私権の制限とは?道路法での意味を図でわかりやすく解説
私権の制限とは、道路を構成する敷地、支壁その他の物件については私権を行使することができない、という道路法4条の定めです。つまり、道路の土地は所有者でも自分で使ったり貸したりできず、売ることと抵当権を付けることだけができます。
私権の制限とは
道路の下の土地が実は個人名義のまま、ということは珍しくありません。昔の道を広げたときに買収が済んでいない土地や、分譲のときに市へ移すのを忘れた土地です。所有者だからといって、そこに塀を建てて通行を止めたり、駐車場として人に貸したりはできません。道路はみんなが通り続けるためのものだからです。ただし、名義を移すことと、抵当権を付けることはできます。使えないが、売ることと担保にすることはできる、という関係です。

道路の敷地は、所有者でも塀を建てたり貸したりできない。
道路の敷地には所有権があっても、使う権利は行使できません
4条本文は、道路を構成する敷地、支壁その他の物件については私権を行使することができない、と定めています。行使できないのは、自分で占有して使う、地上権や賃借権を設定して人に使わせる、通行を妨げる、といった土地を使う側の権利です。所有権そのものが消えるわけではなく、登記名義は個人のまま残ります。道路は一般交通の用に供する公共の物なので、私人の権利で通行が左右されると、道路法の目的である交通の発達と公共の福祉(1条)が壊れるためと考えられます。
例外は所有権の移転と、抵当権の設定・移転の二つです
4条ただし書は、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない、と定めています。売買や相続で名義が動いても道路の使われ方は変わらず、抵当権を付けても実行されれば所有者が変わるだけなので、どちらも通行の妨げにならないためと考えられます。地上権や賃借権は土地を使う権利なので、この例外には入りません。

売ることと抵当権はできる。使うこと、貸すことはできない。
道路予定区域と不用物件にも準用されます
道路の区域が決定された後、道路管理者が土地の権原を取得したときは、供用開始前でもその区域(道路予定区域)に4条が準用されます(91条2項)。供用の廃止や区域の変更で不用になった物件についても、政令で定める管理期間が満了するまでは4条が準用されます(92条2項)。道路として使われる前と、使われなくなった直後のすき間で私権が復活すると、工事や物件の整理が止まってしまうため、その間も制限を続けていると読めます。

道路になる前の予定区域と、道路でなくなった直後の不用物件にも4条が続く。
道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない。但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない。
出典: 道路法 4条
実務ではこう使う
道路の敷地に個人の土地が残っている未買収の道路敷は、評価の実務でときどき出会います。所有権は残っていても使えないので、更地としての価値はほとんどなく、道路管理者への売却や寄附を前提に評価します。逆に、道路法の道路でない私道は私権の制限を受けないので、通行や掘削の承諾の有無が評価の要因になります。
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