特定有害物質とは?土壌汚染対策法での意味を図でわかりやすく解説
鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く)のうち、土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質です。つまり、土に混じっていると口や手から体に入って害になる物質で、中身の一覧は政令が決めています。
特定有害物質とは
工場の跡地を買おうとするとき、見た目は普通の空き地でも、土の中に鉛や砒素が残っていることがあります。井戸水に溶け出して飲んでしまう、土ぼこりを吸い込む、子どもが遊んで口に入れる、という道筋で人の健康に害が及びます。土壌汚染対策法が相手にするのは、こうした「土に含まれると健康を害するおそれがある物質」で、これを特定有害物質と呼びます。どの物質がそれに当たるかは法律本文には書かず、政令の一覧に任せています。

土に混じって健康を害する物質を、政令の一覧で決めている。
放射性物質は除き、中身は政令で定めます
2条1項は、鉛、砒素、トリクロロエチレンを例に挙げたうえで、放射性物質を除き、土壌に含まれることに起因して健康被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの、と定義しています。条文に理由は書いていませんが、放射性物質は別の法律の体系で扱うためと考えられ、ここからは外しています。政令(施行令1条)には、カドミウム、六価クロム、シアン、水銀、ベンゼン、ふっ素、ほう素、PCBなど26項目が並びます。工場で使った物質か、もとから地層に含まれていた物質かは定義に関係なく、自然由来の砒素やふっ素も特定有害物質です。
法の目的は汚染の状況の把握と健康被害の防止です
1条は、この法律の目的を、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置と、その汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めることにより、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護すること、と書いています。1条はこの順に書いており、法律はまず「どこがどれだけ汚れているかを調べて把握する」ことから始め、次に「人の体に入る道を止める」措置を置く、と読めます。汚染土壌を掘って取り除くことは、健康被害を防ぐ措置の一つにすぎず、目的そのものではありません。守る相手も国民の健康であって、景観や生活環境の保全は目的に書かれていません。

まず調べて把握し、口や手から体に入る道を止める。守るのは国民の健康。
特定有害物質を扱う施設が、調査の入口になります
特定有害物質を製造し、使用し、又は処理していた施設を有害物質使用特定施設と呼び、その使用が廃止されたときに敷地の土壌汚染状況調査が義務になります(3条1項)。汚染があるかどうかは掘って測らないと分からないので、法律は「有害物質を扱っていた場所」を手掛かりに、調べる義務をかける場所を決めています。物質の一覧が政令で決まっているからこそ、どの施設が入口になるかも決まります。
この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。
出典: 土壌汚染対策法 2条1項
実務ではこう使う
工場やガソリンスタンドの跡地を評価するときは、地歴調査で特定有害物質を扱っていた履歴があるかを確かめ、土壌汚染の可能性を個別的要因として扱います。汚染が判明している土地では、除去や封じ込めの費用と、区域指定による利用の制約を価格に反映します。自然由来の砒素やふっ素が出る地域では、造成で土を動かすときの処理費用が問題になります。
関連用語
短答式対策
肢別トレーニングで行政法規を攻略
過去問をベースにした一問一答形式のトレーニング。 行政法規の頻出論点を効率的に学べます。
年額プランなら1日わずか27円