熟成度とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
見込地や移行地が、転換後・移行後の種別の土地としてどれだけ出来上がっているかの進み具合です。つまり、畑が宅地に変わる途中なら、道路や水道が整い、周りに家が建ち始めているほど熟成度が高いといえます。
熟成度とは
郊外の畑を買いたい人が二種類いるとします。家を建てたい人は、道路が舗装され水道が来て、隣にも家が建ち始めた畑なら買いますが、農道しかない一面の田んぼの中の畑は買いません。反対に隣の農家は、田んぼの中の畑なら買いますが、家に囲まれた畑には手を出しません。同じ「宅地に変わりつつある畑」でも、どこまで変わったかで買い手が入れ替わるわけです。基準はこの進み具合を熟成度と呼び、同一需給圏の判定などに使います。

同じ畑でも、道路と水道が来て家が建つほど、熟成度は高い。
熟成度が低いと、圏域は転換前の種別のものになります
見込地や移行地の同一需給圏は、一般に、その土地が転換し又は移行すると見込まれる種別の同一需給圏と一致します。宅地になる途中の畑なら、買い手が家を建てたい人に変わっているので、宅地の同一需給圏です。ただし熟成度の低い場合には、転換前・移行前の種別の同一需給圏と同一のものになります。買い手がまだ農家のままなら、比べる相手も農地だということです。商業地から住宅地への移行地なら、原則は住宅地の圏域で、熟成度が低ければ商業地の圏域です。

熟成度が高い畑には家を建てたい人が、低い畑には農家が買いに来る。
重視する地域要因も、転換・移行の程度で変わります
総論第3章は、転換し又は移行しつつある地域について、転換後・移行後の種別の地域要因をより重視し、転換又は移行の程度の低い場合には転換前・移行前の種別の地域要因をより重視するとしています。個別的要因も同じ扱いです。圏域と要因のどちらも、どこまで出来上がったかで見る側を切り替えるという一つの考え方です。どの地域が転換しつつあるかは、総論第2章が地域の種別を自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的かどうかで定めているとおり、地域の実態から判定するもので、鑑定評価の依頼目的で決まるとは書かれていません。留意事項は、見込地及び移行地については周辺地域の地域要因の変化の推移、動向が土地の変化の動向予測に当たって有効な資料になる、としています。
宅地見込地の評価額は、熟成度に応じて修正します
各論第1章は、宅地見込地の鑑定評価額を、比準価格と、転換後・造成後の更地を想定した価格から通常の造成費相当額と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除し、その額を熟成度に応じて適切に修正して得た価格を関連づけて決定する、としています。まだ宅地になっていない分だけ、想定した更地の価格をそのまま使えないので、出来上がり具合に応じて直すわけです。基準は「修正」とだけ書いていますが、宅地になるまでの期間と不確かさの分だけ引き下げる方向で働くのが普通です。熟成度の低い宅地見込地は、比準価格を標準とし、転換前の種別に基づく価格に宅地となる期待性を加味した価格を比較考量して決めます。
原価法では、地域要因の変化を熟成度として加算できます
総論第7章の原価法で土地の再調達原価を求めるときは、宅地造成直後の対象地の地域要因と価格時点の地域要因とを比較します。公共施設、利便施設等の整備や住宅等の建設によって社会的、経済的環境の変化が価格水準に影響を与えていると客観的に認められる場合には、その変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算できます。造成しただけの裸の分譲地と、駅やスーパーができて家が建ち並んだ分譲地では、同じ造成原価でも値打ちが違うからです。同じ熟成度という語でも、同一需給圏では圏域の決め方、原価法では価格の加算という別の場面で使われます。

造成直後と価格時点の地域要因を比べ、上がった分を熟成度として加算する。
同一需給圏は、一般に当該土地が移行すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。ただし、熟成度の低い場合には、移行前の土地の種別の同一需給圏と同一のものとなる傾向がある。
出典: 総論第6章 第1節
同一需給圏は、一般に当該土地が転換すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。ただし、熟成度の低い場合には、転換前の土地の種別の同一需給圏と同一のものとなる傾向がある。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
郊外の農地で周りに宅地開発が進んでいる土地を評価するときは、まず現地で、造成中の区画や建築中の住宅がどれだけあるか、道路や上下水道がどこまで来ているかを確かめて熟成度を判断します。熟成度が高ければ住宅地の同一需給圏で取引事例を集め、低ければ農地の同一需給圏で集めて宅地となる期待性を加味します。評価書には、熟成度をどう判断したかの根拠を書きます。
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