該当しうることに注意。
類似概念の区別が求められる用語
価格時点と鑑定評価を行った年月日: 価格時点は価格判定の基準日であり、鑑定評価を行った年月日(鑑定評価書の作成日)とは異なりうる。過去時点の評価では両者は一致しない。
還元利回りと割引率: 還元利回りは一期間の純収益から直接価格を求める率であり、将来予測の不確実性を含む。割引率は将来の収益を現在価値に割り引く率であり、還元利回りからリスクプレミアムの一部を除いたもの。
更地と建付地: 更地は建物等が存しない宅地(建付地ではない)、建付地は建物等の用に供されている宅地。最有効使用の判定において、更地は建物の存在を前提としないが、建付地は現存する建物を前提とする。
還元利回りと割引率は同一の概念であり、鑑定評価基準上は区別されていない。
まとめ
本記事では、不動産鑑定評価基準に登場する50の重要用語を五十音順に整理し、基準の条文引用とともに簡潔な解説を加えました。鑑定評価基準の用語を正確に理解することは、試験対策においても実務においても基本中の基本です。
特に重要なのは、個々の用語を孤立的に暗記するのではなく、用語間の相互関係を体系的に理解することです。正常価格と限定価格・特定価格・特殊価格の関係、近隣地域と類似地域と同一需給圏の関係、三手法と試算価格の対応関係など、体系的な把握が試験では決定的に重要です。
学習の過程では、本記事を辞書的に活用し、他の記事や基準の条文を読む際に不明な用語があればすぐに確認するようにしてください。
関連記事も併せて参照してください。