保有期間とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
DCF法で毎期の純収益と復帰価格を明示する期間で、売却を想定しない場合には分析期間といいます。つまり、「何年持ってから売るつもりで計算するか」という年数で、精度の高い予測が可能な期間として、典型的な投資家が保有する期間を標準に決めます。
保有期間とは
投資家が賃貸ビルを買うとき、「10年持って売る」といった計画を立てます。DCF法はこの計画どおりに、1年目から10年目までの純収益と、10年目の終わりに売る値段(復帰価格)を一つずつ書き出して今の値打ちに直します。この「何年分書き出すか」が保有期間です。長く取れば書き出す年数は増えますが、遠い将来ほど家賃も売値も当てにならないので、闇雲に長くはできません。

保有期間は、毎期の純収益と復帰価格を一つずつ書き出す年数。
保有期間は、精度の高い予測が可能な期間として決めます
留意事項は、保有期間を、毎期の純収益及び復帰価格について精度の高い予測が可能な期間として決定すると定めています。留意事項が書くのはこの決め方までですが、DCF法は毎期の純収益と復帰価格を一つずつ明示して説明性を高める方法なので、予測の当てにならない年まで並べると明示した意味が薄れる、という考え方と読めます。予測が利く範囲で区切り、その先の見通しはn+1期の純収益と最終還元利回り、つまり復帰価格の側にまとめて映します。

予測が利く範囲で区切り、霧の先の年数は取らない。
典型的な投資家の保有する期間が標準で、年数の定めはありません
留意事項は、不動産投資における典型的な投資家が保有する期間を標準とし、典型的な投資家が一般に想定しないような長期にわたる期間を設定してはならないと定めています。基準にも留意事項にも「何年」という数字はありません。留意事項に理由は書かれていませんが、物件の種類や賃借人の入れ替わりの早さで投資家の持ち方が違うので、年数を決め打ちせず、その市場の典型的な投資家に合わせるためと考えられます。
売却を想定しない場合は、同じ期間を分析期間と呼びます
基準の式の注は、保有期間を「売却を想定しない場合には分析期間」としています。長く持ち続ける前提の投資家なら、途中で売る場面は出てきません。それでもDCF法では、予測の利く期間で区切って毎期の純収益を明示し、区切りの時点の価格を復帰価格として置く手順は同じです。売るかどうかで呼び名が変わるだけで、期間の決め方は変わりません。

売る人には保有期間、持ち続ける人には分析期間で、区切り方は同じ。
保有期間は、毎期の純収益及び復帰価格について精度の高い予測が可能な期間として決定する必要があり、不動産投資における典型的な投資家が保有する期間を標準とし、典型的な投資家が一般に想定しないような長期にわたる期間を設定してはならない。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
投資用不動産の評価書では、投資家が一般に想定する期間として10年前後の保有期間を置くことが多いものの、賃借人の契約期間や大規模修繕の時期に合わせて期間を調整します。保有期間を長く取るほど後半の予測の精度が落ちるので、その分を割引率や最終還元利回りの査定に反映させます。
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